透明な螺旋

#ガリレオ


▼透明な螺旋 / 東野圭吾

東野圭吾の新作は、なんと待望のガリレオシリーズ
今回はちょっとした問題作になっている模様。何故ならば、煽り広
『今、明かされる「ガリレオの真実」』という文字が躍ってお
り、そのキャッチに偽りが無かったから。しかし・・・。

これまでのガリレオシリーズでハズレと思った作品は殆ど無かった
のだが、この作品はちょっとその領域に踏み込んでいる感。という
のも、この作品ではガリレオこと湯川先生の持ち味である【化学】
ないしは【物理学】が全く持ち込まれておらず、せっかくの強烈な
キャラクターが全く生きていない。

それでもヒューマンミステリーとして優秀であれば、もう少し充実
した読書になったと思うのだが、氏にしては珍しく中盤くらいで全
ての謎が解けてしまう安易な展開に終始。う〜ん・・・。

何が惜しいかと言えば、そういうありきたりな展開の中で、かなり
重要な筈の「ガリレオの真実」が明かされてしまうこと。こんなと
ころで知りたくなかった、というのが本音である。

もちろん、他の凡百ミステリーと比べれば全然おもしろいのだが、
この作品はファンから叩かれそう「白鳥とコウモリ」がおもしろ
かっただけに、このギャップは非常に残念。まぁ、こういうことも
あるんだろうけど・・・。