#継続希望
米澤穂信・古典部シリーズ第六弾。
この後に企画本があり、そちらでも短編が読めるらしいのだが、一応
古典部シリーズとしては今のところ最終巻。こちらは全6篇から成る
短編集である。
古典部シリーズは短編よりも長編の方が好みなのだが、同じく短編集
であった前々作「遠まわりする雛」に比べると、一話々々が「重い」。
千反田えるの苦悩、折木奉太郎の過去、そしてずっとブレのない福部
里志の物語は、どれも興味深いものばかり。読む手は止まらず、久し
ぶりに半日ほどで速読してしまった。
圧巻だったのは、伊原摩耶花が主役の「わたしたちの伝説の一冊」。
前作まででは描かれなかった“摩耶花が漫研を辞めた理由”がしっかり
物語になっており、今後に希望を感じずにいられないラストには、ち
ょっとときめいた。
この本の刊行は2016年であり、そこから約6年が経過。次がいつに
なるのか解らないが、出来れば二度目のカンヤ祭を中心に描いて欲し
いところ。古典部シリーズと過ごす3ヶ月、楽しかった!