DOMINION 2016

新日本プロレス上半期の総決算、「DOMINION」大阪大会。
今回もNJPW WORLDでの観戦なのだが、6試合行われたタイトルマッチ
のうち、5つが移動する、という派手な展開。そして今回はメインでなく、
↓↓の2試合について。

▼NEVER無差別級選手権 永田裕志 vs 柴田勝頼


NEVERらしいゴツゴツした闘いだったのだが、永田と柴田の絡みには
これまでとちょっと違う“凄み”を強烈に感じた。
四天王プロレス的な極限の消耗戦ではなく、一撃必殺の間合いが何度も
やってくるヒリヒリするような試合。こういう試合を、僕と同年代の選手
がやっている、という事実が凄く嬉しい。

残念ながら柴田にリベンジを許したものの、男を上げたのは永田
新日本プロレスも時代の流れで変遷し、試合の雰囲気がどんどん今風
なっていくのを僕は否定しないし、それはそれですばらしい進化だと思う。
でも、大きな大会で1試合くらいはこういう新日本があるべき。
大玉砕した永田の姿を見て、心からそう思った。

▼IWGPインターコンチネンタル選手権 ケニー・オメガvsマイケル・エルガン


そしてこちらは今風極右に位置する試合。
天井にベルトをぶらさげ、ラダー(脚立)を使用して先にベルトを奪った
方が勝ちになるルール。新日本でこの形式の試合が行われたのはきっと初め
てだと思うのだが、これまで見たどのラダーマッチよりもスリリングだった。

そして勝者は人気者・エルガン
怪力フィジカルの強さは特筆モノであり、ケニーの破天荒な攻めを凌ぎきっ
ての大勝利。バレットクラブのセコンドに手錠で繋がれた時はさすがに終わっ
たと思ったのだが、まさか手錠を引きちぎって勝つとは・・・。
思わず“Holy Shit”と叫んでました。見事です、この試合。

しかし、棚橋・中邑・AJ3本柱を欠きながら、大阪城ホール満員にするの
だから新日本も凄い。その功労者・内藤がタイトルを落としたメインについて
はどこかで書くつもりだけど、アンダーカードで雰囲気の全く違う名勝負が生
まれてしまうのが新日本の新日本たる由縁。
・・・一人勝ちはしばらく続きそうである。

モハメド・アリ 緊急追悼番組

「モハメド・アリ 緊急追悼番組 蘇る伝説の死闘緊 猪木vsアリ」本日放映。
あの伝説の一戦アントニオ猪木本人コメンタリーを入れる、という構成
が発表された段階で狂喜していたのだが、それどころでは無い番組だった。

総尺は2時間強
前半30分のモハメド・アリの半生はもちろん見応え充分。ボクシングの試合
リストン戦・フレイジャー戦・フォアマン戦と押さえるべきモノは全て押
さえてあり、ボクシングファンもアリの偉大さが再確認出来る構成。更には
ハドソン川メダル投げ捨て事件徴兵拒否の顛末なども詳細が描かれており、
この段階で既にウルウルしていたのだが・・・。


格闘技世界一決定戦・アントニオ猪木vsモハメド・アリノーカット放送
残りの時間は全てこの試合の放送に費やされた。そして、試合中の2人や
セコンドの声をテロップ化し、伝説の一戦を「解析」。この構成、あま
りに凄い

猪木vsアリはもう何度も観ているのだが、このオンエアほど息が苦しくなっ
ことは無い。猪木がギリギリだったのはこれまでの猪木のインタビュー等
のコメントでよく解っていたのだが、アリもきっとギリギリだった。エキシ
ビションマッチをやるつもりで来日したのに、まさかの真剣勝負。それも、
何をしでかすか解らない男と相対しているのだから、当然のことである。

晩年、アリはUFCの関係者に対し、「MMAの元祖はオレなんだぜ!」と得意
気に語ったという。確かにあの時代にこんな試合をされてしまったら、今の
MMAファイターたちはきっと言葉を無くす。

アリ・ザ・グレイテスト
あと何年経とうが、モハメド・アリを超えるボクサーは多分出てこない。
アントニオ猪木を超えるプロレスラーが出てこないように。

こんな凄い特番を組んでくれたテレビ朝日に感謝。
この番組のおかげで、僕はまだ少し生きていける気がする。

BEST OF THE SUPER Jr. XXIII

新日本プロレス初夏の風物詩、「BEST OF THE SUPER Jr. XXIII」
決勝戦をNJPW WORLDにて観戦。“ジュニア最高峰決定戦”は毎回実力
の拮抗した好勝負が続くのだが、今年は完全にこの男1人が持って行った。

ウィル・オスプレイ
イギリス出身の23歳(!)、細マッチョな均整の取れた身体と、驚異的
ハイフライムーブで世界中から注目を集める新星。初来日でKUSHIDA
の持つIWGPジュニア王座に挑戦し、好勝負を展開。これを受けてBOSJ
に参戦したのだが、結果・内容共に周囲の期待を完全に上回る活躍を魅
せた。


正直飛べるだけの選手だと思っていたのだが、田口隆祐との決勝戦で
驚愕。オスプレイは序盤で着地をミスし、左足を負傷。無論コレを庇
いながらの苦しい展開となったのだが、かなり本格的な欧州式の関節技
を駆使してコレを凌ぐ。この段階で単なるハイフライヤーではなくなっ
ていた。


そして、負傷しながらも絶妙のタイミングで跳び技も仕掛けてくる。
観客が何を観に来ているかをハッキリと把握しており、しなければな
らない場面でしっかり無理が出来る。そのプロ意識、とてもじゃない
が23歳とは思えない程。

終わってみればシリーズ全体でオスプレイのプレゼンテーションが行
われたかのような印象。あえて似ている選手を挙げるなら、やっぱり
飯伏幸太ということになるのだが、年齢的にあと10年はこのスタイル
で試合が出来そうなのがオスプレイ最大の強み。

公式戦で組まれたvsリコシェ戦は世界中に議論を巻き起こす程の問題
試合となったのだが、おそらくこの試合でその評価はガラリと変わる筈。
これは、オスプレイの良さを上手く引き出した田口の功績も大きい。
オスプレイはおそらく次の大阪でKUSHIDAの持つIWGPジュニアに挑戦
することになると思うのだが、いまこの段階でKUSHIDAが勝つイメージ
が全く沸かない・・・。

新日本、また凄い選手を1人手に入れた。
願わくば飯伏とのシングルが観たいのだが、もう無理なのかなぁ(^^;)。
それだけがちょっと残念、マジで。

真説・長州力

▼真説・長州力 1951-2015 / 田崎健太

ど真ん中こと、長州力の半生を居ったノンフィクション。
本人もさることながら、周辺の人物丹念なインタビューを繰り返し仕上げら
れた力作。長州だけに(^^;)。

・・・まぁ、本来の僕ならば間違い無く“買ってはいけない”本であることはまぎれ
もない事実。なんつったってこの本は、あの長州力に関する本なのだから。

ハッキリ言って僕は長州力が嫌いだ。嫌いな理由はここでは書ききれない(^^;)。
長州の試合は生で百回は観ているし、映像であればもう何百試合分観ているか解
らない程。ただし、ある一時期を除いて長州を応援した覚えが無い。この時期と
言うのは全日本プロレス参戦時「お前がダメだと新日本がダメだと思われる」
という感情から、本当に仕方無く応援していただけの話。

そんな長州の本を何故読もうと思ったのかと言うと、先にこの本の取材を受けた
他のレスラーが多媒体で受けたインタビューを何本か読み、興味が沸いたため。
おおよその人たちは辛辣であり、罵詈雑言の嵐。どんな酷い本か確かめてやろう、
という凄く否定的な理由で入手したのだが・・・。

思った以上にちゃんとした本だった。
特に学生時代、オリンピックに出場を果たす程優秀だったアマレス時代の記述は
ある理由からこれまで表に出ることは殆ど無かった。その部分が読めただけで
吉田光雄というアマチュアレスラーとその周辺の名選手たちに興味が沸いたし、
同じくこれまで語られる機会の少なかった最初の海外遠征時のエピソードには
いわゆる“下積み”の苦労が滲み出て、読み応えはかなりあった。

しかし、この内容を「真説」とするのはどうかと思う。コレはマジで。
新日本プロレスをこれまでの新日本では無い組織にしてしまったのは間違い無く
長州であり、全日本時代にジャンボ鶴田ブルーザー・ブロディに完封され、
全日ファンにニヤニヤされたのはトラウマになりそうな屈辱だった。そして何よ
り、大失敗していろいろな選手の将来を変えてしまったあのWJは、長州の我儘
で出来た団体だと言うことに間違いは無い。そういう、圧倒的な罪が明確にある
のに、論調がやや「いい話」になっているのは、ちょっと納得が行かない。

ただ、長州力というプロレスラーのキャリアに基づいた関係者へのインタビュー
には一読の価値あり。残念ながら、僕の長州力というプロレスラーの評価は全く
変わらなかったけど。

Los Ingobernables get the IWGP!

春の定番となった新日本プロレス「INVASION ATTACK」をNJPW Worldにて。
久々に語りどころの多い大会になる、と予測していたのだが、終わってみれば
印象に残っているのは↓↓の試合だけだった。

IWGPヘビー級選手権 オカダ・カズチカ vs 内藤哲也
制御不能キャラになってから初のIWGP王座戦に挑む内藤に注目が集まった試合。

驚いたことに、満員の両国は8割が内藤声援
無論、オカダ相手に真っ向勝負を仕掛ける、などの殊勝さは今の内藤には無い。
ロス・インゴベルナブレスのメンバーはいつものように乱入を繰り返す。
解説者曰わく「10年前の新日本だったら暴動モノ」。しかし、観客はソレも
込みの内藤を強力に支持しするのだから、新日本の風景も本当に変わった。

そして、決着も乱入
恥ずかしいことに、インゴベルナブレスの新メンバーはマスクを取るまで全く
正体が解らず。仮面の下から真田聖也の不貞不貞しい表情を確認した時には、
久々に度肝を抜かれた

内藤は完璧なリベンジを遂行した。
以前自分を口汚く罵った観客をほぼ全員味方に付け、タイトル戦の権威もへっ
たくれもない傍若無人な試合をしながらも、起こるのは拍手、そして大歓声。
IWGPベルトをリング上で投げ捨てたにもかかわらず、である。

コレはちょっと、非常に面白い展開になってきた。
ファンの支持を得、ある意味何をやっても許されるキャラクターを獲得した
内藤哲也の姿が、ヒールのまま圧倒的に観客に支持された全盛期のロック
姿にダブって見えた。こうなるとこのチャンピオンは圧倒的に強い。
もしかしたら、年内いっぱい王者のままで年を越すんじゃないか、と。

中邑・AJ・飯伏不在の不安すら飛んだ。そう、もう過去のことをあれこれ考
えている場合では無い。今年は内藤から目が離せなくなりそうだ。