獣神サンダー・ライガー自伝(下)

▼獣神サンダー・ライガー自伝(下) / 獣神サンダー・ライガー

ライガー自伝、待望の下巻
前巻は山田惠一としてのデビューからJ-CUP時代の1999年までのエピソ
ードで構成されていたが、今回は2000年から現在までのお話。

個人的に「凄い!」と思ったのは、この中に出てくライガーの話の中に
ピンと来ないモノが一つも無い、ということ。すれっからしのマニアを
自称し、プロレス検定2級を所持する僕ですら、知識がすっぽり抜けてい
る時代があるのだが、ことライガーに関してはその全てを鮮明に思い出
せちゃうのだから凄い。僕の中で獣神サンダー・ライガーがいかに特別
なプロレスラーなのか、改めて確認した次第。

「ライガーの偉大さ」を手っ取り早く体感したいのであれば、一度海外
のリングで闘うライガーを観れば良い。僕は2015年のレッスルマニア
ウィークにサンノゼでライガーの試合を2試合観たのだが、とにかくフ
ァンのライガーに対するリスペクトぶりが異様(^^;)なほど。ROHでの
試合では入場通路の脇を固めたファンのほぼ全員がアラーの神に祈るよ
うなポーズを取っていたし、レッスルコンのスペシャルマッチではショ
ーの開始前から「ジューシンライガー」のチャントが鳴り止まない。
日本のプロレスファンとして、本当に誇らしかった覚えが・・・。

そういうリアルリビングレジェンドの話は本当に面白く、さらに全て
が腑に落ちる。当然、現在宣言している「ライガー最終章」にも触れて
いるのだが、その集結はまだ当分先、と僕は信じている。
ライガーが引退したら、僕の中でもきっと何かが終わる。だからもうち
ょっとだけ、リングで闘うライガーの姿を観ていたい、と感じた。

すばらしい自伝に感謝。
そして巻末のライガー奥様&ご子息の対談、ナイスでした!!
世界の獣神サンダー・ライガーに栄光あれ!

ROPPONGI 3K

新日本プロレス「KING OF PRO-WRESTLING」両国国技館。
1.4東京ドーム前の最後のビッグマッチ、という位置づけなのだけど、今回は
カード的な魅力が正直乏しく、観戦しようとは思わず。結果だけを確認しよう、
ということでスポナビを覗いたら、第三試合に興味を惹かれる内容が。思わず
NJPW WORLDに接続してしまった。

IWGPジュニアタッグ選手権
王者リコシェ&田口隆祐に挑戦したロッキー・ロメロ率いる“ROPPONGI 3K”
の正体は、2年の海外遠征から帰国した田中翔&小松洋平。米国ROHではテン
プラ・ボーイズを名乗る、新日本のホープ。このタイミングで凱旋するとは・・・。

SHO&YOHを名乗ったこの2人、近年の新日本プロレスの中で一番と言って良
い程の逸材。どうみてもトレーニングをキッチリこなしているバキバキの身体
に加え、天性のプロレスセンスの良さ。そして両者共に今風のイケメンであり、
また新日本の会場に女性ファンが増えそう。

そして、結果はなんとROPPONGI 3Kタイトル一発奪取!
それも、ワールドフェイマスなリコシェから文句の無い3カウントを奪った、
というのが破格。そしてなにより試合内容がすばらしい。2人とも受けるとき
はガッチリ受け、攻めるときは気迫を全面に出す、という、ザ・新日本的な
ストロングスタイル。いやぁ、恐れ入りました!

こうなってくると期待してしまうのが新王者チームの東京ドームのカード
今のうちにヤングバックスにぶつけるべきだと思うんだけど、どうかなぁ・・・。
とにかくWelcome Back! 新日本のジュニア戦線、久々に熱いぞ!

「神様」の貴重な映像

▼G SPIRITS Vol.45

本日発売のG SPIRITS 45号、特集はなんと「カール・ゴッチ」
我々の年代のプロレスファンはほぼ全員がゴッチを「神様」として認識し、崇拝
の対象とする人。ここ最近、UWF回顧書籍を多々読んでいるのだけど、どうやら
このMOOKがトドメになりそうな気配。

まずは初来日時のエピソードを読みつつ、伝説となっているvs吉村道明のビデオ
をYouTubeで検索。↑↑が本当にアップされており、その試合内容に驚愕する。
こういう映像の存在をさりげなく教えてくれるのがG SPIRITSという雑誌の真骨頂
ではないかと。

・・・いやぁ、すばらしい。
初来日時の詳細なエピソードに加え、アントニオ猪木を始めとする関係者への
インタビュー。圧巻なのは、13ページに渡ってビッシリと書き込まれた「カレ
ル・イスターツ全試合記録」。これはもう、本気の永久保存版である。

とにかく、全盛期と目されるゴッチの試合映像を目撃できたことが嬉しい。
G SPIRITSを読んでなかったら、全く気付かずに終わるところ。本当に感謝だ!

KAIRI WIN!

WWE「MAY YOUNG CLASSIC」トーナメントファイナル。
決勝に上がってきたのはMMAをバックボーンとするシェイナ・ベイズラー
と、我らが日本のカイリ・セイン。大方の予想通りのマッチアップ。

既に大人気となっているカイリ、入場時にこの笑顔
大舞台なのに緊張する素振りが全く無い、というのがカイリらしい(^^;)。


ペースを握ったのはシェイナ。MMAファイターとは言え、スターダム
参戦経験もあるある種“日本向き”の選手。師匠のジョシュ・バーネット
ばりのアームロックスリーパーで攻勢に出るが、やや力が入りすぎ。


シェイナの技が尽きたところでカイリの時間に。
スターダム時代からの得意技、マリンスパイクを発射し、場内最高潮。
最後は完全無欠ダイビング・エルボーをズバリと決め、見事にMYC杯
を制して魅せた。

試合前から試合後まで、いろいろな表情が魅せられるのがカイリの強み。
この表情を見ていると、もしかしたら、今WWEに居る日本人の中でいち
ばん出世するのはカイリかも、とか思ってしまった。

カイリ・セイン、次は空位のNXT女子王座決定戦に挑むらしい。
すっかり手の届かないところに行っちゃった宝ちゃんだけど、このまま
行けるところまで一直線で! NXT、一発で取ってください!

フツーのプロレスラーだった僕がKOで大学非常勤講師になるまで

▼フツーのプロレスラーだった僕がKOで大学非常勤講師になるまで
/ ケンドー・カシン(Kindle版)

“悪魔仮面”こと、ケンドー・カシンの半生記。
カシン自身が執筆したワケでは無く、インタビュー集。幼少期→アマレス
時代→プロレス・格闘技時代→慶応大学非常勤講師時代(プロレスラー兼
務)までを、本人が丁寧に、そしてシニカルに語っている。

そもそもカシンのプロレスは完全に予測不能であり、すれっからしのファ
ンであることを自認している僕でさえ、いつも意表を突かれてしまう
IWGPジュニア王座を戴冠した時には勝手に自前のチャンピオンベルト
造ってしまったし、最近では意味なくパンダ(FMW参戦のパンディータ
という着ぐるみ系プロレスラー)を襲いワンマッチ興行までやってしま
う、という、理解不能ながら爆笑せざるを得ない行動を取ってしまう。

・・・無論この本も、まぁ、面白い(^^;)。
皆はカシンを「へそ曲がり」とするが、事実はきっと。あまりに自分に
正直に生きているが故に、その様がへそ曲がりに見えているだけかと。
そしてカシンが“発想の天才”であることがすぐさま解る、「カシン解読マ
ニュアル」的な非常に興味深い一冊になっちゃてるから、それがもう痛快

しかし、ニッチだなぁ、この本(^^;)。
さすがにカシンを知らない人は、読んでも意味が解らない可能性アリ。
もしかしたら、爆笑するかもしれないけど。