孤狼の血

▼孤狼の血 / 柚月裕子(Kindle版)

柚月裕子作品。
「盤上」を読むつもりだったのだが、なんか凄そうな映画予告編を観てしま
ったため、かんたんに予定変更(^^;)。第69回日本推理作家協会賞を受賞した氏
の出世作、「孤狼の血」を読むことに。

・・・いや、驚いた
あまりに本格的なヤクザ小説が展開され、アタマがクラクラする程。
主人公こそ刑事・・・それもズブズブの悪徳刑事を上司に持つ大卒新任・・・だが、
基本線は昭和末期の博徒たちの物語。ちょっと間違ったら無駄になりそうな
暴力団の組織背景が事細かに記載され、まるでノンフィクションのような
アリティが溢れている。

正直言えば、僕がヤクザ関係の作品で読み込んだのはヤングマガジンで連載さ
れていた「代紋TAKE2」くらいだし、男系週刊誌で特集されるヤクザ記事
愛読する習慣も無い。つまりこの手の作品に殆ど耐性が無いのだが、とにかく
グイグイ引っ張られ、翻弄された。おかげでラストがやたら意外(^^;)。後から
考えれば全然読めそうなオチなのに、完全にしてやられた、という状態。

・・・オンナなんだよなぁ、柚月裕子って(^^;)。
映画の記者会見を報じたページに写真が載っていたが、スラッと背の高くイン
テリジェンス感の溢れる姿再び衝撃を受けた。こういう人がこういう小説を
書く、というギャップ只者じゃないな、この作家。

久々に出会った「凄い」作品。
現在続編を読んでいるのだが、残りもうあと3ページ(^^;)。そちらのレビュー
は明日にでも。映画ももちろん観に行くつもりです、ハイ。

READY PLAYER ONE

スティーブン・スピルバーグ「レディ・プレイヤー1」をイクスピアリにて。
スピルバーグ作品にしては珍しく、事前に主だったアナウンスも無く、やや
唐突に公開された感があるのだが、理由はすぐに解った(^^;)。

この映画、キャスト殆ど金がかかっていない(^^;)。
つまり、アイデア一発モノの作品であり、代わりにCGやら権利やらにやたら
予算を割いている感。おそらく、スピルバーグの自己満足に近い世界なのだ
と思う。

しかし、この自己満足がやたらと面白かった!
近未来に大進歩した「VR」の世界で起こる事件が描かれているのだが、この
VRがあまりにリアルな上、迫力満点。2時間を大きく上回る上映時間中、
ずっと自分もゲームに参加している気分になるから凄い。

そして、この作品のいちばんの魅力は続々登場する小ネタ
↓↓のトレーラーで発表されちゃってるからネタバレを気にせず書いちゃう
と、クライマックス近くのハイライト“ガンダム vs メカゴジラ”(^^;)。
世界に誇るメイド・イン・ジャパン二大コンテンツを、あのスピルバーグ
メインに使った、という事実が痛快。

・・・この作品もまた、日本での興収それ程でも無いらしい(^^;)。
しかし、後々語られる映画になりそうな気配プンプン。スピルバーグが本気
で作ったB級、今のうちに観とくべし!

JUMANJI

「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」をイクスピアリにて。
ロック様こと、ドウェイン・ジョンソン主演アクションファンタジーで、
いかにもアメリカで人気でそうな作品

正直、殆ど期待せずに観に行ったのだが、これがなかなか面白かった
予算は相当掛けているハズなのに、なんとも言えないB級感が漂いまくって
おり、そのおかげでハチャメチャな展開が全く気にならない。ストーリー
もそれなりに練り込まれており、2時間殆ど退屈しなかった。日本では
客入りが芳しくなく、どこの劇場でもまもなく公開終了となる模様。終わ
る前に観られて本当に良かった。

ロックも今や大物ハリウッド俳優であり、かつて当代一流のプロレスラー
であったことを知らない人も多くなったのだが、相変わらず鍛え上げられ
た肉体は健在。戦闘シーンはさすがの迫力で、もしかしたらロックボトム
とかピープルズ・エルボーとかが見られるかも!と期待したが、やっぱり
未遂(^^;)。まぁ、そりゃあそうだろうけど(^^;)。

ちなみに来月公開される巨大生物系の映画にも主役で登場するロック様。
個人的にはすっごく心が躍るのだけど、まぁ・・・きっと短いだろうなぁ、
公開期間(^^;)。

とにかく、派手なアクションが好きな人は終わらないうちに是非!

Remember Me

Disney/PIXARの新作「リメンバー・ミー」をイクスピアリにて。
PIXARの作品は「トイ・ストーリー」以降、幾つかを除いて殆どを劇場鑑賞。
個人的にはどの作品も評価は高いのだが、この新作は・・・。

これまでのPIXAR作品の中で「No.1」なんじゃないか?と思わせる傑作。
メキシコの祭りである「死者の日」をすばらしくカラフルに表現したCG
加え、誰もが感動でき、そしてホロッと来てしまうストーリー。更に加え、
完成度満点の楽曲が溢れている。アニメーションという枠だけでなく、映画
として最高の完成度。鑑賞後にここまで清々しい気持ちになれた映画、ここ
数年では珍しいかもしれない。

今回は意図的に日本語吹替版をチョイス。
まずは主人公・ミゲルの声を担当した石橋陽彩に、大きな拍手を贈るべき。
とにかく重要な「歌」の部分が完璧。大袈裟でなく、この映画を傑作とした
大きな要因は彼の歌声にある気がする。将来が本当に楽しみ。

もう一人の主役・ヘクターを演じた藤木直人もすばらしかった。日本語を充
てるとするなら、もっと他の選択肢もあった気がするが、見終わった今では
藤木以外のキャスティングはあり得なかった、と思う。さすが実力者!

まだ3月だけど、もしかしたら2018年最高の映画になりそうな予感。
これは子どもから大人まで、誰もが観るべき傑作。バカなボクサーのおかげ
で下がりまくったメキシコのイメージを、一発で良いモノにしてくれます!
オススメ!

THE GREATEST SHOWMAN

ヒュー・ジャックマン「グレイテスト・ショーマン」をイクスピアリにて。
コッテコテミュージカル映画であり、ちょっと前にスマッシュヒットとな
った「ラ・ラ・ランド」のソングメイカーを再び起用。つまり、あからさま
“2匹目のドジョウ”を狙った映画、だと思ってたのだが・・・。

ヒュー演じる主人公のP.Tバーナムは、19世紀に実在したアメリカの興行師
で、いわゆるフリークショウの先駆けとして財をなした伝説の人物。氏の率
いた団体は後にリングリングサーカスと名前を変え、エンターテインメント
の世界でも超一流となっていくのだが、この映画はその「前夜」をハートフ
ルに描いたもの。

・・・泣いた(^^;)。
いや、はっきり言えば泣けるシーンなんて殆ど無いのだが・・・。
登場してくる小人・巨人などの、あまりに個性豊かな人たちの華麗な演技に
圧倒され、心の底から感動を覚えた。彼らが歌い踊る様を観ていたら、クソ
みたいな人権団体のクレームで自らの働く場所を奪われた日本の小人プロレ
スシーンを思い出してしまったのが原因なのかも。こういうのに本当に弱く
なった。年取ったんだろうなぁ、きっと・・・。

とにかく全般から感じるのは力強いビートの利いたロックン・ロール
ミュージカル映画は人によってかなり好みが別れるし、僕個人も心から楽し
めた作品はこれまで「ロッキーホラーショー」くらい。でもこの映画、下手
すれば今後の僕の“テーマ”になるくらい、衝撃度・感動度が高かった。

ただただ、お見事です!
ミュージカル映画にアレルギーのある人でも、騙されたと思って観てほしい。
胃がキリキリするくらい、感動出来ると思うので。