マイクロスパイ・アンサンブル

#the ピーズ #TOMOVSKY


▼マイクロスパイ・アンサンブル / 伊坂幸太郎

伊坂幸太郎新作は、猪苗代湖のアートフェス「オハラ☆ブレイク」にて、
数回に渡って配布された連作小説に書き下ろしを加えて一冊にまとめたモノ。

失礼ながら「オハラ☆ブレイク」というイベントは全く知らなかったのだが、
作中に歌詞が引用されている2バンドに関して、僕はそれなりに思い入れが。

the ピーズTOMOVSKY
ピーズと、TOMOVSKYがかつて率いていたカステラ、それにthe Wellsを加え
た3バンドは、あの頃の僕らにとって“憧れ”を感じずにいられなかった人たち。
シンプルだけど誰も思いつかないようなメロディと、前衛文学のような歌詞は、
追いつこうにも追いつけない、才能の塊だった。

そんな2バンドの楽曲をモチーフに、伊坂幸太郎が小説を書く。
この組み合わせ、正直驚いたけどちょっと考えれば非常に腑に落ちる。これ
までの作品を考えれば、伊坂幸太郎が彼らに影響を受けていない、と考える
方が難しい。

氏にしてはやや大人しめの作品ではあるモノの、ここでもしっかり伊坂流
ファンタジーが展開されている。いつものようにカッコ良く、スタイリッシ
ュな伊坂節は健在で、今回もシビれるフレーズが多々飛び出してくるのがポ
イント。サックリ読める、清涼感たっぷりの良作です。

個人的にいちばん刺さったフレーズは【作戦会議】。この言葉、必ずどこか
真似させていただきますよ、うん。

マスカレード・ゲーム

#水天宮ロイヤルパークホテル


▼マスカレード・ゲーム / 東野圭吾

東野圭吾の新作はマスカレード・ホテルシリーズ
3年に一度のペースで続いてきたシリーズだが、前作「イブ」から今作ま
でのスパンはなんと5年。そして、おそらくコレが最終作品となる気配が。

すっかり偉くなった『ホテルマン刑事』こと新田浩介は、もちろん今回も
高級ホテル、ホテルコルテシア東京潜入。偉くなってもこういうことを
やらされてしまうのが哀愁をそそる(^^;)のだが、無理なくそうなるように
状況設定を作ってしまうところが東野圭吾の凄いところ。そして、もう1人
の主役、超絶コンシェルジュ山岸尚美も遅ればせながらしっかり登場す
るのでご安心を。

そして、久しぶりにミスリードが多発する本格ミステリーを堪能。もちろ
ん場面ごとに犯人を予想しながら読んでいたのだが、結果的に大ハズレ(^^;)。
最近はミステリーを読んでも最後まで犯人が解らないことは殆ど無くなっ
たと思っていたが、まぁ見事に騙されました。やっぱり凄い作家だな、こ
の人は。

事件解決後のラストシーンに関しては、おそらく賛否両論があるかと。
作品の結末としては全然アリだと思う僕だが、もしマスカレードホテルシリ
ーズが終わってしまう可能性・・・というか、このラストなら終わるべき・・・が
あるのはいただけない。読みたいなぁ、次作も。

チョウセンアサガオの咲く夏

#漢


▼チョウセンアサガオの咲く夏 / 柚月裕子(Kindle版)

日本一漢らしい女流作家柚月裕子の新作は11篇からなる短編集
この作家の短編集はおそらく初だと思うのだが、この中の数本はアンソロ
ジー系の作品で発表済みのモノ。読み終わった後に気付いたけど(^^;)。

相変わらず、「漢」を感じさせるハードボイルドな雰囲気は健在。特に、
やや古い時代を描いた『泣き虫の鈴』『影にそう』は、その世界観が顕著
で、ずっしりとした重厚感が。この2篇だけで、ちょっとした長編を読ん
だ気分にさせてくれるのは凄い。

他にも佐方貞人シリーズのスピンオフや、珍しいブラックユーモアなど、
バラエティに富んだ内容なのだが、注目はあの【おそ松さん】のキャラを
登場人物とした『黙れおそ松』かな?コレはかなり笑えます。

少しとっちらかった感こそあるモノの、短編集として見れば良作揃い。
完全新作の繋ぎに是非!

ONE PIECE magazine Vol.14

#RIVALS


▼ONE PIECE magazine Vol.14

コミックス102巻のリリースに合わせ、翌日に発売されたOPM13号
今回の特集のタイトルは「RIVALS」。これまでルフィと戦ってきた
総勢39名のライバルたちが、かなりの物量で紹介されている。

初期のクリークなど、存在自体を忘れていた(^^;)キャラも居たが、
それよりも実力的にライバル認定したくないキャラもチラホラ。
昔ならその筆頭にベラミーの名前を挙げた気がするが、彼が見事な
ベビーターンを果たした今、いちばんのクソ雑魚候補(^^;)は、や
っぱりホーディ・ジョーンズかな? ワポルシーザーも捨てがたい
けど。

ちなみに次号vol.15では『ONE PIECE FILM RED』の総力特集。
映画観てから読むべきなんだろうなぁ、きっと。

シェア

#イヤミスの教祖 #ミスリードメーカー


▼シェア / 真梨幸子(Kindle版)

2022年最初の真梨幸子作品。
今回もイヤミスの王道を行く作品で、もう他の追随を許さないクオリティ
メチャクチャ面白かったのだけど、ちょっとだけ背景を深堀り

今作品のテーマ「真梨幸子のコロナ禍解釈」にすべきかと。
何人かの作家がコロナ禍の状況を加味した作品を出しており、そのおおよ
そは通り一辺倒なカタチに収まってしまいがち。しかし、我らが幸子サマ
発信手法はあまりに見事コロナ連鎖倒産や何故か価値の上がった不動
、そして持続化給付金詐欺など、実際に起こった事象をしっかりとイヤ
ミスにアダプト。これにはハッキリと唸らせていただきました

残念ながら今回は珍しく途中で結末が読めてしまったが、それすらも楽し
めてしまうのがポイント。登場人物に善人の類いは一人としておらず、誰
もかれもがダメ人間(^^;)、という状況で作品を構成するのは、真梨幸子に
しかできない芸当な気がしてならない。

イヤミスが大好物な僕からすると、至極の快楽
次はどんな悪意が来るのか、と思うと、もう楽しみでしょうがない。
今年の真梨幸子にも更なる注目を!