録り溜めしておいたWOWOW連続ドラマW「片想い」を一挙に観る。
原作は東野圭吾。氏の作品の中でも「さまよう刃」と並ぶ問題作で、いわ
ゆるジェンダー、LGBT問題を題材にした作品。
内容が内容だけに、地上波でドラマにするのは絶対に無理だと思っていた
のだが、さすがは硬派な連続ドラマW枠。予算もキャスティングも脚本も、
ちょっとした映画を凌ぐレベルで構成してくるのだからさすが。
僕が片想いの原作を最初に読んだのはおそらく2008年頃。読後感が著し
く悪く、レビューも書かなかった作品なのだが、そういう作品であるから
こそ強烈に心に残っているのだが、アレが映像になるのが全くピンと来な
かった。しかし・・・。
とにかく、主役「男性の心を持った女性」日浦美月を演じた中谷美紀が
文字通り鬼気迫る演技。最初はどうかと思ったキャスティングだったのだ
が、終わってみればもう彼女以外に美月を演じられる役者はいなかった、
と思うほど。これを受ける桐谷健太と鈴木浩介の演技も凄まじく、重厚こ
の上無い。他のキャストも捨て役が全く無く、完成度はMAXと言っていい。
原作を読んだ時のあの感じ・・・なんとも言えないイヤな気分・・・を随所に感
じたのだから、この映像化は大成功。連続ドラマW、来年は伊坂幸太郎の
あの作品をドラマ化するらしい。マジか!と今も思っているが、片想いを
極上のドラマに仕上げたWOWOWチームなら、あるいは・・・。