忘れじの外国人レスラー伝

#DECADE


▼忘れじの外国人レスラー伝 / 斎藤文彦

フミ・サイトーこと、斎藤文彦の新刊ノンフィクション。
新書でリリースされるプロレス本、というのは最近ではあまり無かった気
がする。書店で見掛けたのではなく、Amazonのリコメンドで購入。

登場するのは10人ガイジンプロレスラー。羅列すると、
“神様”カール・ゴッチ、“白覆面の魔王”ザ・デストロイヤー、“大巨人”
ンドレ・ザ・ジャイアント、“人間風車”ビル・ロビンソン、“爆弾小僧”
イナマイト・キッド、“人間魚雷”テリー・ゴディ、“殺人医師”スティーブ
・ウィリアムス、“刺青獣”クラッシャー・バンバン・ビガロ、“皇帝戦士”
ビッグバン・ベイダー、“暴走戦士”ホーク・ウォリアー。
10人の共通項は「故人である」ということ。

この10人にはそれぞれ大いなる思い入れがある。であるからこそ、淡々と
描かれる各人の「終わりと始まり」は、びっくりするくらいスッとコチラ
に入ってくる。彼らがリングで闘う姿は今も鮮明。フミさんが書いている
通り、ファンが思いを馳せているウチはずっと彼らは生きている、と僕も
思う。

極めて冷静な文体だが、行間から滲み出る愛情を誰もが感じる筈。
プロレスとかそういうのは関係無く、フミ・サイトーのような文章は僕の
理想。こういう文章を書ける人になりたいなぁ・・・。

殺しの許可証

#公安ブラックユーモア


▼殺しの許可証 アンタッチャブル2 / 馳星周

先月初めに読み終わり、その段階で続編を購入してあった馳星周単行本
レビューまで間が空いたのは、買った事実を忘れていたから、とは口が裂
けても言えない感じ。

捜一から公安に飛ばされた宮澤は、どういうワケだかアタマのオカシイ上
司・公安アンタッチャブル椿に気に入られ、椿の助手としては最長の勤
務記録を今も更新中。おかげで捜一への復帰など考えられない状態なのだ
けど(^^;)。そんな折、現政権の起こした不祥事に関係した、と思われる関
係者が次々に死亡。椿は官邸の関与を指摘、宮澤も渋々その捜査に付き合
うのだが・・・という内容。

公安モノなのに妙に笑える、というのは前作と同じ。違うのは、今回絶対
的なヒールとして登場する官邸チームのモデルが、間違いなく安倍政権
あるということ。そういえば森友・加計問題自殺した官僚が居たが、も
しかしたらその辺りにインスパイアされて書いた作品なのかも。

しかし、前作と比較してストーリー展開にかなり無理がある気が。もちろ
ん一応の辻褄は最終的に合うことにはなるのだが、あまりの荒唐無稽さ
さすがに少し呆れたほど(^^;)。

まぁ、つまらないワケでは無いのだけど、起こっている事件がそこそこシ
ビアなのに、肝心なところをウヤムヤにしている感は否めず。続編を読み
たくなる作品であることに変わりは無いので、次回はもう少しだけしっか
りした物語になると嬉しい!

大泉洋のホラ話①

#喧嘩太鼓


▼水曜どうでしょう ~大泉洋のホラ話~ ① / 大泉洋・星野倖一郎

とんでもないマンガ第1巻が発売された。
HTB「水曜どうでしょう」に於いて、大泉洋が口から出まかせで語った各種の
ホラ話を、なんと劇画にしてしまう愛すべきバカ(^^;)が。

収録されているのは、東映映画にもなった(?)「喧嘩太鼓」、軽井沢での
荒々しい恋を描いた「チャタレイ夫人との恋」、そして豪州で地元勢を相手に
した呑み比べエピソードの「男と酒(英題:Men & Alchol)」

どれも魅力的なエピソードなのだけど、まさかコレらを大真面目にマンガにす
る作家が居るとは思わなかったですよ、ええ(^^;)。

・・・そして、1巻が出た、ということは2巻もある、ということ(^^;)。
本当にバカのやることは全く・・・という思いもあるが、それ以上に2巻が楽しみ
でしょうがない。オレもバカだなぁ、って思うよ、本当に(^^;)。

根腐れ

#ストロベリーナイト


▼根腐れ 警部補・姫川玲子 / 誉田哲也(Kindle版)

誉田哲也のシングル。
今回も姫川玲子・ストロベリーナイトシリーズで、今作の語り部は、姫川班
いちばんの若手、小幡浩一巡査部長。部下から見た姫川玲子有能さ異常
、何よりも鋭さが描かれている。

面白かったのは、このエピソードが取調室だけで完結していること。捜査シ
ーンの類は一つも無く、取り調べだけで容疑者(?)を追い詰める姫川班長
はやはり切れ者で、その格好良さは警察小説に出てくる女性キャラの中では
間違いなくNo.1。また惚れ直しましたよ、ええ。

そして、ストロベリーナイトシリーズを読んでいると、どうしても思い出し
てしまうのが竹内結子の不在。どんなにすばらしいエピソードが誕生し
ても、もう最高の映像化は無い、というのがあまりにも・・・。二階堂ふみじゃ
ちょっとなぁ・・・。

暗手

#八百長野郎!


▼暗手 / 馳星周(Kindle版)

こないだ読んだ「夜光虫」の刺激が収まらず、続編を購入。馳星周強化月間
は終わる気配を見せず(^^;)。まぁ、退屈しなくていいのだけど。

続編とは言いつつも、夜光虫からなんと19年ものブランクを空けてリリース
された作品。最近文庫になったので、単行本の発売からも3年が経過している
計算になる。

前作ラストで「殺し屋」に変貌した加倉。整形で顔も変え、台湾や中国では
“悪霊”の二つ名が。そんな加倉の現在地はなんとイタリア・ミラノ。殺しは
封印し、今度は野球ではなく、欧州各国の国技とされるサッカー賭博で生計
を立てている。現在の異名、それがタイトルの「暗手」
そんな加倉に、セリエAで活躍する日本人ゴールキーパー八百長をさせろ
という依頼が。動き出した加倉だが・・・という内容。

前作は紛うこと無きノワールな上に、新人らしいワイルド荒削りな文体が
迫力を出していたのだが、今作はやはり趣が違う。今の馳星周は直木賞も取
った超一流の作家であり、勢いに任せる必要が全く無い。状況が良く理解で
きる的確な構成と、渋さ漂うカッコイイ文章は、前作よりも確実に読ませて
くれる作品

今後の展開をバシバシ予感させるラストだが、果たして続編はいつになるの
か、今から楽しみ。さすがに次は19年も間を空けないと思うので。