週刊プレイボーイのプロレス

#1990年代のWPB


▼週刊プレイボーイのプロレス / 佐々木徹

かつての週刊プレイボーイ名物編集者佐々木徹氏の作品。
まさかこんなタイトルの本が、G SPIRITS BOOKとしてリリースされるとは夢
にも思わなかった。

80年代中盤、新生UWFがブレイクした頃の我々はとにかく「情報」を得るこ
とに貪欲だった。週刊プロレス・週刊ゴング・週刊ファイトの3誌は必ず購入
し、下手すれば駅売りの東スポも毎日買う。裕福だったワケでは無いので、
とてもじゃないが一般誌などに金は使えない。週プレにプロレスの記事が掲載
されていたとしても、それを買うことはほぼ無かった。

・・・にも関わらず!
僕はここに掲載されている記事のほぼ全てに覚えがある(^^;)。おそらく書店
での立ち読みが殆どで、手元に置かない雑誌だから余計に覚えたのかと。今に
して思うと、プレイボーイを真剣に立ち読みしている図、というのは、あまり
好ましいモノでは無かったかなぁ(^^;)。

とにかく佐々木さんの手掛けたプレイボーイのプロレス記事が、ジャンル
時系列でしっかりまとまっている意欲作。やたらがある上に1ページ2段組
膨大な文字量なのにも関わらず、文章を追いかける作業が全く苦にならない
専門誌にあるような良い意味での暑苦しさ胡散臭さからかけ離れた表現を
当時は「新鮮」に感じたのだが、今改めて読み返すと「カッコイイ」
きっとそれがWPBプロレスの真骨頂なのだ、と思う。

章間の書き下ろしエピソードも含め、トータルで完成された一冊
佐々木さんが相変わらずプロレスに「熱い」ことが、本当に嬉しくてならない。
もう一度、あの頃のノリでプロレスが観たいなぁ・・・。

夜光虫

#八百長野郎!


▼夜光虫 / 馳星周(Kindle版)

馳星周アンリミッテッドからのチョイス。
随分前に紹介文熟読しており、近いうちに読むことが確定していた作品。
事前に抱いていた期待を大きく超える「非道い話」である。

主人公は台湾プロ野球で活躍する日本人投手。かつては日本のプロ野球
ノーヒットノーランを達成したこともある選手だが、故障を理由に台湾へ
流れ、今では放水・・・いわゆる八百長・・・に加担する落ちぶれピッチャー
順調にブラックマネーを稼いでいたが、ある日突然チームメイトと共に
湾ヤクザに拉致されて・・・という内容。

野球は好きだが、知っているのはNPBMLBだけな僕(^^;)。
故に台湾のプロ野球は全くピンと来ないのだが、興味は多少あった。
・・・そういう人は、絶対にこの作品を読んではいけない、と思う(^^;)。

台湾球界の描かれ方は、さながら魔窟「黒道」と呼ばれる台湾マフィア
とズブズブであり、不正試合は当然のようにまかり通る。更に、全体的な
レベルがやたら低い、という表現。現実の台湾球界がこれほど非道いとは
思わないが、ヘンな先入観が生まれる可能性あり。実際僕がそうなちゃっ
たのだから(^^;)。

その部分さえ除けば、やはり馳星周らしいノワール感満載のハードボイル
ド作品。主人公以外の登場人物の殆どが残虐にバンバン殺され、最後には
何一つ残らないし、誰も幸せにならない、という・・・。

徹底したノワールの読みたい人はぜひ!
もう一度言うが、台湾プロ野球に興味のある人は、間違っても読まないよ
うに。避けろ!!

殉狂者(下)

#セクトブギウギ


▼殉狂者(下) / 馳星周(Kindle版)

馳星周殉狂者下巻のレビュー。
過去と現在が混在するスタイルはそのままだが、下巻はどちらかと言えば
現在の方が修羅場になる。過去と現在が繋がったところで、全ての謎が解
明される、という構成なのだけど・・・。

正直、ミステリーとしての深さはほぼ無い。上巻を読んで想像した通りの
展開であり、謎解きは容易。今回は珍しくディテールまで含めた全ての謎
が想像通りであり、少しだけ食い足らなかったかもしれない。

しかし、「スペインの過激派組織の過去と現在」という、ちょっと想像す
るのが難しいテーマを取り上げるセンスはさすがに馳星周。ここに日本人
運動家を絡め、現代とリンクさせる、というアイデアはさすがで、なんと
なく謎が解明した段階でもハラハラした感じで読めた。

馳星周のリアリティの鋭さは他の追随を許さない氏独自のモノ。この世界
にハマってしまうと、ある意味で泥沼な気が(^^;)。すっかりズブズブ
ちょっと怖くなってきたけど(^^;)。

六法全書

#ストロベリーナイト


▼六法全書 警部補・姫川玲子 / 誉田哲也(Kindle版)

誉田哲也シングルは、なんと姫川玲子・ストロベリーナイトシリーズ
今回の主役は姫川班の木戸修こと、中松信哉巡査部長いぶし銀の視点から
見た「年下・異性の上司」論が描かれている。

ストロベリーナイトシリーズはその生い立ちから生々しくグロい展開が殆ど
なのだけど、短編になると何故か切り口「普通」になる(^^;)。まぁ、いつ
でも命のやり取りを繰り広げ、実際に死者もたくさん出ている姫川班なのだ
から、こういう展開だとかなりほっこり出来るのも事実。まぁ、古くからの
ストロベリーナイターズとしては、こういうのも好き、ということ。

驚いたことに、来月早々もう1本のシングルがリリースされる予定。
・・・もしかしたら、姫川玲子系の短編集が年明けあたりに出る、というフラグ
の可能性アリ。だとしたら嬉しいなぁ、コレ。

証言 UWF×プライド

#UWF #NJPW #PRIDE


▼証言 UWF×プライド / V.A

好評を博している宝島「証言」シリーズ
今回は黎明期の総合格闘技に出場したプロレスラーと、その関係者たちへの
インタビューで構成されている。

登場するのは高田延彦・田村潔司・アントニオ猪木・榊原信行・中邑真輔・
藤田和之・佐藤大輔・川崎浩市・島田裕二。UWF関係者は高田田村だけな
のにタイトルにUWFが付く。販売に影響があるのかなぁ、UWFの冠が無いと。

物心ついた頃からずっとプロレスファンだった僕は、今でも「プロレスこそ
最強の格闘技である」という思いが消えない。時代は変わり、今プロレスと
格闘技を一緒に語る人はほぼ居ないと思うが、田村・中邑・藤田の3名はそ
ういうプロレスファンの最後の熱い思いにある程度応えてくれた名選手たち。
彼らが語る「総合格闘技」という未知の領域へ踏み込んだ思い出は、非常に
重く、そして興味深い内容であった。

もう一つ懐かしかったのは、PRIDEで審判部長まで務めた元バトラーツのレ
フェリー、島田裕二氏の記事(ターザン山本との対談)があったこと。
僕は島田レフェリーこそPRIDE躍進の立役者だと思っていたのだが、アレ以
降の消息を全く聞かず、かなり気になっていた。今は別分野で成功している
ようで何より。

証言シリーズもこのテーマを出してしまったら、少なくともUWFに関する
書籍は終了だろうなぁ、と。編集部にはUWF以外に僕らを惹き付けるテーマ
を模索して欲しい。このシリーズ、非常に良いと思うので。