妖の掟

#オカルティック・マジェスティ


▼妖の掟 / 誉田哲也(Kindle版)

誉田哲也の新刊は、なんと「妖の華」続編
400年以上生きる和製吸血鬼「闇神」紅鈴が、相棒の欣治と共に闘う物語。

今回は気まぐれでヤクザの手先をしていた青年を助けてしまった二人が、ハ
ードな暴力団抗争に巻き込まれていく話。ヤクザ警察、そして驚いたこと
敵対する闇神の集団まで出現し、事態は混沌を極めていく・・・という内容。

もっとあって良さそうな感じはあるが、誉田哲也作品で真っ当に「ホラー」
なのはこの「妖の掟」と、前作にしてデビュー作である「妖の華」のみ。
おそらく紅鈴というキャラクターに勝るオカルトキャラを創るのが難しいの
ではないか?と思われる。今回は紅鈴のエロくてカッコよく、そしてコミカ
なキャラが際だっており、新たなシリーズの主役になりそうな予感がした。

この数週間で幾つかの作品を読んでいるが、やっぱり誉田哲也作品の惹きは
強いようで、まぁあっという間に読了。これだけ早いと若干損した気分にな
るのは、ちょっと悔しい(^^;)のだけど。

カケラ

#旧・イヤミスの女王


▼カケラ / 湊かなえ(Kindle版)

湊かなえの新刊。
さて今回はどんな方式で来るかと思いきや、まさかの原点回帰イヤミス
展開されている。名作「告白」と同様の独白形式、否が応にも期待してしま
ったのだが・・・。

カリスマ女性美容整形外科医が、ある少女の自殺に纏わる話を関係者に順
にインタビューしていく話。それぞれが生々しくドロドロした人間臭い話
が展開される。インタビューが終了した段階で、彼女の中には一応決着が付
くのだが、果たしてそれが正しいのかどうか・・・という内容。

僕が湊かなえに惹かれたのは、当時日本一とも言われた「人間のイヤな部分」
描写力イヤミスというジャンルを切り開いたのは明らかにこの人であり、
その勢いに圧倒されてあっという間にマニアになり、ここまで全ての著作を
読んできたのだが・・・。

どうやら、僕はもう湊かなえにイヤミスを望んでいないらしい。
この人キッカケでイヤミスにハマった僕だが、その分野なら既に他の作家の
方がもっとテクニカルで心に刺さる文章を書いている。ソレに比べると今回
の作品の印象はあまりに中途半端奥歯にモノが挟まったかのような感じが、
読了後もずっと続いている。

湊かなえが好きな作家であることは一生変わらないと思うけど、出来るなら
「ブロードキャスト」の続編とか、「未来」テイストの作品が読みたい、と
強く感じた次第。まさかこうなるとは思わなかったなぁ、実際・・・。

新日本プロレスV字回復の秘密

#NJPW


▼新日本プロレスV字回復の秘密 / 新日本プロレスリング(株)(Kindle版)

2015年発行の本。
この作品に限らず、プロレス関係の書籍が続々とUnlimited扱いに。コレも
コロナの影響なのかと思うと、ありがたいあやら悔しいやら(^^;)。

新日本プロレスが完全に息を吹き返し、日本のプロレス界で一人勝ち状態
入った頃に書かれた作品。棚橋中邑の奮闘が実を結び、オカダの登場で完
全に復活した新日本プロレスのV字回復の軌跡を振り返ると共に、将来的な
展望が描かれる。内容はややビジネス書籍っぽいのだが、その雰囲気がすれ
っからしのプロレスファンの心を打つ、という感じ。

結論から言えば、5年前に読んでおくべき本であった、と(^^;)
なぜならここで描かれる「将来」とは、2020年を指しており、そうなると
今現在その「結果」が解ってしまう。残念ながら新日本プロレスリング株式
会社の年商は100億に届いていないし、コロナ禍という未曾有の事態も起こ
ってしまった。何故だかそれが、悔しくてならない

しかし!
まもなく復活する新日本プロレス、あと5年もすればここに書いてある数値
を高い確率でクリア出来るかもしれない、と言っておこう。この状況で新日
本プロレスが観られない、というのは苦痛以外の何物でも無かったのだから。

そして2025年には「新日本プロレス大躍進の秘密」という本がきっと出る。
ソレを読んで偲びたいなぁ、を。

史論‐力道山道場三羽烏

#プロシタン通信


▼史論‐力道山道場三羽烏 / 小泉悦次

プロレス史探求家として高名な小泉悦次氏の著書。
G SPIRITSでそれぞれ短期集中連載された「ショーヘイ・ババのアメリカ武者
修行」「カンジ・イノキのアメリカ武者修行」「キンタロウ・オオキのアメリ
カ武者修行」の3篇の記事を大幅加筆した上、プロローグエピローグを足し
て構成されたもの。

僕が「プロレス史」に大きな興味を持つようになったのは、かつてネット上で
Joe Hooker Sr.氏のウェブサイト「プロシタン通信」に出会ったから。そこで
読めた文章は正しくで、貪るように全文を読破。その後はJoeさんにメール
までしてしまい、Joeさんの発行するファンジンの読者にまでなった。

小泉さんの文章からはその流れ(?)を大いに感じる。
事実は事実として整然と並べた上に、絶妙のタイミングで仮説をインサートし、
最後にはしっかりした文章で意見を述べる、という説得力に溢れる展開
プロレスで言えば間違いなくストロングスタイル。それも、人を惹き付けまく
って止まない、全盛期の猪木のファイトに酷似したスタイルだと思う。このス
タイルはプロレスだけでなく、全てのドキュメント作品に有効な気がする。

この本では力道山道場若手三羽烏と呼ばれた猪木・馬場・大木の海外武者修行
時代にスポットを当て、その動向を詳細に解説。3人を均等に扱っているのだ
が、この作品の主役金一(キム・イル)こと大木金太郎である、という気が
してならない。そこに狙いがある気がするのだが・・・。

G SPIRITSでの連載時も夢中になったのだが、こうやって一冊にまとまると更
におもしろくなるのが不思議。意外だったのは小泉悦次氏の著作が、やや特殊
な大作である「プロ格闘技年表事典」に次いで2作目であること。これまでの
文章をまとめて貰っても良いし、書き下ろしでもかまわない。もっと大量に、
果てしなく著作を発表してくれることを強く願う。

堪能させていただきました! 玉稿、まことにありがとうございます!

流浪の月

#本屋大賞


▼流浪の月 / 凪良ゆう

2020年度の本屋大賞受賞作品
それだけをキッカケに、凪良ゆうという耳慣れない名前の作家の本を買い、
1ヶ月くらい前から読み始めたのだが・・・。

まず、僕が1冊の本を読むのに1ヶ月かかる、という事態が異常。原因は幾つ
か考えられるのだが、何よりも扱われている題材が「重い」こと。もちろん
重い小説は多々あり、どちらかと言えばそういう作品ほどのめり込んでしま
う場合が多いのだが、この本の題材は僕がいちばん苦手な種類。展開が広が
りを見せ始めると読む気が萎えてしまうのだから、かなり相性が悪いのかも。

そして若干イライラするのは、「特殊な愛情」が描かれているにも関わらず、
セクシャルなシーンが一切描かれていないこと。内容が内容だけに、生々し
く書かれていたらドン引きしていた可能性はあるのだが、ソレが無い所為で
物語のリアリティが著しく欠けてしまっている感。カンタンに言うと、すご
「不自然」なのだ。

この作家の経歴を調べてみると、ずっとボーイズラブ作品を書いていた人ら
しい。だとするなら、この不自然さも納得出来るのだが、もしかしたら苦手
なタイプなのかも。本屋大賞を取るくらいだから、才能はある筈なんだけど
なぁ・・・。