男色ディーノ × 棚橋弘至

#これが、プロレス


DDT『WRESTLE PETER PAN 2025 day2』後楽園ホール大会。
ダブルメインイベント1、ドラマティック・ドリームマッチ対戦カードは・・・。

男色ディーノ vs 棚橋弘至
年齢にして一歳違いの両雄は、共に大学時代、関西で学生プロレスのカリスマ
だった。しかし、関西の学生プロレスは関東の様な横の繋がりは無く、この時
代の両雄が絡むことは無かった。その後、棚橋は新日本プロレスに入門、自他
共に認める“エース”となり、なんと社長にまで登り詰めた。一方のディーノも、
ゲイキャラクターを極め、DDTの“アイコン”に。棚橋は来年初頭の引退が確定
しており、二人の対戦は夢のままに終わる、と思われていた。が・・・

棚橋引退がアナウンスされてしばらく経った頃、ディーノは自らのNoteにて
棚橋弘至への想いを激白。言わないで後悔するより、言って後悔する方がマシ
と開き直り、棚橋との対戦を要望した。おそらくDDTは、ディーノの意向を尊
重し、新日本と交渉。スーパーササダンゴマシンからの「奢り」として、この
禁断のカードが実現に至った。

この試合を観るため“だけ”に、僕はWRESTLE UNIVERSE会員登録
本当は生観戦したかったのだが、いろいろな事情で後楽園ホールに行くことは
出来ず。ただ、この選択は今にして思えば大正解だった。

・・・だって僕は、最初から最後まで泣いていた。それも、ほぼ大号泣
ディーノがこの試合に並々ならぬ思い入れを持って臨んだことは疑いようが無
いが、一方の棚橋もディーノに対して大きな思い入れがあったに違いない。
そうでなければ、急所の掴み合いキスの交換コスチュームの脱がせ合い
繰り返されたこの試合で、感動などできるワケが無いのだから。

ディーノも棚橋も、本当に懐が深い
プロレスに対する解釈は人それぞれだと思うが、二人が繰り広げた「戦い」
『人生の投影力』を競ったモノであり、結果は完全に互角。エースとアイコン
に、心の底から拍手を贈ると共に、大きな感謝を贈りたい。

そして、改めてディーノにもう一度御礼を。
棚橋弘至は男色ディーノと戦えたことで、計り知れない幸福を手に入れたハズ。
もしかしたら夢が叶った男色ディーノより、かつてターナー・ザ・インサート
だった男の方が、充実感を味わっている気がする。

これこそが、これが、プロレス。観ている僕も、相当幸せだった
プロレスを魅せてくれて、本当にありがとう!

イロモノの野望

#リアルな天才


イロモノの野望 / 男色ディーノ(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

DDTのアイコン”こと、男色ディーノの著作。
ディーノは3日後、DDT後楽園ホール大会にて新日本プロレス棚橋弘至との
シングルマッチに臨む。カード発表と同時にチケットがソールドアウトになった、
という、ある意味で「夢の対決」の前に、どうしても読んでおきたかった作品。

いわゆる「プロレス頭」良さに於いて、ディーノは国内プロレスラーの中でも
1・2を争う天才。そもそもディーノがDDTに上がるきっかけになった試合とい
うのが、インディ団体で行われた『透明人間』との一騎打ち。この試合の完成度
に唸った高木三四郎がほぼ三顧の礼でDDTに迎え入れた、というまるで都市伝説
の様な事実。この作品のサブタイトルが『透明人間と戦ってわかった自分の商品
価値の上げ方』なのは、その“奇跡”に由来しているハズ。

“ゲイ”という取り扱い注意なキャラクターを20年に渡って演じ続け、そのキャラ
のまま“ここぞ!”という場面では絶対的なエースとしてファンの期待を一身に背
負って魅せる。ゲイキャラのままファンから絶対的な信頼を得ている、というの
は、考えてみればかなり凄いこと。そんな芸当はディーノ以外の誰にも出来ない、
と心から思う。

そしてディーノは、プロレスに於ける「物語」の作り方が圧倒的に上手い。
リング上で行われるのは”通常のディーノの試合”だが、試合に至るまでに自ら
の思想や過去の因縁などを解りやすくファンに伝え、期待を煽りまくる。プロ
レスの魅力が『プロセス』であることを誰よりも解っており、我々はディーノ
の掌から動くことが出来ない。こういうのを、普通に「天才」と呼ぶ。

そんな天才、男色ディーノは、文章でもやっぱり天才だった。
元々ゲーム系のフリーライターとして活動しており、その文章力には定評があ
ったのだが、1テーマで一冊を仕上げられると、その説得力圧倒的。ディー
ノ本人はこの作品を『ビジネス書』としているのだが、そこに偽りは全く無い
自らの経験を事例とし、他分野でソレを生かせる方法が懇切丁寧に記載されて
いるのだから、正直舌を巻いた

僕は男色ディーノというプロレスラーを心から尊敬している。そして、それと
同じレベルで棚橋弘至というプロレスラーにも絶大な信用を置いている。その
2人が、遂にシングルで・・・。いやぁ、楽しみでしかない、本当に。

Gスピリッツ選集 第二巻 初代タイガーマスク篇

#「初代」というブランド


Gスピリッツ選集 第二巻 初代タイガーマスク篇 / Gスピリッツ編(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Gスピリッツ選集第二巻は、予想に反して伝家の宝刀『初代タイガーマスク』
前回の反省を踏まえ、今回は書籍版ではなくKindle版を選択。Gスピリッツ関連書籍
は主に電車内積読する機会が多いので、この選択は正解かと。

さすがに初代タイガーマスクは昭和プロレス最高の“語れる素材”
この作品はGスピリッツ本誌での記事をほぼ時系列再編集したモノだが、やっぱり
書き手の方の情熱がビシバシ伝わってくる。考えてみれば、本誌でタイガーマスクの
特集はこれまで何度組まれたか解らない。厳選されているとはいえ、一冊にまとまる
とその文章量膨大で、やたら読み応えのある書籍に仕上がっている。

プロレス界で永遠に語られるべき存在として、力道山・アントニオ猪木・ジャイアン
ト馬場3名が挙げられるが、その3名を下手すれば凌駕してしまう存在があるとす
れば、初代タイガーマスク・佐山サトルしかあり得ない。初代タイガーマスクが新日
本プロレスで活躍したのはたった2年しか無いが、それだけで力道山・猪木・馬場の
3名を超えてしまう。まぁ、プロレス界には今も面々と続く立体殺法を残し、格闘技
には自らが礎を築いたのだから、それも充分に納得できる。

このダイジェストでおもしろかったのは、新日本時代付き人であり、最初のタイガ
ージムインストラクターを務め、旧UWFで共に復活したヤマちゃんこと、山崎一夫
との対談。この二人の間にいろいろあったことはなんとなく知っているだけに、現在
垣間見える“仲の良さ”が、妙に嬉しかった

いやぁ、このシリーズはマジでおもしろい。
一巻の時にも書いた日本プロレス昭和全日本、後はミル・マスカラス、ないしは
ドクトル・ルチャ連載を一冊にまとめてくれるといいのだけど。

G1 CLIMAX 35・有明アリーナ(決勝)

#G1CLIMAX35 #G1FINAL


新日本プロレス『G1 CLIMAX 35』、東京・有明アリーナ二日目。
見た目、昨日より客は入っているように見えるが、実数はどうなのか正確なところ
は解らず。もしかすると、動員数G1史上最低の可能性も。しかし、こういう時に
熱い試合をしてくれるのがこれまでの新日本プロレス。果たして今日は・・・。

2025年『G1 CLIMAX 35』、決勝KONOSUKE TAKESHITAvsEVIL
どちらが勝利しても初優勝だが、竹下が勝利すれば“DDT所属選手”として快挙
竹下はDDTと新日本AEWトリプル所属ではあるが、やはり我々は竹下をDDTの
選手として見てしまう。そう考えると、新日本生え抜きであるEVIL負けるワケに
はいかない試合なのだが・・・。

僕が望んでいたのは、EVILの勝利。完全にメタ的な考察になるのだが、竹下は既に
世界王者ザックにトーナメントで勝利しており、挑戦権が発生している状態。だ
からここでEVILが勝利すれば、ザック・竹下・EVILの三者での世界王座戦展開が起
こせる。そういう意味でも、EVILには頑張って貰いたかった。

もちろん、反則や乱入・介入デフォルトEVILのスタイルでの勝利。仮に今回の
G1がバッドエンドに終わったとしても、その後で充分に取り返せる、と思っていた
のだが、試合の途中でEVILのセコンド陣が排除された段階でその望みは絶たれた。
良くも悪くも、後半は今の新日本を象徴するような一進一退手に汗握る攻防
稀に見る名勝負にこそなったモノの、勝利の女神は竹下に微笑んだ。

試合が決した直後はかなり落胆したが、竹下の姿を観ていると違う感情も沸いた。
・・・だって、DDT所属選手がG1を取ったんだよ!? 旗揚げ直後からDDTを観てきた
僕に取って、この結果はある意味で痛快飯伏も新日本で天下を取ったが、その時
は新日本のみに所属する選手であった、ということを考えると、コレはマジで快挙
KONOSUKE TAKESHITA、DDTにも所属したまま、東京ドームメインを張り、さ
らにIWGP世界王者になってしまうかも!

僕の望んだ展開では無かったが、今年のG1はやっぱり凄かった
この結果を受け、来年1月のドーム・棚橋弘至引退興行が最高に盛り上がりますよ
うに。KONOSUKE TAKESHITAの今後の動きに注目!

G1 CLIMAX 35・有明アリーナ(準決勝)

#G1CLIMAX35


新日本プロレス『G1 CLIMAX 35』東京・有明アリーナ初日。
G1ブランドをしても、この大会場はさすがに埋まらず。要因は様々あるとは思う
のだが、現段階で新日本プロレスは「ピンチ」と言わざるを得ず。2025年のG1、
準決勝の結果は、そんな今の新日を象徴する結果となった気がする。

今回は順番を逆にしてメインから。
ザック・セイバーJr.(Bブロック1位)vsKONOSUKE TAKESHITA(Bブロック3位)。
Bブロック公式リーグ戦ではザックが勝利。こうなると竹下は絶対に負けられない。
しかし、相手は世界王者ザック。竹下が上がった方がいろいろな展開が望める
というのは解っているのだが、新日ファンとしては非常に複雑。一応竹下は新日本
・DDT・AEW三団体所属ではあるのだが、「新日本所属」と認められるのか?と
言うと・・・。結局、30分近くの攻防を制したのは竹下世界王者に勝利した、という
事実は大きい。その竹下の明日の対戦相手は・・・。

セミファイナル、EVIL(Aブロック1位)vs辻陽太(Aブロック3位)。
EVIL徹底したヒールぶりは、今回のG1でも全くブレていない対戦相手全員
ファレ・東郷の介入を当然と見ており、一人で全員を相手にしてやる、と意気込む。
考えてみればこんな理不尽は無いのだが、ファンにソレを「当たり前」と認識させ
る力が、今のEVILにはある。会社がピンチな時、いちばん頼りになるのは「どんな
仕事でも真面目にこなす」、そして「ソレが継続出来る」人物。EVILは2020年に
L.I.Jを脱退、最初の2年くらいは目も当てられないほど酷いヒールだったが、周囲
の駄目出しにもめげず、ずっと悪役を貫き、その存在を確立して魅せた。
・・・ここまで書いたらもう解るであろう。今のEVILとは、つまりあの頃の棚橋弘至
僕が今回EVILを推す理由は、ピンチの新日本に必要な人材こそがEVILだと思うから。
凄い新人である、ということは認めるが、もう少しだけ積むべきキャリアがあ
るのかも。結局EVILはいつも通りのやり方で、明日に余力を残したまま、決勝進出
を果たした。

決勝戦のカードは、KONOSUKE TAKESHITAvsEVIL
G1決勝戦のカードとしてどうなのか?という意見もあるのは解るが、今の新日本を
“救う”ことが出来るのは、EVILを於いて他に無い。観客が暴動を起こすくらい悪逆
な闘い方で、EVILの勝利。そうなったらスゲェ、と思うのだが!