蒙古の怪人

▼”蒙古の怪人” キラー・カーン自伝  / キラー・カーン

毎号愛読しているG SPIRITSで出版が予告されてからずいぶん経った気が(^^;)。
待たされに待たされたおかげか、書店で手に取った時は思わず笑みを浮かべてし
まった程の待望の一作。“アルバトロス”こと、キラー・カーンの自伝である。

誤解を恐れずに、そして最大限のリスペクトを込めて敢えて言う。
キラー・カーンとは、「世界でいちばん有名な偽モンゴル人」生粋の日本人
ありながら後頭部に弁髪を結ってモンゴリアンを演じ続け、大袈裟で無く全米を
震撼させた最高のプロレスラーの一人。もしかしたらアメリカのオールドファン
は、今もカーンを本当のモンゴル人だと思っているかもしれない。

僕の考える「アメリカで本当にブレイクした日本人プロレスラー」は、実はそれ
ほど多く無い。思いつくままに並べてみても、ジャイアント馬場グレート・カ
ブキグレート・ムタ獣神サンダーライガーTAJIRI、最近の中邑真輔くらい
のもの。もちろんその中に、文句なくキラー・カーンも入っている。

現役時代のカーンは本当に凄いプロレスラーだった。
日本人離れした体躯に加え、あまりに恐ろしい表情。外国人相手でも一切体力負
けせず、相手が誰であろうと(例えばアンドレでも)真正面から攻撃を受け、自
らも真っ向からぶつかっていく。アルバトロス殺法と呼ばれたコーナー最上段か
両膝を落とすニードロップ説得力抜群で、一時は日本人最強かと思った程。
そんな名選手が綴る自らの半生は、やっぱり豪快面白い

印象に残ったのは、キラー・カーンという男の正直さ
カーンほど秀逸なプロレスラーがどうして全盛期にプロレスを辞めなければなら
なかったのか?とか、どうしてこれまでカーンがカール・ゴッチについて語らな
かったのか?など、思わず唸ってしまうようなエピソードが多々。この本を読み
終わる頃には、誰もが新大久保の「居酒屋カンちゃん」に行き、更に深い話を聞
きたくなるんじゃないか? そんな気がする。

そして・・・。
唯一無二のプロレスラー、キラー・カーンを引退に追い込んだ長州力を、僕はや
っぱり好きになれない、と改めて思った。あのど真ん中さえ居なければ、もっと
長くカーンの勇姿を観れたかも、と思うと、改めて腹が立つ。晩年の地獄は因果
応報なんだよな、きっと・・・。

SAKURA GENESIS 2017

新日本プロレス両国大会「SAKURA GENESIS 2017」をNJPW WORLDにて。
メインイベントのIWGPヘビー級選手権、王者のオカダ・カズチカに挑んだの
は、NJC覇者の柴田勝頼。皆が忘れかけている「あの頃の新日本」を体現出来
る数少ないプロレスラーである柴田は、オールドファンの期待を背負ってリン
グに向かった。

・・・凄い試合だった。
柴田は柴田らしく闘い、その全てを受けて勝利したオカダも見事だった。
試合内容は、オカダが王者になってからの5試合(内藤・丸藤・ケニー・鈴木
とこの試合)の中でもベストこういうプロレスが観たかったんだ、と試合後
に感じたのだが・・・。

柴田勝頼は自力で花道を歩いて退場したが、バックステージまで辿り着けずに
昏倒。そのまま病院に搬送され、診断の結果硬膜下血腫と判明。約5時間にも
及ぶ緊急手術を受けたという。最悪の事態が回避されたのは不幸中の幸いだけ
ど、何かが違っていたら大事故になったのかもしれない。本当に背中に寒気が
走った。

こういう時に、自分のわがままさが本当に嫌になる。
激しくて熱く、闘いのあるプロレスを求めるのは、もしかしたらダメなこと
なんじゃないか、と。

だから、柴田にはなんとか完全復活して欲しい。
もう一度柴田の試合が観られれば、僕のわだかまりもきっと解消出来るはず。
お願いだから・・・。

WRESTLEMANIA 33

かなり遅くなったけど、レッスルマニア33のレビューをかんたんに。
アンダーテイカーのラストマッチに関しては既に書いているので、もう2試合
印象に残った試合に関して。

まずはチャンピオンのゴールドバーグブロック・レズナーが挑んだリベンジ
マッチ、WWEユニバーサル王座戦。ここ数ヶ月に渡るこの2人の闘いの総決算。
試合時間こそ短いけど、やはりゴールドバーグの試合単純で面白い。もちろん
レズナーが対戦相手である、というのも非常に重要。昔の新日本プロレスで言う
なら、ハンセンvsアンドレとかホーガンvsアンドレなどと同様の緊張感を味あわ
せてくれるのだから、やはりこの2人も大物。案の定この試合でWWEとの契約が
終了するゴールドバーグが敗れたが、役回りを全うした姿は見事。拍手を!

そして、かなりびっくりしたのがRAWタッグ王座戦・4wayマッチ
王者のギャローズ&アンダーソンシェイマス&セザーロエンツォ&キャス
そして「X」が挑む、と発表されていたのだが、このXがなんとハーディーズ
まさかWWEの伝説がこのメンバーに入り、しかも王者になってしまう、という
大サプライズ。やっぱり考えることが違うよな、WWEは。
しかしハーディーズはこのままWWEに定着するのかなぁ・・・。新日本への登場
の噂もあっただけに、そこはちょっと残念。

今年も祭典は盛り上がった。レッスルマニア特別感は体感しているが故に良く
知っているつもりだし、もう満腹!的な感覚もあるのだが、映像で見ると何故か
「もう一度!」とも思える(^^;)。いつかまた、行けるといいなぁ・・・。

Shinsuke on Smackdown Live!

レッスルマニア33のレビューも書かないうちに、ビッグニュースが飛び込む。
いわゆるレッスルマニアウィークのラストに当たるスマックダウンライブ
収録で、元NXT王者中邑真輔がなんの予告も無く登場。

ミズのプロモをぶった切り、いきなりバイオリニストが演奏を始める、という
あまりにも特別すぎる演出。中邑はテーマソングに乗ってゆっくりリングイン
し、「イヤオッ!」をやっただけ。いやぁ、すげぇわ・・・。

オーランドの観客は大熱狂で中邑の1軍昇格を歓迎。
NXT収録の時と同様・・・いや、それ以上のテーマソング大合唱。この扱いは
AJベイラーの上を行く。もしかしたらかなり早い段階で、WWE王座戦線
に絡むかもしれない。現王者はランディ・オートン。ハッキリ言えば「格」
については既に中邑の方が上かも。

・・・アントニオ猪木に続き(この件文句は受け付けない)、日本人WWE王者
が誕生するかも。ここ数ヶ月間の間は、WWEから目が離せなくなりそう!

Thank You , Undertaker!

フロリダ州オーランドで行われたWWE・WrestleMania 33
年間最大のプロレスイベントは今回も見どころ満載だったのだけど、全体の
観戦記を書く前に、まずはこちらの話題から。


メインに組まれたローマン・レインズとの一戦に敗れたアンダーテイカーは、
一人残されたリング上でゆっくりコスチュームを外した。テイカーは一切の
言葉を発していないのだけど、これは「引退表明」と取って間違いない。

花道をゆっくり進み、最後に一瞬だけリングを振り返る。
おそらくこれは、アンダテイカーの歴史の中でも屈指の表情だったと思う。

お疲れ様でした!
90年の新日本プロレスと94年のWWFマニアツアー、そして2015年の
レッスルマニア31で、アンダーテイカーという唯一無二の選手を目撃出来
たことは、僕の自慢です。

「Try me, I’ll make you famous!」は、一生語り継がなければ・・・。