愛されなくても別に

#別に、何?


▼愛されなくても別に / 武田綾乃(Kindle版)

Kindle Unlimited × 講談社のフェア作品より。
コレをチョイスしたのは、ちょっと前に少しだけハマッたアニメ「響け!
ユーフォニアム」の原作者がこの作家・武田綾乃だったのが原因。だから、
それなりに前向きな内容を予想していたのだが・・・。

学費・生活費のためにアルバイトに明け暮れる女子大生が、ある日使わず
に取っておいたハズの奨学金実の母親に使い込まれていた事を知り、家
を出て行く事に。同じバイト先で働く同級生の家に転がり込むのだが、そ
こで今まで知らなかった感情に目覚めて・・・という内容。

誤解を恐れずに言えば、ある種の「虐待」から逃れようとする女性の物語。
故に物語はかなり重いトーンで進むし、ラストまでに明確な「救い」があ
るワケでも無い。先月読んだノンフィクション『東京貧困女子』で奨学金
のあくどい仕組みも知ってしまっただけに、主人公の将来が気の毒に思え
てしまう。正直、読後はちょっとしたモヤモヤが残った。

ただ、読むのが辛い内容なのにも関わらず、とにかく最後まで読ませてし
まう文章力はかなりのモノかと。出来ればもう少し明るめな内容の別作品
を読んでみたいなぁ、この作家さん・・・。

半グレ

#NEO GANG


▼半グレ / 草下シンヤ(Kindle版)

こちらもKindle Unlimited × 講談社のフェア作品。
言葉は知っていてもその実態がイマイチピンとこない『半グレ』の世界の
構造がよく解るように構成されたフィクション。作者の草下シンヤ氏、他
著にアンダーグラウンド系ノンフィクションが多々。おそらくその道の
プロ、と思われる。

就職難でなかなか内定の取れない大学生。家庭の事情でどうしても新卒
就職せねばならず、藁をも掴む思いで面接を受けたイベント会社が、実は
半グレ団体である環状連合フロント企業。就職後にその事実を知り、な
んとか転職しようとするのだが、いろいろな事情で抜け出せず、そのまま
どっぷりとその世界に染まっていく・・・という内容。

僕は現・元を問わず、いわゆる半グレと呼ばれる団体の構成員との接点が
これまでに全くと言って良い程無い。辛うじてそういう人の使い走りをや
らされていたヤツを一人知っているくらいな上、ソイツがこれまで知り合
った人の中でも群を抜くレベルのバカだったので、その世界の様子の断片
すら知ることが出来なかった。

なので、この作品の内容がリアルなのかどうかは、正直解らない(^^;)。
しかしリアリティはなかなかのモノで、思った以上に引き込まれる。以前
はよく読んでいた任侠系のマンガと似たような読後感ではあるのだが、
こちらの方はいわゆる「救い」の類が一切無い。絶望的なバッドエンド
含め、非常によく出来た作品だと思う。

しかし、コレがリアルに近いとしたら怖い世界だなぁ、半グレ。
今後も絶対に関わらないようにしよう、マジで。

力道山の真実

#日本プロレス界の祖


▼力道山の真実 / 大下英治

プロレス本「××××の真実」というタイトルのモノはおそらくその殆どを読ん
だハズ。で、読み逃しがあるんじゃないか?と探していたら、覚えの無いタイ
トルを発見。相当古い文庫本で、当然古本扱い。主役はなんと・・・力道山

大下英治というノンフィクション系の作家が1991年にリリースした「永遠の
力道山」改題したモノ。こちらの題名には若干の覚えがあるのだが、当時は
スルーしたんだろうなぁ、きっと。まぁ、いちばん金無かった頃だし(^^;)。

日本にプロレスをもたらした力道山に関しては、まぁいろいろな文献を読んで
きたから、内容的にはやや薄い感否めず。ただ、30年以上前にココに書いてあ
ることと同じ知識を持っていたか?と問われると、さすがに自信が無い。タイ
ムリーに読んでいれば、かなり印象が違っていたことは間違い無い。

この本に書いてある内容は、もちろん虚実が入り乱れている(と思う)。
ただ、力道山と当時の任侠組織との関係や、興行関係者との駆け引きなどにつ
いてかなり突っ込んだ記述が成されており、その辺りのリアリティは満点。
力道山が赤坂のナイトクラブで刺され、そこから死に至るまでの状況は詳細に
描写されており、思わず唸ってしまった。

もっとも、力道山という『プロレスラー』に関しては、以前からやや評価し辛
かった僕(^^;)。ソレは、この本を読んでもあまり変わらなかった。アントニ
オ猪木を見いだしてくれたことには感謝しているのだけど・・・。う〜ん・・・。

ONE PIECE 106

#天才の夢


▼ONE PIECE 106 / 尾田栄一郎

ワンピース・106巻が遂に発売開始!
エッグヘッド篇序盤のクライマックスであり、ベガパンク”stella”登場。
大長編だったワノ国篇に比べると、展開が早くて逆に面食らう(^^;)。

コレを記念したPVがまた凄い。
コレ観た上で今一度読み返すことをおすすめしときます♪

しかし、ガープってカッコイイなぁ!

国際プロレス外伝

#IWE


▼国際プロレス外伝 / Gスピリッツ編集部

G SPIRITS MOOKでは3冊目となる国際プロレス書籍
今回の外伝は以前に出た「実録・国際プロレス」のスピンオフ的な位置づけで、
実録の方で掲載されなかった選手・関係者へのインタビューや評伝に加筆修正、
さらに書き下ろしまで加わった充実の内容「東京12チャンネル時代の国際プ
ロレス」とも併せた、カルト三部作最終刊(?)になると思う。

実録の時も驚いたが、この外伝も恐ろしいほどの(^^;)。
レイアウトは新書によくある二段組み、ページ数は500弱。文字数ももちろん
だが、執筆陣熱量もまた凄まじく、情念に溢れたすばらしい作品に昇華して
いるところが凄い。

今作のポイントは、故・ラッシャー木村さんの次男である木村宏さんがインタ
ビューを受け、内側から見た「プロレスラー・ラッシャー木村」について語っ
てくれていること。国際プロレスという団体に於いて、最重要人物と言っても
過言の無い木村さんというファクターが、前2作まででは圧倒的に足りなかっ
たのだが、ようやく最後のピースがハマった感。一般人であるにも関わらず、
Gスピリッツのロングインタビューに対応していただいた木村さんには、心の
底から感謝をお伝えしたい。

あとはアポロ菅原・高杉正彦パイオニア戦志ご両名のインタビューも必読。
あのプロレスバカこと剛竜馬のダメっぷりを忌憚なく語る二人が、良い意味
でも悪い意味でも微笑ましい。伝説の嫌われ者こと、グレート草津には及ば
ないが、も人望無いなぁ(^^;)、と改めて感じた。

読み終わってから確認したのだが、ご存命の方が本当に少なくなった。
何年かに一度くらいのペースで販売される国際プロレス関連書籍だが、語り
部が誰も居なくなってしまったら、それすら潰えてしまう。団体崩壊から何
年経とうが、当時のことを雄弁に語ってくれるマイティ井上氏高杉正彦氏
には、少しでも長く生きて欲しい、と思う。

やっぱりいいなぁ、国際