Mr.REIJI MATSUMOTO

#999


昭和を代表するマンガ家であり、日本のSF・ファンタジーの第一人者でもあっ
松本零士さんが、2月13日に急性心不全で死去。享年85

僕らの世代に生まれた人たちなら、誰もが一度は松本作品の薫陶を受けた、と
言って過言は無いかと。爆発的にヒットした『宇宙戦艦ヤマト』には、何故か
興味をそそられることは無かったが、その後の『銀河鉄道999』には完璧にハマ
った。連載されていた少年キングを毎週購入し、更に単行本を発売日に購入・・・。
今を以て続いている僕のマンガ読書スタイルは、間違い無く幼き頃の999から始
まった。

そして、ヤマトや999が大人気にならなければ、『アニメ』が今のようなモノに
はならなかった気がする。この手の専門誌が続々発刊し、「声優」という職業に
スポットが当たったのは、松本零士作品があったからこそ、だと思う。

僕たちが影響を受けた昭和の偉大なマンガ家は、その殆どが鬼籍に入った。
ちばてつや先生永井豪先生、お二方は1日でも長くご健在でいてください・・・。

そして松本零士先生
僕にメーテルエメラルダスを与えてくれて、本当にありがとうございます。
ただ、999の幕の引き方に関しては若干の疑問もあるので、できればその辺りの
お話を是非聴かせてください。

だからまた必ず、どこかで

▼銀河鉄道999① / 松本零士(Kindle版)

銀河鉄道999・全21巻(Kindle版)

境界線

#罪


▼境界線 / 中山七里(Kindle版)

またもや読むべき本が無くなり、Kindle Unlimitedをチェックして
いたところ、中山七里作品、それも少し新しめのモノがあることに
気付き、迷わずダウンロード。中山七里なら内容に何の不安も無い
と判断した結果だったのだが・・・。

・・・最初から最後まで、読むのがかなり辛かった
東日本大震災が起因となるミステリーであり、ところどころであの
時の酷い光景がフラッシュバックしてしまう。未だにあの震災は僕
に幾ばくかのトラウマを残しているらしく、3.11をモチーフにした
作品は、これまでなんとなく避けて来た気がする。

この物語の中での『罪』に対し、最初は異常なくらいの嫌悪感を持
った。おおよそ考え得る犯罪の中でも、オレオレ詐欺と並ぶくらい
最低最悪であり、犯人は非道い目に遭うのが当然、と思って読んで
いたのだが、終盤でその感覚が思いっきり揺らいだことに自分でも
驚いた。もしかするとコレは、氏お得意の「どんでん返し」と同じ
効果なのではなかろうか?

考えさせられる事の多い、非常に重い物語。この作品、僕はいつに
なったら積読出来るのか、未だに予測が付かない・・・。

WITCH WATCH + SKET DANCE

#DUET DANCE


週刊少年ジャンプ・2023年第10号
今週は『ONE PIECE』が休載、いつもなら流す週なのだが、今号に関し
ては事情が違う。何故なら・・・。

 

篠原健太『WITCH WATCH』が、自身の名作『SKET DANCE』コラボ
10年前、最終回を読んで号泣した“ギャグマンガ”の続きが、令和に入っ
てから読める。こんな最高のサプライズがあるなんて・・・。

嬉しいのは、今のところしっかり登場しているヒメコが、あの頃と変わ
らないまま魅力的な「オトナ」になっていたこと。そして、表情の見え
ないまま最後に出て来たボッスンも・・・。いやもう、涙が出る・・・。

ここ10年でずっと読みたいと思っていたSKET DANCEの続きが遂に!
篠原健太という偉大な才能と、粋な計らいに、本当に感謝します。
生きてて良かった、本当に。

完全版 さよならムーンサルトプレス

#闘魂三銃士 #スペース・ローン・ウルフ #610


▼完全版 さよならムーンサルトプレス / 福留崇広(Kindle版)

以前単行本版でレビューした福留崇広作品が文庫化
まもなく引退を迎える天才プロレスラー・武藤敬司に関するノンフィクショ
ンで、副題は『武藤敬司「引退」までの全記録 』。文庫化にあたり更に大幅
加筆が付加されているのだが・・・。

この作品、再読なのにも関わらず、まるで初めて読んだ本のよう(^^;)。
単行本を読んだのがかなり前、という事実こそあるモノの、おそらく加筆・
修正もの凄いことになっているのではないか?と。以前も書いた通り、僕
にとっての武藤はけしてフェバリットなプロレスラーでは無いのだが、語る
べき選手ではある、という事実を改めて思い出した。

そして行間から溢れる「思い入れ」が凄い。
福留さん、本当に武藤敬司/グレート・ムタが好きなんだなぁ、と素直に感
じることが出来るし、下手すれば共感してしまう。2023年2月21日を迎え
る前に、完全版となったこの作品を読んでおくといいかもしれない。

・・・武藤、引退試合ちゃんとやれるんだろうか??

教誨

#モチーフ


▼教誨 / 柚月裕子(Kindle版)

柚月裕子の新作。長編としては『ミカエルの鼓動』以来。
主人公の一人は、自分の娘と近所の子どもを殺害し、死刑判決・執
を受けた女性。この女性のかなり遠縁に当たるもう一人の主人公
(♀)に、遺骨の引取依頼が。遺品の中にあったノートの「言葉」
に引っかかりを覚えた主人公は、彼女の隠した事実を探し始める・・・
という内容。

モチーフは2006年に起きた「秋田連続児童殺害事件」かと。
この事件、僕の中ではまだ記憶に新しく、容疑者の特徴的なビジュ
アルや彼女の於かれた状況、イジメが原因の壮絶な人生など、強烈
な印象が残っている。この作品内では、現実の事件の容疑者の生い
立ちをほぼ踏襲。実際には無期懲役となった主人公が死刑囚となっ
ており、そこに田舎の閉鎖的な状況を組み合わせている。救いがあ
るとするなら、この作品の主人公が、リアルよりもやや“毒”の抜け
た性格に描かれていることくらい。

・・・とにかく、重い
話が進むにつれて謎はどんどん明らかになっていくのだが、どんな
事情があるにせよ、幼い子どもを2人も殺した死刑囚にどうしても
共感が出来ない所為で、展開が進んでもどんよりした気分が全く晴
れない。コレが完全にフィクションである、ということは理解して
いるモノの、モチーフがモチーフなだけに・・・。

おかげで読むのが辛く、読了までかなりの時間を擁したのだが、と
にかく重く響く鈍痛のような感覚は心に残った。判断は難しいが、
少なくとも“重い”だけの作品では無いことだけは保証する。

相変わらず漢らしいな、この作家。