物語の種

#コロナ短編


▼物語の種 / 有川ひろ

前作から約2年、ようやく発売された有川ひろ新作は、なんとコンセ
プト短編集。読者・関係者から物語の「種」となる投稿を募り、ソレを
元に短編を一つ書く、という形式。ボリュームはそこそこ、全10篇

僕が最初に有川に触れたのはやはり短編集の『阪急電車』。あの時は
ベタ甘な恋愛小説がここまで心に刺さるのか、という新鮮な衝撃を受け
たのだが・・・。

何篇か引っかかる話はあった。
全ての篇で共通しているのが“コロナ禍”であり、コレを生かした物語と
してはかなり秀逸、だとは思う。さらに幾つかでフィーチャーされてお
り、なんとなく今作のテーマにもなっていしまっているちょっと苦手な
『宝塚』に関しても、特に嫌悪感は無い。しかし、阪急電車の時に感じ
凄まじい熱量があったのかと言うと・・・。

・・・でも!
中盤の一篇「ゴールデンパイナップル」だけで、僕の中の“有川ひろ”
いう特別な作家のスタンスはしっかり保たれたのだから凄い。あまりに
響いたので、下記に一部引用。

・・・修学旅行や学校行事の機会も同じだ。仮につまらなかったとしても、
つまらなかったと言えるのはそれを経験したから言えることだ。小説や
漫画、映画やドラマ、エンタメ作品の中で当たり前の様にアイコンとし
て登場するそれらの行事を「知らない」世代が既にいるのだ。そして、
その損失は永遠に取り返しがつかない・・・

この部分を読んだだけで、本当に胸が詰まった
コロナ禍をここまで端的に表現して魅せた作家は他にちょっと覚えが無
い上に、実際に起こったいろいろなことがフラッシュバックしてしまう。
展開に派手さの無い短編集、と思っていたけど、しっかり心を抉って
れた有川ひろに、心から感謝したい。

さてそうなると、次は『長編』でしょ?
2年は待ちたくないぞ、今度は(^^;)。

神仏

#尊敬出来ない老人たち


週刊少年ジャンプ・28号
ONE PIECEはいろいろあって今回の1086話を以て4週間の長期休載に入る。
そういう意味で重要な回なのだけど、よりによって・・・。

今回はちょっと気をつけてみたけど、やっぱりいつものようにネタバレしちゃ
う可能性ありなので、コミック派とかアニメ派の人たちはここから先を読まな
いでくださいませ。

▼週刊少年ジャンプ(28) 2023年 6/26号

タイトル『五老星』
ONE PIECEファンの世界では主に「無能」、ないしは「老害」と表現される
ことの多い五老星全員のフルネームが判明すると同時に、これまで謎でしか
なかったイム様の正体までうっすら(^^;)と判明。今週も喋ったイム様だが、
その言葉には本気で殺意を覚えた(–X)。このくだらないヤツラスボスなの
かなぁ・・・。ちょっとイヤなんですけど(–X)。

ラスト付近ではREDでキーワードとなったフィガーランド家の人物が登場し
たりしたのだが、個人的にいちばん驚いたのは新たに登場したセラフィム
ドフラミンゴモリア、そしてクロコダイルのセラフィムが登場したワケ
だが、やっぱりクロコダイルのセラフィムが・・・。

こんなところで休載に入ってしまうとは、あまりに厳しい(^^;)。
さすがに気になっちゃうなぁ、先が。四週間はキツいぞ、本当に(^^;)。

東京貧困女子。

#明日は我が身


▼東京貧困女子。 / 中村淳彦(Kindle版)

Kindle Unlimitedのリコメンドに出て来た作品を本当になんとなく。
東洋経済オンライン1億2千万PVを稼いだ人気連載に加筆・修正を施
し、一冊にまとめたドキュメンタリー。そのボリュームは相当なモノ。
サブタイトルは『彼女たちはなぜ躓いたのか』

いわゆる『貧困層』に落ちてしまった女性たちのケーススタディ集
昔の常識で考えると「どうしてこんな人が?」と疑問に思ってしまう
くらい、高学歴キャリアのある人たちが墜ちて行く、という事実に
呆然としてしまった。

もちろんドキュメンタリーなので、どのケースにもラストシーンが無い
何が辛いかと言うと、ハッピーエンドで終われそうなトピックが一切
存在しないことで、一章を読む毎に思わず考え込んでしまう。そうい
う意味で、読むのが本当に辛い作品である。

タイトルは『東京貧困「女子」。』だが、果たしてコレに当てはまる
のは女性だけなのだろうか? 正直、どのケースも自分に当てはめる事
が出来てしまう上に、思い当たる状況も経験している。故に、どうし
ても他人事と思えなくなっている自分が居る。

・・・守るべきモノが少なくて本当に良かった、と思う。
僕にはまだ奥の手が、ある。

“THE KING” Nefeltari Cobra

#名君


週刊少年ジャンプ・27号
休載明けのONE PIECE・1085話、ここ数年で最高レベルのインパクトを醸し
出してしまった。

この先ネタバレあり!なので、コミック派とかアニメ派の人たちはここから
先を読まないでくださいませ。

▼週刊少年ジャンプ(27) 2023年 6/19号

タイトルは「ネフェルタリ・コブラ死す」
麦わらの一味の初期メンバーであるビビにして、砂の国・アラバスタ
名君であるコブラ王に、“何か”があったことは既に匂わされていたのだが、
このタイトルで事実が明確となってしまう。正直、呆然とした。

・・・これまでずっと黙っていたのに、雄弁に喋り出しやがった↑↑コイツ
そりゃあいろいろあったのは解るが、よく考えてみればコイツやコイツの周
りに居る5人のジジイたちが、単に無能であっただけのこと。そんなくだら
ない連中に、最高の王様であるコブラが殺されるなんて・・・。

コブラ王はサボ重要なメッセージを残した。
もしサボやビビに何かがあったら、このクソジジイ(クソババア?)たちを
マジで許さない。そうは言ってもそりゃあ許さないだけなんだけど(^^;)。

最期まで、最高の王で居てくれたネフェルタリ”D”コブラに感謝。
また必ず、どこかで。

変な絵

#イラストミステリー


▼変な絵 / 雨穴

前作『変な家』に続き、またも家人が図書館で借りてきた本を又借り(^^;)。
今回は約3時間で一気に読み切った。メチャクチャ早い(^^;)。

『変な家』の重要なアイテムが“平面図”であったのに対し、今回のソレは
“絵”。13年前、とあるブログにアップロードされていた数枚の絵から、
んでもない事件が発覚していく・・・という感じ。

驚いたのは、今作がなんと連関型連作短編であり、中山七里もビックリ
どんでん返しを魅せてくれたこと。ミスリードを誘いまくる文章もすば
らしく、前半から張り巡らされた伏線はラスト付近まででその全てが回収
される。まるで本格ミステリーを読んでいるような感覚。読み応えは満点
で、雨穴という作家のポテンシャルを大いに感じた。

こちらももちろんYouTubeに動画がアップされているので、まずはそちら
をチェックして欲しい。このYouTuber作家注目に値するな、マジで。