境界線

#罪


▼境界線 / 中山七里(Kindle版)

またもや読むべき本が無くなり、Kindle Unlimitedをチェックして
いたところ、中山七里作品、それも少し新しめのモノがあることに
気付き、迷わずダウンロード。中山七里なら内容に何の不安も無い
と判断した結果だったのだが・・・。

・・・最初から最後まで、読むのがかなり辛かった
東日本大震災が起因となるミステリーであり、ところどころであの
時の酷い光景がフラッシュバックしてしまう。未だにあの震災は僕
に幾ばくかのトラウマを残しているらしく、3.11をモチーフにした
作品は、これまでなんとなく避けて来た気がする。

この物語の中での『罪』に対し、最初は異常なくらいの嫌悪感を持
った。おおよそ考え得る犯罪の中でも、オレオレ詐欺と並ぶくらい
最低最悪であり、犯人は非道い目に遭うのが当然、と思って読んで
いたのだが、終盤でその感覚が思いっきり揺らいだことに自分でも
驚いた。もしかするとコレは、氏お得意の「どんでん返し」と同じ
効果なのではなかろうか?

考えさせられる事の多い、非常に重い物語。この作品、僕はいつに
なったら積読出来るのか、未だに予測が付かない・・・。

WITCH WATCH + SKET DANCE

#DUET DANCE


週刊少年ジャンプ・2023年第10号
今週は『ONE PIECE』が休載、いつもなら流す週なのだが、今号に関し
ては事情が違う。何故なら・・・。

 

篠原健太『WITCH WATCH』が、自身の名作『SKET DANCE』コラボ
10年前、最終回を読んで号泣した“ギャグマンガ”の続きが、令和に入っ
てから読める。こんな最高のサプライズがあるなんて・・・。

嬉しいのは、今のところしっかり登場しているヒメコが、あの頃と変わ
らないまま魅力的な「オトナ」になっていたこと。そして、表情の見え
ないまま最後に出て来たボッスンも・・・。いやもう、涙が出る・・・。

ここ10年でずっと読みたいと思っていたSKET DANCEの続きが遂に!
篠原健太という偉大な才能と、粋な計らいに、本当に感謝します。
生きてて良かった、本当に。

完全版 さよならムーンサルトプレス

#闘魂三銃士 #スペース・ローン・ウルフ #610


▼完全版 さよならムーンサルトプレス / 福留崇広(Kindle版)

以前単行本版でレビューした福留崇広作品が文庫化
まもなく引退を迎える天才プロレスラー・武藤敬司に関するノンフィクショ
ンで、副題は『武藤敬司「引退」までの全記録 』。文庫化にあたり更に大幅
加筆が付加されているのだが・・・。

この作品、再読なのにも関わらず、まるで初めて読んだ本のよう(^^;)。
単行本を読んだのがかなり前、という事実こそあるモノの、おそらく加筆・
修正もの凄いことになっているのではないか?と。以前も書いた通り、僕
にとっての武藤はけしてフェバリットなプロレスラーでは無いのだが、語る
べき選手ではある、という事実を改めて思い出した。

そして行間から溢れる「思い入れ」が凄い。
福留さん、本当に武藤敬司/グレート・ムタが好きなんだなぁ、と素直に感
じることが出来るし、下手すれば共感してしまう。2023年2月21日を迎え
る前に、完全版となったこの作品を読んでおくといいかもしれない。

・・・武藤、引退試合ちゃんとやれるんだろうか??

教誨

#モチーフ


▼教誨 / 柚月裕子(Kindle版)

柚月裕子の新作。長編としては『ミカエルの鼓動』以来。
主人公の一人は、自分の娘と近所の子どもを殺害し、死刑判決・執
を受けた女性。この女性のかなり遠縁に当たるもう一人の主人公
(♀)に、遺骨の引取依頼が。遺品の中にあったノートの「言葉」
に引っかかりを覚えた主人公は、彼女の隠した事実を探し始める・・・
という内容。

モチーフは2006年に起きた「秋田連続児童殺害事件」かと。
この事件、僕の中ではまだ記憶に新しく、容疑者の特徴的なビジュ
アルや彼女の於かれた状況、イジメが原因の壮絶な人生など、強烈
な印象が残っている。この作品内では、現実の事件の容疑者の生い
立ちをほぼ踏襲。実際には無期懲役となった主人公が死刑囚となっ
ており、そこに田舎の閉鎖的な状況を組み合わせている。救いがあ
るとするなら、この作品の主人公が、リアルよりもやや“毒”の抜け
た性格に描かれていることくらい。

・・・とにかく、重い
話が進むにつれて謎はどんどん明らかになっていくのだが、どんな
事情があるにせよ、幼い子どもを2人も殺した死刑囚にどうしても
共感が出来ない所為で、展開が進んでもどんよりした気分が全く晴
れない。コレが完全にフィクションである、ということは理解して
いるモノの、モチーフがモチーフなだけに・・・。

おかげで読むのが辛く、読了までかなりの時間を擁したのだが、と
にかく重く響く鈍痛のような感覚は心に残った。判断は難しいが、
少なくとも“重い”だけの作品では無いことだけは保証する。

相変わらず漢らしいな、この作家。

参考図書リリース!

#このミス #このマン


▼このミステリーがすごい!2023年版

▼このマンガがすごい!2023

年末に購入しておいた↑↑の“読書のための参考書”2冊
一応年明けにコレを読み込み、興味を持ったモノを購入して読みまく
るのが定番。今年も双方を興味深く読んだのだけど・・・。

残念ながらこのミス側にピンとくる感じの作品がちょっと少なかった
かもしれない。ベスト10にランクインしてる作品はどれも「本格」
匂いがプンプンし、ちょっと敷居が高い気が(^^;)。実はエセミステリ
ーマニアなんだよね、僕(^^;)。気になったのは5位『プリンシバル』
戦後ミステリーらしいから、コレは購入しよう、後で。

そしてこのマンの方は大豊作。オトコ篇のベスト10作品は持っていな
いモノは全て買ったし、オンナ篇も数作手に入れた。しばらくマンガ
読むのに忙しくなりそうな気配。1位『光が死んだ夏』6位『これ描
いて死ね』は既にオススメ!

今年はブクログ蔵書数4桁に到達したい。読書にも注力だ!