若竹七海、女探偵・葉村晶シリーズ第三弾。
またもや順番を間違えたらしく、第二弾を読む前にコッチを読んじゃった
のはご愛嬌、ということで。
こちらは長編。「依頼人」ではギリギリ20代だった主人公・葉村晶も介護
保険の徴収対象に(^^;)。環境も完全に現代になっており、この年代の女性
らしく近代機器(^^;)のスマホ操作に四苦八苦。探偵は一時休業しており、
現在の立場はミステリ専門書店のアルバイト。シェアハウス住まいの独身、
というのが初期設定。
書店でのアルバイト中、文字通り「降ってて沸いたような不幸な事件」に
巻き込まれ、入院したのが運の尽き(^^;)。同室の老婆から調査を依頼され、
渋々ソレに首を突っ込んだところ、これがあまりに深い事件で・・・といった
内容。
とにかく感心したのは、ありとあらゆるミステリの手法が百科事典の如く
登場してくること。そして長編らしく伏線も随所に散りばめられ、ラスト
近くでほぼ一気にそれが回収されている、という、ミステリファンにとっ
ての「爽快」を感じさせてくれる物語。決して大ハッピーエンドではなく、
扱われている事件もやや暗めなのだが、前述の通り読後感は決して悪く無
いのだから凄い。
短編で感じた「中途半端さ」は見事に消え、全てがスッキリするミステリ
ーの王道と言って良い内容。このシリーズ、僕にとっては“長編≧連作短編”
なのかもしれない。
こうなったら順番関係無く、しばらく葉村晶にハマってみるつもり。
取り敢えず、次はどれにしようかな?