#就活
▼六人の嘘つきな大学生 / 浅倉秋成(Kindle版)
ベストセラーな上に、映画化までされている作品がKindle Unlimitedに。
数年前にちょっと気になっていた作品だったのだけど、何故かそのまま読ま
ずに放置(^^;)。これ幸い、とばかりに読んでみた。
大手IT企業・スピラリンクスの最終選考に残った就活生6人。最後の課題は残
った全員で1ヶ月後までにチームを組み、グループディスカッションを行う、
というモノ。内容が良ければ全員の内定もあり得る、と通達された6人は、自
主的に交流し、お互いの理解を深めていく。ところが本番直前に課題は変更。
「6名で話し合い、内定者を1人決めろ」。渋々開始された議論の最中、会議
室で封筒が発見される。その中には・・・といった滑り出し。
浅倉秋成という作家、初めてかと思いきや、2年前に1作品読んでいた。その
時に気になっていた別作品が正にコレだったのだけど、初読の作品のインパク
トが若干薄く、結局今になってしまった次第。
まず、ミステリーとしての構成はほぼ満点。
初っ端から伏線を緻密に引き、ラストまでにその全てが回収されている、とい
う気持ちよさ。さらに随所に高度なミスリードが組み込まれており、最後には
思わず感心してしまったほど。2年前にすぐに読んでおけばよかった、とちょ
っと後悔した。
しかし、この作品がおもしろいのは「就活」という、ある意味で人生最大の
イベントについて掘り下げられていること。僕自身は就活の経験が一切無く、
事の重大さやその空気感を全く知らない。であるが故に、未知の世界を覗い
ているようで、非常におもしろかった。
・・・だけどまぁ、やんなくて良かったなぁ、就活(^^;)。
この本を読む限り、企業の採用自体が「くじ」のようなモノで、コレは絶対、
と言えるような採用方法など存在するワケが無い。就活生としてそこに翻弄
される時間は絶対に無駄だった、と言い切れる。どこに勤めようが、間違い
なく2〜3度は転職したハズだし(^^;)。
そういうワケで、ミステリーとしても人間ドラマとしても非常に秀逸。
実写映画が現在好評公開中なようなので、観に行ってみてもいいかな・・・。