私の骨

▼私の骨 / 高橋克彦(Kindle版)

何故だか急にホラーが読みたくなり、Kindleストアを徘徊。
そして辿り着いたのがこの作品、「私の骨」高橋克彦作品を読むのは初め
てなのだが、初物には最適な短編集。ちょうどいいや、という感じで。

・・・まいりました(^^;)。
全7作品、舞台は全て東北。本当かどうは検証していないのだが、彼の地に
いかにもありそうな“伝説”っぽい話を、恐ろしいまでのリアリティで凄まじ
怪談に転化。大袈裟でなく、掛け値無しにどれもこれも背筋が凍る程に怖い
すっげぇホラーだと思います、コレ。

いちばん印象に残ったのはラストの「奇縁」。どちらかと言えばミステリー
のテイストが強いのだが、読了後にイヤと言うほどゾッとする。これは体感
すべき作品、と久々に太鼓判を押しましょう。

調べてみたら、この作家の著書は時代小説・歴史小説を始め、ミステリー
そしてもちろんホラーと多岐に渡っている。かつ、日本人として最初に
ビートルズと遭遇した、というあまりに魅力的な逸話を持っている。電子
書籍もたくさん出ているので、いくつか他も読んでみようと。評判の良い
ホラーから!

雪が降る

▼雪が降る / 藤原伊織(Kindle版)

以前から気になっていた直木賞作家藤原伊織の短編集。
バラエティに富んだ短編ミステリーが6篇入って居るのだが、その内容は
噂以上。というか、久々に凄い作家と出会ったかもしれない。
ちなみに藤原伊織は既に故人。ちょっと出会うのが遅かったかも・・・。

ともかくこの作品、テイスト・トーン共に重く、そして暗い。ミステリー
としてのギミックも決して凝っているワケではなく、どちらかと言えば
純文学系の作品を読んでいるいるような気分。こういうのってだいたい
途中でイヤになっちゃうのだが、文章全体から醸し出される独特な“惹き”
のレベルが尋常ではない。これはきっと物語それぞれにハッキリした緩急
が付けられているためで、1篇を読み始めるとその世界観の虜になってし
まうから凄い。無理に説明するなら、「基礎体力運動を毎日欠かさずやっ
ているアスリート」のような安心感がある。

6篇はどれもすばらしいのだが、印象に残ったのはこの中でも一風変わっ
たテイストの「トマト」。他の篇よりも若干短めの不思議系ストーリー
絶妙な位置に配置されており、その効果に驚嘆した。

ミステリーとして読み始めたのに、読後は極上のヒューマンストーリーを
読んだかのような感覚。よくできた企画書を熟読し、一発で採用を決める、
みたいな・・・。

・・・なんて思ってたら、この作家の前職は広告マンだったらしい。
現役時代はきっと凄い企画書書いてたんだろうなぁ、と羨ましく思った。
・・・営業だったらちょっと寂しいなぁ、いろいろ(^^;)。

整形美女

▼整形美女 / 姫野カオルコ(Kindle版)

Kindleストアのリコメンドに出て来た作品。
おそらく吉村達也整形モノを読んだ所為で表示されたと思うのだけど・・・。

・・・いやぁ、しばらくぶりに失礼を承知でハッキリ言いましょう。
クソつまらねぇ、この本(^^;)。

まぁ、いろいろ原因はあると思うのだけど、そもそも論として男が読んで
面白い題材じゃ無いと思うんだ、美容整形って。んで、このタイトルから
想像出来る内容ってやっぱり「整形して美人になったブスの生き様」的な
ハナシな気がするんだけど、内容はやたらな精神論に終始する。良く言え
ば思想的・哲学的なのかもしれないんだけど、文章のレベルはそこまで
高尚では無い。数ページ読んだだけで止めようかと思ったくらいだから(^^;)。

そして、登場人物の名前が旧約聖書「カインとアベル」を捩っているの
も非常に憤る(^^;)。「甲斐子と阿倍子」という名前だけでも相当苦しい
のに、他の登場人物も駄洒落のような当て字の名前を付けてるもんだから、
キャラクターが入って来ない上に読みづらいことこの上無い。

こうなったら最後まで言うが、オチも酷い(^^;)。
読書してここまで苦痛な気分になったのは本当に久し振り。まぁ、世の中
の女子にはこういうのが好きな人も居る、とは思うのだけど、僕にはもう
Too Much
・・・姫野カオルコ作品は、もう手に取ることは無いだろうな、きっと。

初恋

▼初恋 / 吉村達也(Kindle版)

調子に乗って吉村達也作品・2作目にチャレンジ。
「初恋」と題されてこそいるものの、この作品は“角川ホラー文庫”の電子
書籍版。バリバリのホラーを読む心づもりをしてから読んだのだが・・・。

まず、この作品についてもすっごくかんたんに説明。
中堅の会社で年相応に出世している30男が主人公。それ程美人では無い
けれど大好きな妻が居て、もうすぐ子どもも生まれる。仕事も楽しく、
人生に何の不満もない。本人曰わく「中くらいの幸せ」を謳歌していた
サラリーマンが、ある日を境に文字通り奈落の底に叩き落とされる物語。

うん、怖いです、コレ(^^;)。
一つ前に読んだ「禁じられた遊び」でもそれなりの恐怖はあったのだが、
コッチのシチュエーションの方が100倍怖い。普通に考えれば現実には
99%あり得ない話である筈なのに、1%ならもしかしたらあるんじゃな
いか?と思わせる、切迫した文章はなかなか見事。そして「禁じ・・・」と
同様にコンパクトにまとまっており、ドキドキしたまま一冊を読み切る
ことができた。

とにかく、殆ど・・・っつーか、全く悪いことをしていない主人公がマジで
気の毒(^^;)。コレを読んだ男性諸氏は間違い無く初恋の人を思い出すと
思うけど、基本心配しなくていいと思います(^^;)。

そもそもどれだ、初恋(^^;)。
さおりちゃんかきょうこちゃんだと思うんだけど(^^;)。

禁じられた遊び

▼禁じられた遊び / 吉村達也(Kindle版)

誉田哲也・湊かなえ等の重要作家の新作ラッシュが落ち着き、取り敢えず
ツナギ感覚で購入した作品。吉村達也はKindleのリコメンドに時折表示される
作家。タイトルが印象的だったので、まずコレを購入してみた。

いわゆる不倫モノ
ものすごく乱暴に言うと、結婚生活に満足出来ないクソワガママな女が、不倫
機にとんでもないところまで堕ちていく話。ドロッとした人間関係とか、官能的
なシーンとか、この手のモノにありがちな描写が殆ど心に残らない、という(^^;)。
このオンナがマインドコントロールされる場面が最大の見せ場だと思うのだが、
読中「いや、いくらなんでも気付くだろ、フツー」的な感覚をしばしば覚えた。

心情描写の中にネタが完全にバレてしまう表現が多々。情報過多、というか、
ちょっと書き込みし過ぎ。この部分をもう少しサラッと書いていたら、ちょっ
と違った印象になったかもしれない。惜しいなぁ・・・。

ただ、ちょっとした短編を読ませる感覚で全体を短くまとめる手法は良いと思う。
このテイストのまま大長編に仕上げてしまったら、きっとスカスカな感じしか
残らないと思うのだが、適度な短さ故に許せる、という感じ。

「ツナギ」という意味では過不足無し。ちょっと他の作品も読んでみたい気が
するので・・・。