井岡一翔 vs 田中恒成

#「意地」


大晦日といえば大体格闘技なのだが、今年のRIZINはライブで観ようという
気に全くならない。これは選手の問題ではなく、大会運営側の体勢・姿勢
が死ぬほど気に入らない、ということ。で、チョイスしたのが↓↓の試合。

WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ
四階級制覇の王者・井岡一翔に、デビュー当時の井上尚弥と同等に近い評
価を受ける三階級制覇王者田中恒成が挑んだ試合。下馬評では若い田中
が有利とされていたのだが・・・。

1Rは田中のペース、だと思った。かなり早い段階で世代交代となる、と
思っていたのだが、2Rで様子が変わった。ガードを固めつつジャブをま
とめる井岡に対し、田中の足が動かない

そして5R、井岡の狙い澄ましたカウンター左ジャブで、絵に描いたよう
なダウンを喫する田中。なんとか立ち上がりこそしたものの、田中のこ
ういう倒れ方は見たことが無い。

以降は完全に井岡のゲーム。田中も怯まずに前に出たモノの、終始冷静
に有効打を与えた井岡は、結果3つのダウンを奪い、貫禄のTKO勝ち

・・・正直、僕の井岡に対する評価はかなり低かったのだが、この試合に
関しては「最高」と評価する。王者として、先輩として、そしてとし
ての『意地』で、最強の挑戦者を退けて魅せたのだから。感服である。

アンダーマッチでバンタム級の東洋太平洋王座を奪取した比嘉大吾も合
わせ、Ambition GYM周辺の選手たちも大いに期待出来る。年末に良い
試合が観られて、本当に良かった。来年もよろしくね!

TYSON vs JONES Jr.

#IRON


正直、最初に試合開催のニュースを聞いた時には「何を馬鹿げたことを・・・」
と思っていた、マイク・タイソンvsロイ・ジョーンズJr.のボクシング・エキ
シビションマッチ。どんなお茶の濁し方をするのか、と思っていたら・・・。

両者共にあまりに「本気」。特に身体を絞り、全盛期とは言わないまでも、
スピード感溢れる攻撃を繰り出すタイソンの姿は、神々しささえあった。
相手のジョーンズは失礼ながら殆ど試合を観たことの無い選手だったのだが、
デトロイト・ヒットマンスタイルを使いこなすトリッキーな闘いを仕掛けて
来る実力者。おもしろくないワケが無かった。

1R2分エキシビションとはいえ、8Rをフルに闘い続けた両者に感嘆した。
ジョーンズは51歳、タイソンに至っては54歳。そんな2人が本気丸出しで
闘う姿はに、不覚にも感動してしまった。

日本で大金を儲けようとしている元世界チャンピオンに言いたい。
・・・これこそが、本当のエキシビションマッチだ、と。
相手にするのなら、異分野の格闘家、いわゆる素人のボクサーではなく、
引退した選手でも現役の選手でも構わないから、同階級・同じレベルの
「プロボクサー」「真剣なショー」をしてもらいたい。そうでない限り、
僕はアイツを認めたくない。

・・・まぁ、タイソンとアイツとでは、ボクサーとしての価値天と地程の
差はあるんだけど(^^;)。

いつまであるか定かではないけど、一応フルラウンドを!

MONSTER is BACK!

#PFP #LAS VEGAS


ラスベガスで行われたWBAスーパー&IBF世界バンタム級タイトルマッチ
王者の井上尚弥にオーストラリアのジェイソン・モロニーが挑んだ一戦を、
WOWOWエキサイトマッチライブにて観戦。

モロニーに対する予備知識は、WBSSでロドリゲスに判定で敗れた、くら
いしか無かったのだが、試合が始まったところで“かなり良い選手”である
ことに気付く。

勇敢にも怪物の懐に飛び込み、有効打こそ無いものの果敢に拳を振る。
なにが凄いかというと、尚弥の「恐怖」と表現されるボディブローをある
程度耐えて魅せたところ。距離を取られそうになるとクリンチ、という戦
方は褒められたモノでは無いが、ハートも身体も打たれ強い。これは長い
試合になるかも、と思ったら・・・。

6ラウンド最初のダウンを取った左フックは、正直全く見えなかった。
打ち合いの最中であの左を出せる、というのは、よっぽど実戦練習を積ま
なければ出来ない芸当。ダメージは少なかったが、この時点でほぼ試合の
結果を確信した。

7ラウンドは突き刺すような左ジャブのみで試合を支配。コレに翻弄され
たモロニーに一瞬出来た隙を見逃さず、完璧な右ストレート。足から崩れ
た挑戦者は、もう一度立ち上がる事は出来なかった。

前半はちょっとハラハラしたが、終わってみればあまりにも井上尚弥らし
いボクシング。おそらく日本ボクシング史上、最強かつ最高のボクサー
ある、と思う。

次はカシメロか、ウーバーリか・・・。どちらが出て来ても、尚弥が負ける
イメージが全く出来ない。4階級制覇もあるなぁ、コレは。

Fury vs Wilder II

#Gypsy King


“世紀の再戦”として行われたWBC世界ヘビー級タイトルマッチ
王者のデオンティ・ワイルダータイソン・フューリーが挑んだ
一戦を、WOWOWエキサイトマッチでチェック。

ヘビー級はしばらくワイルダーの天下が続くと思っていたのだけど、
今回のフューリー鬼のように強かった。1Rから強打のワイルダー
の右を許さず、迫力満点の左ジャブをおもしろいように当てる。2R
でダウンを奪ってからはフューリーの独壇場で、難攻不落と言われ
た無敗のワイルダーを7RTKO。見事にWBC王座に返り咲いた。

・・・いやぁ、これぞヘビー級
一発々々の重さがやたら伝わるし、さらにフューリーはテクニカル
ですらあった。ファイト内容にムラがあるのがフューリーの弱点と
されているが、今日のような試合を見せつけられると、誰もフュー
リーに挑戦しようとしないと思う。

一方、ワイルダーの今後がちょっと心配。
非凡なチャンピオンであるのは認めるが、この完敗はやはり痛い。
復活してくれるといいんだけど・・・。

村田諒太、初防衛に成功!

#ミドル級王座を防衛する意味


井上尚弥の活躍もあり、やたらと盛り上がった2019年の日本ボクシング。
今年最大にして最後のビッグマッチは、この男の試合であった。

WBA世界ミドル級チャンピオンシップ
正規王者村田諒太に、KO率80%のカナダ人、スティーブン・バトラー
が挑んだ一戦。この試合、村田がかなり苦戦すると思っていたのだが・・・。

1Rから主導権を握ったのは村田。バトラーも重そうなパンチを振り回して
来るのだが、村田の屈強なガードがなかなか越えられない。序盤、ボディ
への攻撃が何度か村田を捉えたのだが、その殆どをクロスガードで防いで
見せた村田に唸る。3Rくらいで負けは無い、と確信した。


KOラウンドである5Rの村田の攻撃は本当に見事だった。
回復の早い新鋭を手玉に取り、ロープに追い詰めた上での左フック。タフ
なバトラーもこの攻撃には耐えられず、ノーカウントで村田のKO勝ち。
思わず快哉を叫んでしまった。

試合後のインタビューで村田本人が語ったように、これからは「リアル」
な試合をするべき。となると、相手はカネロゴロフキンの2択。正直言
って勝つのは非常に難しい相手だが、もしかしたら、があるかも。
今日の村田はそれを充分に期待出来るファイトを魅せてくれたと思う。

ミドル級の世界王座を日本人が防衛したのはコレが初めてな気がする。
今回はその偉業を称えると共に、今後良い意味での「番狂わせ」に期待。
1:10の確率だが、もしかしたら村田諒太は僕らに夢を魅せてくれるかも