宿泊場所にテレビが無い。そして、ネットも繋がらない。携帯も4Gは全滅で、
3Gが繋がったり繋がらなかったり。一瞬3Gが繋がった時に、飛び込んできた
ニュースに仰天する。
村田、タイトル奪取失敗・・・。
ダウンを奪いながらも判定で負けた、ということだけ辛うじて解ったのだが、
有明コロシアムでいったい何が起こったのか?
悔しすぎる・・・。
緊急とも言えるスケジュールで決まったWBA世界ミドル級王座決定戦。
12戦12勝0敗9KO、現在WBAミドル級ランキング2位の村田諒太(帝拳)が、
元WBO同級世界王者・現WBA同級暫定王者のアッサン・エンダム(フランス)
と拳を交える。
会場は有明コロシアム、日時は5月20日(土)。
正直、この日に仕事を入れてしまっていることを、心から後悔している。
ところでこの試合にちょっとミソを付けているのが「王座決定戦」であること。
実際、現在のミドル級はカザフスタンのゲンナジー・ゴロフキンの一強状態。
WBC・IBFの統一王者であると共に、WBAはスーパー王者として別格扱いする
チャンピオンで、彼のスーパー昇格で正規王者に空きが出来たからこそ実現し
たタイトルマッチ。そりゃあボクシングファンは突っ込むよなぁ・・・。
しかし、エンダムは元WBO王者でもある強打者。
村田はこの強い暫定王者に是非とも完封勝ちして貰い、ゴロフキンとの統一戦
に持ち込んで欲しいところ。これまで強い相手と闘っていない、と揶揄される
村田だが、ここで完勝すれば誰も文句は言わなくなる筈。イケると思うんだけ
どなぁ・・・。
「モハメド・アリ 緊急追悼番組 蘇る伝説の死闘緊 猪木vsアリ」本日放映。
あの伝説の一戦にアントニオ猪木本人がコメンタリーを入れる、という構成
が発表された段階で狂喜していたのだが、それどころでは無い番組だった。
総尺は2時間強。
前半30分のモハメド・アリの半生はもちろん見応え充分。ボクシングの試合
もリストン戦・フレイジャー戦・フォアマン戦と押さえるべきモノは全て押
さえてあり、ボクシングファンもアリの偉大さが再確認出来る構成。更には
ハドソン川メダル投げ捨て事件や徴兵拒否の顛末なども詳細が描かれており、
この段階で既にウルウルしていたのだが・・・。
格闘技世界一決定戦・アントニオ猪木vsモハメド・アリをノーカット放送。
残りの時間は全てこの試合の放送に費やされた。そして、試合中の2人や
セコンドの声をテロップ化し、伝説の一戦を「解析」。この構成、あま
りに凄い。
猪木vsアリはもう何度も観ているのだが、このオンエアほど息が苦しくなっ
たことは無い。猪木がギリギリだったのはこれまでの猪木のインタビュー等
のコメントでよく解っていたのだが、アリもきっとギリギリだった。エキシ
ビションマッチをやるつもりで来日したのに、まさかの真剣勝負。それも、
何をしでかすか解らない男と相対しているのだから、当然のことである。
晩年、アリはUFCの関係者に対し、「MMAの元祖はオレなんだぜ!」と得意
気に語ったという。確かにあの時代にこんな試合をされてしまったら、今の
MMAファイターたちはきっと言葉を無くす。
アリ・ザ・グレイテスト。
あと何年経とうが、モハメド・アリを超えるボクサーは多分出てこない。
アントニオ猪木を超えるプロレスラーが出てこないように。
こんな凄い特番を組んでくれたテレビ朝日に感謝。
この番組のおかげで、僕はまだ少し生きていける気がする。
プロボクシング元統一世界ヘビー級チャンピオン、モハメド・アリ氏逝去。
昨日「呼吸器系の病気で入院」との報が流れ、そこから24時間経過しない
ままの凶報。享年74。
故人とその好敵手に敬意を表し、敬称略にて記載します。
ボクシングの世界王者と言われたら、誰を想像するのか?
その問いに、多くの人々は「モハメド・アリである」と答える筈である。
世界中で一般にもその名前が浸透したボクサーは、僕の知る限り2人しか
居ない。1人はマイク・タイソン、そしてその遙か上に居るもう1人がアリ。
アリは抜群のショーマンシップと練習に裏打ちされた正確無比なテクニック
で近代ボクシングの雛形を創り上げ、世界中のボクシングファンに愛された。
ベトナム戦争の徴兵を拒否し、タイトルを剥奪され、4年近いブランクを
課されながらも克服し、もう一度世界の頂点に立った。
「キンシャサの奇跡」として伝説になっているジョージ・フォアマン戦の
映像は今見ても全く色褪せない。「蝶のように舞い、蜂のように刺す」を
体現出来たのはオールタイムでアリしかいない。
まさしく、世界最高のプロボクサーであった。
そして1976年・日本武道館。
アントニオ猪木vsモハメド・アリの格闘技世界一決定戦は、日本、いや、
世界にMMAという概念をもたらした。当時は酷評された試合だが、年月が
経過すればするほど評価された最高にスリリングな攻防。あの試合が無か
ったら、僕は現在までプロレスや格闘技を見続けなかったかもしれない。
晩年、パーキンソン病を患ってからもアリは我々に尽くしてくれた。
アトランタ五輪の聖火点火の時は本当に感動したし、猪木の引退試合の時
に東京ドームでそれと同じことをやってくれた時は感無量だった。
年月が過ぎ、周囲にどれだけ評価されようが、アリはずっと僕らの側、
アントニオ猪木のライバルとして存在し続けてくれたことが本当に嬉しか
ったのだ。
記録にも記憶にも残る、偉大なる世界王者に心よりの感謝とリスペクトを
込めて。本当にありがとうございました。そして、お疲れ様でした。
また、必ずどこかで。