天職は、声優。

#「始まり」を創った人


▼天職は、声優。 / 日高のり子(Kindle版)

レジェンド声優日高のり子さんの自叙伝
通常、作家さんやアーティスト、プロレスラーなど、僕はリスペクトする人
たちについて書くときは、あえて敬称を付けないのだけど、今回だけはちょ
っと勘弁していただきたいので最初に宣言。

子役でデビューした後、アイドル歌手を経て、自らが「天職」と言う”声優”
に辿り着いた日高さん。大袈裟で無く日高さんは、今現在の声優という仕事
の構造自体を変革した偉人。声優という業界は【日高のり子以前・以降】
分断されている、と僕は思っている。

日高さんが『タッチ』朝倉南を演じ、そのクオリティを示した日から、
声優は皆の憧れの仕事になった。今なら確実に動員の見込める声優イベント
ショーとして成立させたのは、日高さんがアイドル時代からの経験をしっ
かり応用したからであり、彼女はその方法論を惜しげも無く他の声優さんた
ちに伝授した。この行動が無かったら、おそらく声優という仕事は、今でも
職人たちの世界のママだった気さえする。

この本での日高さんは、自らのアイドル時代をかなり卑下して書いているが、
それだけはとんでもない間違い、と否定させていただく。あの頃から日高さ
んの笑顔は、同時期に活躍したアイドルたち・・・松田聖子・河合奈保子・坂上
とし恵・浜田朱里など・・・としっかり肩を並べており、歌唱力という点では
彼女らを上回る部分が確実にあった。残念ながら爆発的に売れることは無か
ったけど、それは単なる「運」。日高さんは、ちゃんとしたアイドルだった。

そんな彼女の半生が、彼女の優しさ・大らかさの滲み出る文章で綴られた、
とてもステキな一冊。こういう作品を世に出すことで、まだまだ日高さんの
ファンは増えていく、と思います。

・・・そしてあの時から、僕はず〜っと日高のり子信奉者(^^;)。
大物なのにけして気取らず、誰に対しても笑顔を向けてくれる日高さんを、
僕は心の底からリスペクトしています!

↓↓ちなみに日高さんのセリフでいちばん好きなもの!何度も泣いた!

終幕

#最終章


週刊少年ジャンプ38号、ワンピース
合併号で1週空いた大河ドラマのサブタイトルは「終幕」。今回を以て、
4年以上を費やした『ワノ国篇』は、文字通り終幕を迎えることに。
いつものようにネタバレあり!コミック・アニメ・単行本派の人はご注意!

▼週刊少年ジャンプ(38) 2022年 9/5 号

今回は完全にワノ国篇の総決算回
錦えもんモモの助に関しては、初登場から10年が経過していることを考え
ると、「長い」と感じるのが普通なのだが、どうやら僕はワンピースとプロ
レスに関しては時空が歪む(^^;)らしい。モモが小さな龍に化けたのが、つい
先日のことのように思えるのだが・・・。

ヤマトが船に乗らない、など、衝撃の展開もあったのだけど、今回は最後の
モモの涙が全て。そして、「仲間」「弟」の認定。さすがに今回は泣かなか
ったけど、最後の【終幕】の文字で、一つの世界の終わりを実感した。

ワノ国は、もうきっと大丈夫
また数年後、ルフィたちとモモ、ヤマトが、一緒に闘う姿を楽しみに。
『またのご縁と、お預かりィ〜!』

満願

#暗黒系短編集


▼満願 / 米澤穂信(Kindle版)

ちょっと長いこと「読むべき本が無い」時間が続いている感。
マンガやアニメのチェックが忙しいので、小説系の新規開拓が出来て
いないのは不徳の致すところ(^^;)。

で、お馴染みKindleのリコメンドでチョイスしたのが、米澤穂信
短編集。要所々々で読んでいる作家、と思い込んでいたのだが、調べ
てみると米澤作品はなんと11年ぶり(^^;)。

全六篇から成る短編集で基本的にはバラエティに富んだ内容なのだが、
全篇に共通しているのが「暗さ」。と言っても、読むのが辛い暗さで
はなく、「うわ、この後どうなっちゃうの?」という感覚がやたら継
続する、というすばらしい構成。キライじゃ無いです、こういうの。

特に印象に残ったのは、都市伝説を題材にした『関守』と、海外で活
躍するビジネスマンの事件を描いた『万灯』。後者はなんとなく既読
感があったのだが、かなり昔に読んだアンソロジーに掲載されていた
作品。完全に読み終わってから気付いたのがちょっと情けない(^^;)。

この読書ブランクを埋めるには、米澤穂信という作家は絶妙かも。
著作も多々あるし、作品の質も安定しているので。

新時代

#最終章


週刊少年ジャンプ35号、ワンピース
連載が再開された先週号で幾つも超弩級の時限爆弾が投下され、この1週間
本当にヒリヒリした気分(^^;)が続いたのだが・・・。
今回もネタバレがあるので、コミック派・アニメ派・単行本派の人はご注意!

▼週刊少年ジャンプ(35) 2022年 8/15 号

ロードポーネグリフワノ国の開国の正体など、回収された重要な伏線が幾
つかあったのだが、今回はソレらがちょっとどうでもいい気になった。

サイアクの敵、海軍大将・緑牛に対し、遂にボロブレスを発射するモモ
この姿を見た瞬間、「ああ、終わったな、ワノ国篇・・・」と心から思った。
ルフィたちと旅をすることで、精神的に大成長したモモ。その上で実力を
示し、自分たちだけでやっていけることを見事に証明して魅せた。

今のワノ国には、将軍・光月モモの助が居る。
もし今後、ワノ国に驚異があったとしても、モモの助とその家臣たちが居れ
ば何の心配も無い。従って、麦わらの一味は安心して次の島へ向かうことが
出来るし、ヤマトが仲間になれない理由も無くなった。
・・・これで、どれだけスッキリしたことか!

6年近く続いたワノ国篇で、こんなステキな大団円
そして連載開始から25年が経過し、遂に【新時代】が到来した。最終章が
終わるまであと何年かかるか解らないが、コレは僕とのチキンレース
なんとか最後までしっかり確認したいなぁ・・・。

FMWをつくった男たち

#インディ創世記


▼FMWをつくった男たち / 小島和宏

ちょうど1年前バカ売れした『W☆ING流れ星伝説』の著者であり、
“僕らの週プロ記者”こと、小島和宏の最新作。

大仁田厚が5万円で旗揚げし、今に続く日本のインディプロレス団体
の祖となったFMW。その旗揚げ前後から、最初の川崎球場大会開催
までの2年間に奮闘した【大仁田厚以外】のFMW関係者・・・レスラー・
フロントを問わず・・・にスポットを当て、FMWが大ブレイクした要因
を探って行く、というノンフィクション。

FMWで本を出す、と考えた時、大仁田厚を除外する、という手法を、
小島氏以外の誰が実行できるのか?という事実がこの本の全てだと
思う。同じ事を思いついた人もおそらく居ると思うが、小島記者で
なければこれだけ広範囲に取材出来ないし、取材が出来たとしても
そこからとびっきりのエピソードを引っ張り出すことは絶対に出来
ない。これこそが「職人の仕事」だと思う。

正直、熱量に関しては「流れ星伝説」の方が高いかも(^^;)。
小島記者本人が「W☆INGの方が思い入れがある」と言っているから、
それはもう仕方の無いことなのだが、ちょっと残念だったのがアチラ
との『束』の差(^^;)。もっと莫大な文章量を楽しみたかった、とい
うのが正直なところ。

この本は以前レビューした「憧夢超女大戦」「W☆ING流れ星伝説」
併せ、【平成プロレスドキュメント三部作】最終作という位置づけ。
次が欲しいんだけどな、マジで。