六法全書

#ストロベリーナイト


▼六法全書 警部補・姫川玲子 / 誉田哲也(Kindle版)

誉田哲也シングルは、なんと姫川玲子・ストロベリーナイトシリーズ
今回の主役は姫川班の木戸修こと、中松信哉巡査部長いぶし銀の視点から
見た「年下・異性の上司」論が描かれている。

ストロベリーナイトシリーズはその生い立ちから生々しくグロい展開が殆ど
なのだけど、短編になると何故か切り口「普通」になる(^^;)。まぁ、いつ
でも命のやり取りを繰り広げ、実際に死者もたくさん出ている姫川班なのだ
から、こういう展開だとかなりほっこり出来るのも事実。まぁ、古くからの
ストロベリーナイターズとしては、こういうのも好き、ということ。

驚いたことに、来月早々もう1本のシングルがリリースされる予定。
・・・もしかしたら、姫川玲子系の短編集が年明けあたりに出る、というフラグ
の可能性アリ。だとしたら嬉しいなぁ、コレ。

証言 UWF×プライド

#UWF #NJPW #PRIDE


▼証言 UWF×プライド / V.A

好評を博している宝島「証言」シリーズ
今回は黎明期の総合格闘技に出場したプロレスラーと、その関係者たちへの
インタビューで構成されている。

登場するのは高田延彦・田村潔司・アントニオ猪木・榊原信行・中邑真輔・
藤田和之・佐藤大輔・川崎浩市・島田裕二。UWF関係者は高田田村だけな
のにタイトルにUWFが付く。販売に影響があるのかなぁ、UWFの冠が無いと。

物心ついた頃からずっとプロレスファンだった僕は、今でも「プロレスこそ
最強の格闘技である」という思いが消えない。時代は変わり、今プロレスと
格闘技を一緒に語る人はほぼ居ないと思うが、田村・中邑・藤田の3名はそ
ういうプロレスファンの最後の熱い思いにある程度応えてくれた名選手たち。
彼らが語る「総合格闘技」という未知の領域へ踏み込んだ思い出は、非常に
重く、そして興味深い内容であった。

もう一つ懐かしかったのは、PRIDEで審判部長まで務めた元バトラーツのレ
フェリー、島田裕二氏の記事(ターザン山本との対談)があったこと。
僕は島田レフェリーこそPRIDE躍進の立役者だと思っていたのだが、アレ以
降の消息を全く聞かず、かなり気になっていた。今は別分野で成功している
ようで何より。

証言シリーズもこのテーマを出してしまったら、少なくともUWFに関する
書籍は終了だろうなぁ、と。編集部にはUWF以外に僕らを惹き付けるテーマ
を模索して欲しい。このシリーズ、非常に良いと思うので。

殉狂者(上)

#セクトブギウギ


▼殉狂者(上) / 馳星周(Kindle版)

さて今回も馳星周作品。限りなく作品のある作家を好きになると、読むモ
ノに困らなくなるのが良い。

今回は上下巻、タイトルからしてハードボイルドな感じだが、これまでの
経験値で疑ってかかったのだが、これはもう紛うこと無きハードボイルド
1972年2005年2つのタイムラインで進む物語で、前者の主役は学生
運動が嵩じてスペインでテロリストとなった日本人、後者の主役はその息
子で日西ハーフのスペイン人柔道家。舞台はスペインである。

全共闘の時代はさすがに僕もリアルタイムでは無いが、若者の迸る感情が
危険な行為に走ってしまう、という状況は、小説はもちろん、ドラマや映
画で数限りなく見聞きしてきた。となると、食傷気味になってもおかしく
無いのだが、現場がスペイン、それもバスク地方であることが新鮮。海外
のテロ組織とその存在理由が、日本のソレと大きく異なるのが興味深い。

バタバタと人が死ぬハードな話だが、ミステリーとしてもかなりなモノ。
上巻では様々な伏線が散りばめられており、下巻でそれらがどう回収さ
れていくのか、今から楽しみ。

あと、バスク料理が強烈に食べたい。東京に幾つかあるらしいんだけど、
どこがいいんだろうか?

永遠の最強王者 ジャンボ鶴田

#おそらく最強だった善戦マン


▼永遠の最強王者 ジャンボ鶴田 / 小佐野景浩

G1中はほぼプロレスのトピックで埋まるこのブログ。狭間の移動日くらい
はプロレスから離れれば良いのだけど、今日の書評もプロレスモノに(^^;)。

全日本プロレスの“初代絶対王者”こと、ジャンボ鶴田の評伝。
著者は元週刊ゴング小佐野景浩編集長。業界では「天龍番」として知られて
いた記者が、鶴田の一生を描く、というのがまず面白い。

とにかく、半端じゃない文章量にまず驚かされる。
書かれているのは紛れもなく正確な事実ばかり。週刊ゴングという雑誌がど
れだけ丁寧な取材をしていたかが非常によく解る構成。これに加え、小佐野
さんという超一流の編集者が絶妙なバランスで解説を入れる。こういう書籍
だと鶴田を褒めちぎる内容に終始するのが普通なのだが、否定的な意見もし
っかり記述。きちんと「フェア」な作品になっていると思う。

ジャンボ鶴田の怪物的な強さは、昭和からのプロレスファンなら誰もが認め
るところ。しかし、その認識がついたのは天龍革命以降。もし天龍があのタ
イミングで鶴田に牙を剥かなかったら、僕らがジャンボ鶴田に対して持った
イメージは「善戦マン」で終わっていたハズ。悪い言い方をするのであれば、
「ちょっとマシな木村健悟」くらいのレベルである。

これは、元々怪物的なポテンシャルを持っていながら突き抜けられなかった
男が、どのように覚醒していったのか?を追った物語。だから、正直あまり
ジャンボ鶴田に思い入れの無い僕でも、興味を切らさずにしっかり読了する
ことが出来た。

ジャンボ鶴田が亡くなって、もう20年が経過する。
かなり遅くなったけど、ようやくジャンボ鶴田の一生がしっかりした作品と
してまとまったことを、とても嬉しく思う次第。

・・・そして、関係者の皆様は続いて藤波辰爾の評伝リリースを検討して欲しい。
猪木馬場も、天龍鶴田も、そして前田長州でさえもしっかりした書籍
が存在するのに、藤波の作品が無い、というのは大問題。藤波さんご本人が
元気なうちに、是非!

走ろうぜ、マージ

#犬と暮らすということ


▼走ろうぜ、マージ / 馳星周(Kindle版)

続く馳星周強化月間、今回はノンフィクション
既にレビュー済みの「ソウルメイトII」の大元になった(であろう)実話で、
作者自身の綴る日記が一冊の本になっている。

犬好きで知られる馳星周が、最初に自分の犬として迎えたのが、バーニー
ズマウンテンドッグの雌・マージ。この犬種にしては珍しく10年以上生き
た彼女と、ボスである馳星周の最後の3ヶ月間が描かれている。

僕が馳氏をリスペクトせざるを得ないのが、「犬を飼う」人としての条件
最高級のレベルで満たしており、その上で心の底からの愛情を犬に注い
でいること。単純に大型犬を飼う、という行為だけでも、例えば予算的な
ハードルは相当高い。自由になるお金が潤沢にあり、ある程度時間が自由
に使え、犬のためになんでも出来る。そのくらいの位置に行かなければ、
犬を飼う資格は無いんじゃないか?と思わざるを得ない。

少なくとも、馳氏とマージが圧倒的なまでの信頼感で結ばれていたのは間
違い無い。マージは絶対に幸せだったし、その後も一貫して多数のバーニ
ーズの一生を見つめ続けている馳氏は本当に凄い人であり、憧れるべき人。
大型犬と共に暮らそう、と考えている人は、コレを読んでおくべきだ。

かなりネガティブな印象レビューになってしまったが、言いたいのはこの
作品が「犬と共に暮らすことの辛さ・厳しさ」、そして何よりも「喜び」
が伝わるすばらしいノンフィクションである、ということ。クライマック
スの生々しさには思わず目を背けてしまったが、あとがきまで含めて読了
出来、本当に良かったと思う。

幸せな犬が、無尽蔵に増えるといいなぁ・・・。