帰らずの海

#はるばる来たぜ・・・


▼帰らずの海 / 馳星周(Kindle版)

強化月間シーズン2、題して馳星周アンリミテッドの2本目。
今回は北海道・函館を舞台にした警察小説主人公を始めとした全ての
登場人物がワケアリ、という、馳星周ならではのノワール感の漂う作品。

ただ、これまで読んだアンダーワールド系と比較すると、ドロドロこそ
しているモノの、ややとっつきやすい人間ドラマが展開されている感。
かつて栄華を誇った地方都市陥りがちな状況も解りやすく描かれてい
る上に、あまりに根の深い恋愛小説の要素もある。読み応えはタップリ、
けして退屈しないタイプの良作、だと思う。

若干納得が行かないのは、今現在も「北海道第二の都市(※)」とされ
函館が、既に終わっている街のように描かれていること。3年前に初
めて行った函館は、贔屓目無しで観光都市としての勢いが失われている
とは思えなかった。夜の飲み屋街もそれなりに盛況だったし、海街とし
ての雰囲気も良好。機会があれば、もう一度行きたい街のベスト3に入
っているのだけど・・・。

ということで、函館出身の人以外(^^;)にオススメ。
馳星周作品、今のところハズレ一切無いです。すげぇな、やっぱり。

※人口だけで言うと【札幌・旭川・函館】の順番らしいです!

日本懐かし夏休み大全

#なつやすみのこども


▼日本懐かし夏休み大全

買いだめした「懐かしシリーズ」、取り敢えずラストの1冊。
ちなみにこちらは今までの作品と違い、A4変形サイズの純粋なMOOK
従って著者名がクレジットされていない。

昭和生まれの子どもたちの「夏休みの思い出」を集めた一冊。
ラジオ体操・昆虫採集・夏祭・花火などは、考えてみれば確かに夏休み
のアイテムである。この夏休みアイテムを二学期まで引き摺ってしまう
と、妙に空しくなったなぁ、あの頃は(^^;)。

取り敢えずザッと読んでから考えたのは、この中で今も生き残っている
モノがどれだけあるのか?ということ。早朝のラジオ体操は既に死滅し
ていそうだが、昆虫採集は今でも時折捕虫網と虫かごを抱えた親子を見
掛けるし、町内会の夏祭や花火を楽しむ子どもたちもわりと見掛ける。
僕は全篇に「懐かしさ」を感じたのだが、もしかしたら今も残っている
モノが多々あるのかもしれない、と思った。

特筆すべきは「現存する(であろう)最後の室内釣堀」、我が区・篠崎
つりぼり金ちゃんが、かなりのページ数で紹介されているところ。
最後に行ったのはもう5〜6年前になると思うのだが、今も健在なようで
一安心。近いうちにもう一度行かなねば!と強く感じた。

ちなみに僕の夏休み定番ドリンクペプシコーラ一択。
王冠裏くじはなかなか当たらなかったけど♪

・・・テーマソングは↓↓コレだな、絶対。

沈黙の森

#怒りの軽井沢


▼沈黙の森 / 馳星周(Kindle版)

読むべき新刊を読み終えたため、馳星周強化月間シーズン2開始。
調べてみると馳著作にはKindle Unlimited扱いになっている作品が数作
あり、まずはそこを攻めてみよう、と決意。その中でもいちばんおとな
しそうなタイトルの、この作品を選んでみた。

・・・一個もおとなしくありませんでした(^^;)。
いや、正確に言うと中盤まではじっくりとしたストーリーで読ませるタ
イプのハードボイルド系ミステリーの風合いがあったのだが、ソレ以降
はもうダダダダっと人が死んで行く様を見せつけられてしまう。

その中軸に居るのが主人公、現在は軽井沢別荘の管理業を細々とこな
す中年だが、その正体は歌舞伎町の元ヤクザにして最凶の殺人マシーン
思わぬことから平穏を破られた上に、大事な人を傷つけられたことをキ
ッカケに暴走を始めてしまう。

おおまかな内容は正しく映画「ランボー」。スタローンが演じたアレ
和風(?)にアレンジし、極道の世界をアダプトして完成させた作品、
と言っても、大枠で間違いでは無い。

興味深いのは、この作品でも「犬」が大活躍するところ。人がバタバタ
死ぬ作品の中でも作者の犬に対する愛情が垣間見えるのが、唯一微笑ま
しいところだった。

・・・さすがに万人にオススメするタイプの作品では無いなぁ(^^;)。
とはいえ、ガチガチのハードボイルド好きにはたまらない世界観なので、
その手の作品が好きな人は是非。

日本懐かし文房具大全

#分度器の立場


▼日本懐かし文房具大全 / きだてたく

「懐かしシリーズ」、今のところラストツーのうち1本。
題材は「文具」。それも、昭和の頃に小学生だった我々世代が、間違い
なく使用していた学童文具を、これでもか!という熱量で紹介している。

どれを観ても使った記憶がまざまざと蘇る、というのがまず凄い。
僕のライフワークとも言える鉛筆ビンテージ写真は眺めているだけで
時間の経過を忘れるし、本来の目的では使用出来なかったスーパーカー
消しゴムからは強烈なノスタルジーを感じる。昭和50年までに生まれた
人たちなら、同じ感覚を持つに違いない、と断言できる。

思ったよりも刺さったのは、「つくる」カテゴリのカッター系の特集。
今や全く見掛けなくなったボンナイフは全員の筆箱に入っていたし、そ
れでとんでもない血を流したことも、おそらくみんなの共通項。僕らよ
り前の世代になると、肥後守がそれに当たると思うのだが、多分今は使
用が許されない。普通にナイフだからなぁ(^^;)。

他にもジャポニカ学習帳の表紙一覧など、興味深い特集ページが多々。
懐かしシリーズはどれも非常におもしろいのだが、この作品はその中で
長時間の読書を余儀なくされた。

僕は今でも文房具を多めに持ち歩くから、倍は楽しめた気がする。
そうでない人もきっと懐かしさを感じる筈なので、興味のある人は是非
ご一読を。おもしろいぞ、コレ♪

TURN

#時をかける新人 #死体ビジネス


▼TURN 東京駅おもてうら交番・堀北恵平 / 内藤了(Kindle版)

内藤了東京駅おもてうら交番・堀北恵平シリーズ、気付いたらもう第四弾
相変わらず研修中のヒロイン、新人女性警察官堀北恵平(ケッペー)ちゃ
の研修先は、生活安全課に部署を移している。

パトロール中、急な生理で動けなくなった中学生少女を助け、一瞬の充実感
に浸るケッペーちゃんだが、数時間後に同行していた友人から、助けた少女
が出血多量で死亡した事実と、彼女が違法な経口中絶薬を服用していた、と
いう事実を知る。一方その頃、東京駅付近の工事現場男性の死体が発見さ
れて・・・という内容。

前作でお得意の猟奇方向に舵を切ったこのシリーズだが、今回の事件もやた
非道い今の時代にあり得るのか?という種類の事件だが、そこに妙なリ
アリティを持ってくるのが今の内藤了の凄さ。そして圧倒的な透明感を醸し
出し始めたケッペーちゃんが本当に魅力的になってきた。

もちろん今回も謎の警官・柏村は登場するのだが、その柏村の存在感を大き
く上回る藤堂比奈子シリーズのあの人が、ケレン味たっぷりに登場。もしか
したら次回以降レギュラーとなる可能性もあるので、ファンならその辺りも
注目しておいた方がいい。

次作は春リリース。このご時世なのに、きっちりスケジュールを遵守してい
る内藤了、尊敬します! もちろん次作にも期待!