ジャッジメント

#仇討ちの葛藤


▼ジャッジメント / 小林由香

先日の福岡出張の帰り、空港でSちゃんがくれた文庫。どうやら既に
読んでいた本を買ってしまったらしい(^^;)。ということで軽く読み始
めたのだが、そんな気持ちで読むべき本ではなかった・・・。

20XX年、「復讐法」が成立した日本が舞台。復讐法とは「犯罪者か
ら受けた被害内容を合法的に刑罰として執行できる権利」。裁判で
この法の適用が認められた場合、被害者(またはそれに準ずる者)は
旧来の法に基づく判決か復讐法かを選べる。ただし、復讐法を選んだ
者は、「自らの手」で刑を執行しなければならない・・・。

連作短編の体。
復讐法執行権利者として登場するのは、息子を惨殺された父親、自ら
の母親を娘に殺された女、通り魔に近しい人たちを殺された複数の被
害者たち、一人息子を著名な霊能者に殺された母親、両親に妹を餓死
させられた兄。どのケースも一筋縄ではいかないのは勿論だが、何よ
りも復讐法執行・・・つまり仇討ちを決意し、合法とは言え「殺人」を
犯そうとしている人たちの心の葛藤があまりにリアル。

自分がもし「復讐法」実行の権利を与えられたら、という事態を想像
せざるを得ない内容。故に読後感もサイアクだし、読み終わった後に
長い間どんよりした気分が残る。ただ、これは読んでおくべき本だ、
と思ったのも紛れもない事実である。

小林由香はコレがデビュー作らしい。処女作でこんな凄いモノを書い
てしまったら、後が本当に大変な気がするなぁ・・・。

彼女たちの犯罪

#結婚できない女


▼彼女たちの犯罪 / 横関大(Kindle版)

出張時、飛行機搭乗前にリコメンドで購入した作品。
横関大という作家は初めてで、これまで全く読んだことの無い作家。

容姿端麗な上に代々続く医者の家系で自らも医者、さらに大学時代は
硬式野球部のキャプテンだった男を巡る3人の女性の物語。一人は彼
の妻で元看護師の地味な女性、もう一人は大学の後輩でやや結婚に執
着するアラサーのキャリアウーマン、あと一人はネタバレするので詳
細説明出来ない系の人。

全く関連性の無かった3人が、いつの間にか協力して男を追い詰める
ことに。復讐劇は殺人事件まで誘発し、とんでもない方向に転がって
行くのだが・・・という内容。

人間関係の意外さと、繰り返されるどんでん返しは確かに秀逸。でも、
困ったことに全く感情移入が出来ないのは、3人の動機が僕には正直
「どうでもいい」(^^;)からに他ならない。もっと考えるべきことが
たくさんあるだろ、とイチイチ感じてしまう。

残念ながら僕には刺さらなかったが、ミステリー作家としての実力は
かなりありそうな気配。これは何かの機会に別の作品を読んどくべき
作家だと思った。

オンナのドロドロ系が好きな人にはオススメだけど、けしてイヤミス
では無いのでご注意を。

ちょっと一杯のはずだったのに

#ザ・密室


▼ちょっと一杯のはずだったのに / 志駕晃(Kindle版)

引き続き志駕晃作品。
自宅マンションで殺害された人気女性漫画家。ラジオパーソナリティ
としても活躍していた彼女の遺体の第一発見者は、恋人でもあるラジ
オディレクター。彼は事件当夜泥酔して記憶が無い上に、彼女の家を
訪問した、と言う事実が。当然有力な容疑者として疑われるが、問題
は現場が完璧な「密室」であったこと。果たして・・・という内容。

なかなか見事な設定の「密室」で、この手の愛好者はそこそこ読み応
えがあるんじゃないかな、と。出来れば挿絵で現場の見取り図的なモ
ノが入っていれば、もっと楽しめたかもしれない。

かなりシビアな話なのにも関わらず、登場人物が皆どことなくユーモ
ラスなので構えることなく読める。さらに密室にフォーカスすること
で全体がコンパクトにまとまっているのが凄い。2時間の推理ドラマ
になったりすると面白いと思います!

・・・ただ、その時はタイトルをちょっと再考すべきかと(^^;)。
いくらなんでも適当過ぎるな、このタイトルは(^^;)。

オレオレの巣窟

#詐欺博覧会


▼オレオレの巣窟 / 志駕晃(Kindle版)

ちょっと忙しい隙にサクッと読めそうな軽い小説を、ということで、
「スマホを落としただけなのに」シリーズでお馴染み、志駕晃の作品
をチョイス。とにかく「タイトルで全てが解る」、という潔さ。

登場する詐欺はオレオレ詐欺、結婚詐欺、金融コーチ詐欺など多々。
特に今や主流であるオレオレに関しては、騙し電話から現金受け取り
に至るまでの巧妙な手口が詳細に解説されており、思わず戦慄した。
こういうので来られたら、もしかしたら騙される可能性も・・・とか思
ったのだが、よく考えてみれば僕には詐欺に遭う程の金は無い(^^;)。
要は夢物語、ということで、非常に楽しく読ませて貰った。

ちょっと納得いかないのは、最後がなんとなくハッピーエンドっぽい
感じで終わっていること。さすがに詐欺師には全くシンパシーを感じ
ることは出来ないので、ラストは全員地獄に落ちて欲しかったかも。

しかし、この世に蔓延る各種の詐欺対策マニュアルとして良いかも。
そういう電話がかかってきた人たちは、自衛の為に読んでおくと良い
と思います、ええ。

いきなりやってきた獣神ロス

#僕らのライガー


▼スポーツアルバム/獣神サンダー・ライガー現役引退記念アルバム

年が明けた頃に予約しておいた獣神サンダー・ライガーの引退記念アル
バムが届いた。最近はこの手のムックは購入していないのだが、さすが
にライガーは別。無くならないウチに手に入れておこう、ということで。

最後のスタジオ特写に加え、引退後初のロングインタビュー、かつての
ライバルたちのコメントに加え、30年間のヒストリーなど読み応え満点。
もちろん興味が途切れないまま最後まで読んだのだが・・・。

最終ページ、表3に掲載された写真とそこに記されたサインを見た瞬間、
いきなりライガーさんの不在を認識してしまった。もう新日本の会場に
行っても、中継番組を観ても、そこで試合をするライガーの姿は観られ
ない。重度の獣神ロスに陥った模様。

こんなことは言いたく無いし、おそらく絶対に無いと思うのだが・・・。
・・・復帰してくれても全然いいんだけどなぁ、ライガー・・・。