スマホを落としただけなのに

#現代リアルサスペンス


▼スマホを落としただけなのに / 志駕晃(Kindle版)

数年前の「このミス」で話題となり、既に映画化もされている小説。
作者の志駕晃とはペンネームで、中の人はLFプロジェクトの取締役。
かつてニッポン放送にこの人あり、とされる程の超大物ディレクタ
ーで、小説をリリースする前から僕も名前だけは知っていた人。

そんなワケでかなり早い段階から興味はあったのだが、タイミング
が合わずに今の今まで読めず。読む本が尽きたところで運良く思い
出し、ようやく読むことができた。

・・・いやぁ、恐ろしい(^^;)。
物語のキッカケは主人公の女性派遣社員の彼氏がタクシーにスマホ
を置き忘れた、というタイトル通りの小さな日常ミス。我々の生活
の中でも充分に起こりうることなのに、そこから個人情報が丸裸に
されていく様は正しく「恐怖」。仮にココに書いてある通りのこと
を実践すれば、世界中の誰もがクラッカーたり得てしまう、という
事実に身震いした程。

正直、やや平淡な文体に迫力の欠ける感はあるが、反面不気味さは
増す、という理想的な構成。若干先読み出来てしまった(^^;)のだが、
ミステリーとしての伏線も各所に散りばめられ、しかもラストでし
っかり回収されているのは、評価すべきポイントだと思う。

どうやらシリーズになっているらしく、続編が幾つかある模様。
現代テクノロジーの中で生きる者としては、読んでおくべきかもし
れない。ちなみに僕はもうfacebookは絶対やりません(^^;)!コレ
を読み終えたら皆そう思う気がするな、きっと。

たとえば、君という裏切り

#循環する物語


▼たとえば、君という裏切り / 佐藤青南・栗俣力也(Kindle版)

楯岡絵麻シリーズ・八木小春シリーズを読み切り、熱が冷めないウチ
に、ということで単品の作品を。原案が栗俣力也、著者が佐藤青南と
いうコラボレーションタイプの一冊。

基本は3篇の物語で構成されており、それらが最後、まさかの形で融
合する、という構成。3篇それぞれのテイストが大きく異なり、最後
を読むまでは正直「なんじゃこれ?」とまで思った(^^;)。

純愛ミステリーと銘打たれた作品だが、正直「純愛」の部分について
はちょっと食い足りない感あり。おそらくはミステリー部分を強調
するための仕掛けだとは思うのだが、せっかく「人間」を描ける佐藤
青南なのだから、その辺りでも才能を発揮すべきだった気がする。

この連名著作、他にも出ている模様。
せっかくなので次の読書候補に入れておくべし。

ハロウィンの花

#PSYCHOPATH


▼ハロウィンの花 / 佐藤青南(Kindle版)

佐藤青南「犯罪心理分析班・八木小春」シリーズ3作目。
今回の犯罪心理分析班・通称「C-Mas」が挑むのはハロウィンの夜に
渋谷の交差点で若い女性がコアラマスクの男に刺殺された事件。先輩
の間柴に捜査協力を依頼された小春は・・・という内容。

今回の注目は小春の「葛藤」。なにをどう勘違いしたのか解らないが、
自らを「サイコパス」かもしれない、と疑い始めちゃったのが面白い。
まぁ、普段からサイコパスと接し、彼らのやり方を見ているうちにそ
ういう思いにかられてしまうのも解らないでも無いが、その葛藤を物
語の中軸に置く、という斬新なアイデア。さらにこの葛藤にもちゃん
と「オチ」が付いているのだからすばらしい。

このシリーズは今のところこれが最終作品なのだが、楯岡絵麻シリー
ズ同様、続きがやたら気になる。出してくれればいくらでも読むので、
続きを早く!

アイアンウルフの箱

#PSYCHOPATH


▼アイアンウルフの箱 / 佐藤青南(Kindle版)

佐藤青南「犯罪心理分析班・八木小春」シリーズ2作目。
発達障害の天才プロファイラーとサイコパス2名から成る特別組織、
犯罪心理分析班・通称「C-Mas」に本格的に巻き込まれた普通の刑事
・八木小春が挑む2つめの事件。

今回の見どころはサイコパス同士の「駆け引き」かと。
正体の見えないシリアルキラーを挑発し、公の場にもう一度引っ張り
出す、という作戦なのだが、もちろんココに「相手に新たな殺人を犯
させない」というミッションも加わる。その辺りの構成に無理が無く、
流れるように事件が解決する様は非常にスリリング。

そして、「普通の刑事」である小春の天然パワーも重要なアイテムと
なる筈なのだが、その印籠とも言える「閃き」の出し処も抜群にタイ
ミングが良い。あざとさを感じさせないテクニックはさすがである。

やっぱり面白いなぁ、このシリーズ。
現状3作目を読んでいるところなのだが、読み終わってしまうのが惜し
い感あり。今年は注目だな、佐藤青南。

オイディプスの檻

#PSYCHOPATH


▼オイディプスの檻 犯罪心理分析班 / 佐藤青南(Kindle版)

佐藤青南のもう一つの警察シリーズ、「犯罪心理分析班・八木小春」
の1作目。楯岡絵麻シリーズが面白かったので、ある意味鉄板と判断
し、ハナからシリーズ全読するつもりで読み始めた。

最近のミステリーでは定番になりつつある「プロファイリング」を
主題に於いた物語。発達障害を抱える空気の読めない天才プロファイ
ラーと、自らをサイコパスと認める警察官2名からなる犯罪心理分析
班。この特異な集団に一般人である捜査一課の女刑事・八木小春が巻
き込まれて行く、という内容。

正直、楯岡シリーズを最初に読んだ時ほどの衝撃は感じなかったし、
ミステリーとしての組み立てもややありきたりな感はあるのだけど、
「これから続いていくシリーズ」の導入としては満点。サイコパスや
シリアルキラーという今後の中核を成して行くと思われる用語の解説
は完璧で、早く次回が読みたい、と思わせてくれる。さらに楯岡シリ
ーズとのクロスオーバーもあり、ファンには嬉しい構成でもある。

もちろん現在続編を鋭意読書中。
年始の暇な時間は全部このシリーズに集中しそうだな、実際。