LIVE BOXING 9

#NEXT MONSTER(S)


先週土曜日に行われた『Prime Video Presents LIVE BOXING 9』
今回はG1開幕戦のインパクトが凄く、レビューがちょっと後手に回ってしま
ったのだが、実はこの大会もかなり凄かった

まずは寺地拳四朗と名勝負を繰り広げたアンソニー・オラスクアガ
8年ぶりの世界戦となる加納陸を対戦相手に迎え、WBO世界フライ級王者決
定戦に出場。序盤こそ互角だったが、3Rにもの凄い左アッパーを叩き込んだ
オラスクアガが一発で勝利。拳四朗との再戦が組まれれば楽しみ。

セミファイナルはバンタム級ノンタイトル10回戦、那須川天心4戦目
天心の対角に立ったのは、WBA4位・メキシコのジョナサン・ロドリゲスで、
これまででいちばんランクが上の選手。

今回の天心は妙に落ち着いた感。過去3戦で感じたややドタバタした雰囲気は
消え失せ、無駄なパンチを全く打たない展開。惚れぼれする程の成長ぶりで、
3R当然の様に上位ランカーをKO。このままバンタムの世界戦線に入ったと
しても、通用しちゃうんじゃないか?とまで思わせてくれた。

・・・のだけど(^^;)。
メイン、WBC1位ビンセント・アストロラビオを相手にWBC世界バンタム
級王座の防衛戦に臨んだ中谷潤人が、ちょっとシャレにならない強さを発揮。
1R終盤のボデイショット一発1位の挑戦者を叩き潰してしまったのだから
恐れ入った。

・・・これではまるで井上尚弥ではないか、中谷潤人
正直な話、中谷のレベルは今の他団体バンタム級王者たちと比較して数段高
い位置にある。今後の転級を明言している中谷が、井上尚弥の前に立つ日は
そう遠く無い。今度こそ、尚弥の心配をしなければならないかもしれない。

日本人王者が多々居る今のボクシング、本当におもしろい。
願わくば僕の推している佐々木尽も、その輪に入ってくれると嬉しいなぁ・・・。

FURY vs. USYK

#The Cat


サウジアラビアで行われたボクシング四団体世界ヘビー級王座統一戦
WBC王座を保持する英国のタイソン・フューリーと、WBO/IBF/WBA
スーパー王座を保持するウクライナのオレクサンドル・ウシクの対決。

今回はDAZNで独占配信が行われたため、ライブ観戦は出来ず。
夜になってからYouTubeのハイライトで確認したのだが・・・。

僕の予想はもちろんフューリー勝利
明らかにクルーザー級のウェイトだと思われるウシク、本当の意味で
スーパーヘビー級であるフューリーに勝ち目があるワケ無い、とまで
思っていたのだが、ハイライトを観ただけで目から鱗が落ちた思い

フューリーは見た目と違い、テクニックに溢れるボクシングを魅せて
くれるので好きなのだが、そのフューリーの内側から入る左右のフック
を被弾しながらも、しっかり前に出るウシク。柔よく剛を制す、を地で
行くようなスタイルで、9Rには明確なダウンを奪ってしまった。

結局最終12Rまで行き、2-1判定ウシクの勝利
ヘビー級の四団体統一はウシクが。しかもフューリーを破っての勝利。
・・・先日PFP1位に返り咲いた井上尚弥だが、残念ながら陥落しそう。

やっぱりヘビー級トップどころ同士の試合はおもしろい。
次にウシクにチャレンジするとすれば、誰になるのかなぁ・・・。

Lemino BOXING PHOENIX BATTLE 116

#夢を託したくなる男


後楽園ホールで行われた『Lemino BOXING PHOENIX BATTLE 116』を、
Lemino中継にてライブ観戦。本日のお目当ては、メインの↓↓この試合。

WBOアジアパシフィックウェルター級王者佐々木尽が、負傷欠場から
約10ヶ月ぶりのリング。対戦相手はフィリピンジョー・ノイナイで、
この試合には空位のOPBF同級王座決定戦でもあった。

・・・いやぁ、心臓に悪い試合(^^;)。
曲者ノイナイ煽るように、ガードの上からとはいえ強烈なパンチ
わざと受ける尽。顔色は変わらず、確かに効いてはいないような気はした
のだが、左右ボディに関してはほぼノーガード。ラッキーパンチが一つ
当たれば、即負けに繋がるのがウェルター級であり、もうハラハラしっぱ
なしな状況。

しかし5R、連打を受けながらもベタ足でノイナイをコーナーに追い詰めた
尽は、鬼のような連打を展開。なんとかコーナーから逃れたノイナイだが、
最後はリング中央で強烈な左右のフックが決まり、佐々木尽のTKO勝ち!

・・・正直言えば、ディフェンスなどに不安はやたら残る(^^;)。
しかし、佐々木尽の持つスター性は凄まじく、とにかく応援したくなる
“華”に溢れた選手。

現在のウェルター級は、WBAスーパー/WBC/WBOを、前PFP1位テレ
ンス・クロフォードが保持している。佐々木尽、今のままでは三団体統一
王者であるテレンスには正直勝ち目は無い。・・・無いのだが、それでも
ンチが一発当たれば・・・というを見てしまう。

出来ればIBF王者シャロン・エニスWBAレギュラー王者エイマンタ
ス・スタニオニスWBC暫定王者マリオ・バリオスの3名のうち、誰か
と対戦してベルトを獲得し、テレンスに挑戦状を叩き付けて欲しいところ。

『待ってろ、世界!』
良い言葉だ! でも、待たされるくらいなら獲りに行け、世界を!

怪物に出会った日

#願掛け成功


怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ / 森合正範(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2023年10月末頃、井上尚弥マーロン・タパレスを破って自身2階級目
となるスーパーバンタム級四団体統一王者となる少し前にリリースされ
ノンフィクション

井上尚弥と闘い、敗れた選手へのインタビューで構成された作品。
コレが単行本になる前、どこかのウェブサイトにオマール・ナルバエス
章のみ掲載されており、ソレが非常におもしろかった。なので、発売日に
購入を、と考えていたのだが、状況を鑑みて自分で待ったをかけた

この段階で井上尚弥はまだWBC/WBOの王者。しかし、次戦がWBA/IBF
王者のマーロン・タパレス、と決まっており、その結果が出るまで待った
方がより楽しめる、と判断したため。もちろん尚弥は当然の様に四団体を
統一したので、その段階で購入しても良かった。しかし、あっという間に
次戦が決定。先週東京ドームで行われたルイス・ネリ戦である。

ここで、僕はかんたんな願を掛けた
この本を読むのは、尚弥がネリをボコボコにしてからだ、と(^^;)。この
願掛けが見事に成功したのは、こちらで報告した通りである。

そんなこんなでようやく読めたノンフィクションは、重厚にして切ない
内容。負けたボクサーにも、もちろんキャリアやビジョンがあった筈で、
ソレを粉々にされた、という事実を考えると、インタビューを行うのにも
勇気が必要だった筈。しかし、この作品に登場する殆どの選手が雄弁に負
け試合を語る様は皆一様に清々しく「”怪物”と拳を交える」という奇跡
を、武勇伝の様に語っているところがおもしろい。

特に印象に残ったのは、デビュー時の井上尚弥と真っ向勝負し、フルラウ
ンドを倒れずに闘い抜いた、後の世界王者である田口良一のインタビュー。
“男には負けると解っていても闘わなければならない時がある”という格言
を地で行くようなエピソードに、思わず胸が熱くなった

コレは本当にすばらしいノンフィクション
願わくば、井上尚弥が王者のうちにナルバエスJr.との試合が実現してくれ
たら嬉しい。そうなったら胸アツどころの話じゃ無いな、マジで。

LIVE BOXING 8 – Main Event

#ボクシング


『PRIME VIDEO PRESENTS LIVE BOXING 8』
タイソンvsダグラス以来、34年ぶり東京ドームでのボクシング興行メイン
井上尚弥。本当は会場に足を運びたかったのだが、見やすさを重視してアマゾン
プライムビデオでの生中継を選択。対戦相手は、日本ボクシング界の天敵であり、
史上最悪のメキシカン“悪童”ことルイス・ネリ

入場する尚弥が、試合前から鬼の形相
この段階で正直不安になった。気負った状態のまま試合に臨めば、前半にしか
チャンスの無いネリの捨て身の攻撃に晒される可能性が。試合前のセレモニー
の最中、ずっと「落ち着いてくれ」と願っていた。

不安は的中
1R、ネリの内側からの左フックを被弾した尚弥は、生涯初のダウンを奪われた。
フラッシュダウンではなく、かなり深刻な被弾。34年前の東京ドームで、あの
タイソンが立てなかったことを思い出さずにいられない。正直、目の前が真っ暗
になってしまった。

しかし、カウント8で立ち上がった尚弥は、1Rを取り敢えず凌いでコーナーへ。
2R開始時にはそれなりにしっかりした表情に戻っていたが、まだ鬼の形相のまま。
対するネリ陣営、予期せぬダウンを奪っておおはしゃぎ。胃が痛い状態は続いた
のだが・・・。

2R、いきなりダウンを奪い返す尚弥
コレが出来るのが井上尚弥が怪物である由縁。このダウン以降、ネリは完全に
トーンダウン。以降は尚弥に文字通り「遊ばれる」展開となった。

3R・4Rとネリを小馬鹿にし続けた尚弥は、5Rにこの日2つ目のダウンを奪う。
それでも立って来たネリだが、戦意は完全に喪失した感。そして次のラウンド、
ネリは恐ろしい体験をすることになる

6R、尚弥の強打を恐れてパンチすら出せないネリ。コレを見逃す尚弥ではなく、
コーナーに詰めて鬼の連打。トドメのでマウスピースを飛ばしたネリは膝から
崩れ落ち、レフェリーはノータイムで試合をストップ

井上尚弥、6RKO勝ち
おそらく尚弥はネリに対して大きな恨みがあり、喧嘩と同じメンタルでリングに
上がったのではいか?と思う。それが無ければ初回のダウンも無かったし、もっ
と早いラウンドで危なげなくKO出来た気がする。でも・・・。

僕が井上尚弥に望んだモノは、今日の試合で全て果たされた
山中慎介のキャリアを台無しにし、反省の素振りも見せなかった男を、グウの音
が出ないくらい叩き潰してくれる日本人の出現を、僕はずっと待っていた。
本当に本当に、ありがとう!後はもう、行くところまで行っちゃってください!
ずっと応援しているので。

そして、ルイス・ネリさん
アナタ如きに「井上尚弥からダウンを奪った男」勲章を上げるのは口惜しいが、
山中の相手がやっぱり強かった、という事実の為に我慢しときます。僕らが大好
きなメキシコという国の評判も、これで少しは上がるでしょう。体重さえ合わせ
られるのなら、凄いボクサーだ、ということだけは認めます。もう観ることは無
いと思うけど、後はご自由に。