気が付いてみたら実に5年ぶりに読む貴志祐介作品。
メジャーな作家なのに、ここまで空いた、というのが不思議。今のところ読み逃し
は無い筈なんだけどなぁ・・・。
ということで久しぶりの貴志ワールドは、僕がハマるきっかけになった防犯探偵・
鍵のかかった部屋シリーズの第四弾。今回も短編集で、全四編の「密室ミステリー」
が収録されている。ところが今回の密室、それらしいのは最初の1エピソードのみ。
残り3つがどれもこれも通常の密室とは違う、異様な状況の中での物語となっている。
印象深いのはラストの「コロッサスの鉤爪」。
海洋上で起こった殺人事件を密室と見立てるセンスがすばらしく、手がかりが一つ
出てくるたびに「おお!」と唸るような展開。物語を破綻させずに謎解きまで持っ
いく手法はこのシリーズの真骨頂なのだが、特異と言って良い環境でも無理なくそ
の状況を構築しているのは実に見事。この一遍だけでも読む価値大、と思います!
他の篇も基本的には面白いのだが、2本目「鏡の国の殺人」に関しては、正直苦手。
“見取り図”的なグラフィックが無いと厳しい内容であることに加え、いわゆる芸術
的な造形物の想像が追いつかないのが原因。コレについては、映像もしくはマンガ
の方がいいかもしれない。
とにかく、大好きなシリーズに最新作が出てきてくれたのは非常に嬉しい。
そして、この作品はあのメンバーで映像化されるべきだと思う。視聴率稼げるだろ
うなぁ、きっと♪