Mystery Clock

▼ミステリークロック / 貴志祐介(Kindle版)

気が付いてみたら実に5年ぶりに読む貴志祐介作品。
メジャーな作家なのに、ここまで空いた、というのが不思議。今のところ読み逃し
は無い筈なんだけどなぁ・・・。

ということで久しぶりの貴志ワールドは、僕がハマるきっかけになった防犯探偵・
鍵のかかった部屋シリーズ第四弾。今回も短編集で、全四編「密室ミステリー」
が収録されている。ところが今回の密室、それらしいのは最初の1エピソードのみ。
残り3つがどれもこれも通常の密室とは違う異様な状況の中での物語となっている。

印象深いのはラストの「コロッサスの鉤爪」
海洋上で起こった殺人事件を密室と見立てるセンスがすばらしく、手がかりが一つ
出てくるたびに「おお!」と唸るような展開。物語を破綻させずに謎解きまで持っ
いく手法はこのシリーズの真骨頂なのだが、特異と言って良い環境でも無理なくそ
の状況を構築しているのは実に見事。この一遍だけでも読む価値大、と思います!

他の篇も基本的には面白いのだが、2本目「鏡の国の殺人」に関しては、正直苦手
“見取り図”的なグラフィックが無いと厳しい内容であることに加え、いわゆる芸術
的な造形物の想像が追いつかないのが原因。コレについては、映像もしくはマンガ
の方がいいかもしれない。

とにかく、大好きなシリーズに最新作が出てきてくれたのは非常に嬉しい。
そして、この作品はあのメンバー映像化されるべきだと思う。視聴率稼げるだろ
うなぁ、きっと♪