坂の上の赤い屋根

#イヤミスの教祖


▼坂の上の赤い屋根 / 真梨幸子(Kindle版)

ずっと楽しみにしていた真梨幸子の新作。
タイトルをモチーフにした赤い薔薇の表紙が非常に印象的。帯のキャッ
チコピーは「わたしが人殺しになったのはこの街のせい。」

今回標的になっているのは東京都文京区周辺の「街」と、その界隈に
住むハイソと言われる人々。その名の通りの「教育の街」で起こった
18年前の陰惨な事件、ソレをモチーフとした小説が週刊誌に連載され
る・・・というところから物語は始まる。

・・・いやぁ、相変わらずのイヤミスクオリティ
なにより凄いのは、またしても登場人物に「善人」に値する人がただ
の一人も存在しないこと。序盤から各者の「悪意の展開」が凄まじく、
ストーリーに大きな核を作っている。その流れに乗って読んでいるか
ら、各章の終盤で「マジか!」を連発。結構長い作品なのに、またも
や1日で読み切ってしまった。

この人が世界一のイヤミスメーカーであることはもう間違い無いと思
うが、ミステリー小説を書くテクニックにも注目すべき。この構成は
もう「新型の叙述トリック」であり、読者を目くらませさせる技術に
ついても当代一流。大好きなミステリー作家は多々居るが、今の僕は
真梨幸子をNo.1に挙げる。

しかし、しっかりツボを突いてくるなぁ、幸子サマ。
文京区に全く恨みは無いが、いけ好かねぇ!と感じることが無いワケ
では無い僕(^^;)。茗荷谷に住んでいる人にはとんでもない迷惑だろう
けど(^^;)。