君と夏が、鉄塔の上

#平均的中学生ファンタジー


▼君と夏が、鉄塔の上 / 賽助(Kindle版)

Unlimitedのリコメンドに表示されていた作品。
タイトルチョイスではなく、どちらかと言えばジャケットチョイスかも。

主人公は鉄塔(送電線繋いでるアレ)をこよなく愛する地味中学生男子
日常的に奇抜な行動を取る同級生女子とひょんなことから会話し、知らぬ
間に不可思議な事象に巻き込まれていく・・・というストーリー。

ジャンルで言えば間違いなくファンタジー。この作品内で起こる事件はど
れも荒唐無稽であり、改めて考えればかなり無茶苦茶なのだが、読書中に
それを感じさせない技量は見事。ファンタジックな世界よりも登場する中
学生たちの心情描写に重きが置かれており、その世界観に時折キュンと来
てしまうのだから凄い。

更に、重要なアイテムとして「鉄塔」を持ち出してくるところにセンスを
感じる。ウチの近所でも立派にそびえ立っている鉄塔に種類があることす
ら知らなかった身としては、目からうろこな記述が多々。賽助という作家、
なかなか侮れない気がする。

ホンワカした青春系のストーリーを好む人にオススメ。それでいて鉄塔に
興味のある人なら、完全にハマると思う。そういう人はあんまり居ないと
思うけど。