#贖罪の物語

▼アイズ 猟奇死体観察官・児玉永久 / 内藤了（Kindle版）

久しぶりの内藤了作品は、藤堂比奈子シリーズのスピンオフ。
かつて連続殺人を犯した“クローン”児玉永久が、センターで法医昆虫学者
となり、猟奇犯罪捜査班と共に事件を解決する、という内容。

藤堂比奈子シリーズが終了して数年が経過するため、時系列にややあやふや
な部分がある。いちばん疑問だったのは、主人公が所属するセンター･･･知
的犯罪者隔離施設･･･が、知らぬ間に随分ユルくなったなぁ、ということ。
そもそもの事件は主人公の永久が外出することから始まるのだが、それが
可能な設定はいつから採用されたんだろう？と。幾つかのスピンオフを読
んでいないので、詳細は謎。解る人が居れば教えてほしい。

今回は主人公・児玉永久の“心”の成長物語。
もちろんかなりおぞましいレベルの猟奇犯罪は今回もちゃんと起こるのだ
が、それは絶対的に「不安定」な主人公が、人間的な感情を徐々に獲得し
て行く、という「プロセス」のための要素でしか無い。今回は幸か不幸か
ソレが良い方に転び、わりと読み応えの深い人間ドラマに仕上がっている、
と思う。

そして、新人を卒業した堀北ケッペーちゃん、猟奇犯罪捜査班の一員とし
て再登場。今後の活躍に期待してます！