死にゆく者の祈り

#教誨師


死にゆく者の祈り / 中山七里(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

読むべき本に困っていたところ、中山七里未読作品Kindle Unlimitedにあっ
たので、迷わずチョイス。タイトルからしてちょっとヤバい気がしたのだが・・・。

主人公は浄土真宗僧侶。単なる坊さんではなく、拘置所『教誨師』を勤め
ている特殊な坊さんで、仕事の内容をざっくり言うと「死刑囚に仏の道を説き、
安らかな死を迎えさせる」という感じ。

この教誨師が拘置所で出会った死刑囚が、なんとかつての親友。しかも、大学
山岳部時代遭難しかけた自分のを助けてくれた恩人であり、彼が死刑囚
であることを俄に信じられない。彼の犯罪に疑問を持った教誨師は、今一度彼
が犯したという「殺人事件」を洗い直すのだが・・・。

探偵役僧侶、という設定が非常におもしろい。
まぁ、罪人に過度な思い入れを持つ、というのは坊主としてどうかと思わなく
も無い(^^;)のだが、聖職者であってもやっぱり人間、という現実をイチイチ
再認識させられる。コレはけして否定的な意味ではなく、ある意味で清々しく
もある

正直、文体は非常に重い上に、仏教用語お経なども頻繁に登場するため、や
鈍重な展開になるのだが、タイムリミット「死刑執行」であるが故に、全
編に緊張感が漂う。おかげで緊張が切れることなく、最後の最後までドキドキ
しながら読むことが出来た。

お得意の「どんでん返し」もしっかり炸裂するので、ファンの方はご安心を。
なかなか重厚なミステリーなので、Unlimitedなウチに是非!