クスノキの女神

#東野ファンタジー


クスノキの女神 / 東野圭吾

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東野圭吾作品。
・・・いつものように「新作」と書けないのは、この本の発売日が去年の5月だった
から。そして、僕がこの本を購入したのも昨年5月(^^;)。紙の本ってホントに暖
めてしまいがちなのだけど、東野圭吾作品でコレをやってしまうとは・・・。

4年前にリリースされた「クスノキの番人」の続編。
人の「思い」を記憶し、それを他人に「伝える」ことの出来る不思議なクスノキ
“番人”となった玲斗は、神社の仕事をこなしながら通信制で学ぶ大学生となっ
ていた。そして玲斗を助け、クスノキの番人へと導いた叔母千舟は、矍鑠とし
ながらも認知症が徐々に進行している状況。そんな中、神社に「自作の詩集を置
かせて欲しい」という少女が現れて・・・という感じの導入。

前作の前半部分にやや冗長に感じる部分があり、今回も中盤までは我慢の読書
なることを覚悟していたのだが、その覚悟は全くの無駄に終わった。今回は登場
人物の設定がしっかりアタマに入っていた所為か、序盤のゆったりした展開も興
味深い伏線としてスルスル入ってくる。景観の優れた山渓道をゆったり散歩し、
最後にすばらしい情景を拝む、という感じのすばらしい読後感。いや、脱帽です。

ストーリーに関しても、何かしらの“熱いモノ”が、ラストに向かってゆっくり迫
ってくる堂々としたモノ。クライマックスはもちろんのこと、その前段階の幾つ
かの部分で、思わず涙が溢れたほど。けしてハッピーな終わり方では無いが、そ
れでも「前を向くべき」と思わせてくれたのだから凄い。

久しぶりにちゃんと「本」を読んだなぁ、という充実感
やっぱりちゃんと凄いんだよ、東野圭吾って。