イノセンス

#GUITAR


イノセンス / 誉田哲也(Kindle版)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誉田哲也の新作。とは言っても8月にリリースされたモノで、単純に見落として
いた模様。久しぶりの“音楽モノ”で、僕の記憶に間違いが無ければ、2011年
『ガール・ミーツ・ガール』以来かと。・・・もっと出ていた気がするのだが。

スランプに陥った女性シンガーソングライター・立石梨紅と、数年前に失踪し
消息不明となっている天才ギタリスト・伊丹孔善の二人が交互に語り部を務め
る構成。

アルバム制作に行き詰まった梨紅は、偶然耳にした孔善の楽曲に衝撃を受ける。
アルバムの完成に孔善のアドバイスは必要不可欠、と考えた梨紅は、消息不明
の孔善を探し出すことを決意。そのころ孔善は、東北のとある場所で世捨て人
のような生活を送っていて・・・という感じ。

・・・なんというか、凄く“優しい”作品。
登場人物に悪人は殆ど存在せず、全員が自分以外の誰かを慮る、という世界。
その中でややマニアック音楽楽器蘊蓄が踊るのだから、音楽好きにはた
まらない。そして最後にはちょっとした恋が生まれそうな予感が・・・。

・・・うん、問題は二つ(^^;)。
一つは、音楽系の話題の中にあまりに難易度の高そうな話があること。もちろ
ん解る人には解るし、かなり響くとは思うのだが、知らない人だと何も理解出
来ない可能性が。実際、僕もかなりギリギリだった(^^;)。
もう一つ、この優しすぎる作品“誉田哲也の作品”である、ということ。いつ
もはハードで、下手すればグロい作品を提供し続けている作家であるからこそ、
この普通さ違和感を持つファンがたくさん居そうな気がする。

とはいえ、僕はかなり気に入った
読了後、何年かご無沙汰だったMr.BIGを久々に聴いたし、最近弾き続けている
ウクレレの代わりにギターを引っ張り出しもした(^^;)。あと、GMGのキャラ
がサラッと登場しているのもちょっとニヤッと出来たかも。

読む人を選ぶ作品かもしれないが、こういうのが売れてくれると非常に嬉しい。
・・・難しいかもしれないけど。