いまさら翼といわれても

#継続希望


▼いまさら翼といわれても / 米澤穂信(Kindle版)

米澤穂信古典部シリーズ第六弾
この後に企画本があり、そちらでも短編が読めるらしいのだが、一応
古典部シリーズとしては今のところ最終巻。こちらは全6篇から成る
短編集である。

古典部シリーズは短編よりも長編の方が好みなのだが、同じく短編集
であった前々作「遠まわりする雛」に比べると、一話々々が「重い」
千反田える苦悩折木奉太郎過去、そしてずっとブレのない福部
里志物語は、どれも興味深いものばかり。読む手は止まらず、久し
ぶりに半日ほどで速読してしまった。

圧巻だったのは、伊原摩耶花が主役の「わたしたちの伝説の一冊」
前作まででは描かれなかった“摩耶花が漫研を辞めた理由”がしっかり
物語になっており、今後に希望を感じずにいられないラストには、ち
ょっとときめいた。

この本の刊行は2016年であり、そこから約6年が経過。次がいつに
なるのか解らないが、出来れば二度目のカンヤ祭を中心に描いて欲し
いところ。古典部シリーズと過ごす3ヶ月、楽しかった!

ふたりの距離の概算

#マラソン大会


▼ふたりの距離の概算 / 米澤穂信(Kindle版)

米澤穂信古典部シリーズ第五弾
時間は少し動き、めでたく高校2年生へ進級した古典部の面々。
2年になるとやらなければならないのは、もちろん新入生の勧誘(^^;)。
いろいろあってようやく1人の新入生女子を確保した(かに見えた)
古典部だが、彼女は程なくして入部の取りやめを宣言。折木奉太郎は、
その原因の究明に動く。なんと、マラソン大会の最中に・・・という感じ。

約20kmを走る間に事情聴取→推理→原因究明の全てが行われる、と
いう面白くも凄まじい展開。普通なら完全に無理がありそうな設定だ
が、そのストーリーが綺麗に流れていく様は清々しい上に圧巻である。

いつものように誰も死なないミステリーだが、妙な緊迫感に溢れた
物語は、そこらへんのハードボイルド系に勝るとも劣らない。実際、
これまで読んだシリーズの中では、いちばん面白かった

・・・う〜ん、あと2冊か(^^;)。
といっても、最後の1冊は企画モノなので、次が実質最後。ちょっと
寂しくなってきたかも。

LAST

#時をかける新人


▼LAST 東京駅おもてうら交番・堀北恵平 / 内藤了(Kindle版)

内藤了東京駅おもてうら交番・堀北恵平シリーズ第八弾にして、
遂にシリーズ最終巻。まもなく「新人」を卒業しそうな女性警察官・
堀北恵平、通称ケッペーちゃんと、先輩刑事・平野との世界も、コレ
が最後、ということになる。

・・・せっかくの最終作なので、今回はネタバレに注意しながら。
第一巻から各所で張り巡らされた伏線は、この巻で一気に回収されて
行く。途中で起こったある種意味不明な描写すら見事な伏線であり、
終盤は大いに呆気にとられたいやぁ、そう来たか!という目から鱗
状態が続き、読了時には寂しさ爽やかさが同時に溢れたてきた。

テレビドラマ化された藤堂比奈子シリーズの後を受ける形でスタート
して約4年名作の後は厳しいかな、と思っていたがどうしてどうして、
前シリーズ以上に緊迫感に溢れる展開は大いに僕を楽しませてくれた。

しかも、エンディングで我らがケッペーちゃん、なんとあそこ異動
することに。いやいや、こうなったらもう続編書くしか無いでしょ、
内藤先生!そういうワクワクを残してくれるところが、本当にニクい
です!

すばらしいシリーズを、ありがとうございました!

遠まわりする雛

#短編集


▼遠まわりする雛 / 米澤穂信(Kindle版)

米澤穂信古典部シリーズ第四弾
前三作は長編小説だったのだが、今回は全7篇から成る短編集

時系列がバラバラなのがちょっと解りにくい気がしないでも無いのだ
けど、このシリーズのジャンルを「文化系ミステリー」と考えると、
一度ここで短編集を入れて来るのも効果的な手法な気が。ある種偏屈
主人公を筆頭に、キャラ立ちの激しい古典部メンバーの魅力に溢れ
た一冊となっている。

以前放映されていたアニメ『氷菓』は、この第四弾までの内容で構成
されていた。つまり、次の巻からようやく初見のエピソードが楽しめ
る、ということ。

果たして折木くんと千反田さんはどうなるのか?
そのへんも注目して残り三冊を読む!

さっちゃんは、なぜ死んだのか?

#イヤミスの教祖 #ミスリードメーカー


▼さっちゃんは、なぜ死んだのか? / 真梨幸子(Kindle版)

約8ヶ月ぶり真梨幸子作品。
もう完全に「ミステリー」と予想できるタイトルで、読む前から変に心が
ときめくのが不思議(^^;)。過度に期待をかけた状態で読み始めたのだが・・・。

いやもう、非常にしっかりしたミステリー
いわゆる連関モノであり、様々な登場人物が最終的に一本の線で繋がる、
という、ミステリーのお手本の様な構成。実際、今回もお得意の叙述トリ
ックは冴えに冴え、終盤で3回くらいビックリさせられる、という理想的
な物語。でも・・・。

真梨幸子の凄いところは、絶対に【イヤミス】という要素を消さないまま
キャリアを築いているところ、だと思う。今回は登場人物がかなり多く、
それぞれの描写は短めなのだけど、だからこそ矢継ぎ早に繰り出される
『悪意』の攻撃は凄まじく、普通の読書好きなら心が折れるかも。幸か
不幸か、僕は既に真梨幸子中毒ドM体質(^^;)になっており、コレが
しくてしょうがない

もう毎回言っていることだけど、イヤミス耐性に優れた人に「読まない」
という選択肢は存在しない。心して読むべし!

・・・2022年2冊幸子サマ、来年はぜひ僕に3〜4作品ください!