お馴染みKindleストアのリコメンドに出てきた作品。
タイトルに惹かれて購入したのだが、そこに小さな問題が(^^;)。まぁ、
大したことは無いのだけど、理由は後述。
奥付によると、阿川大樹という作家はあの劇団夢の遊眠社の旗揚げメンバー。
役割はいわゆる音効さんで、舞台で使う曲をほぼ作曲していたらしい。そし
て半導体技術者としての顔もあり、さらに小説家。非常にマルチな才能を有
する人であることは間違い無い。
体裁は連作短編。
(おそらく)人身事故で運転停止した夜の満員電車に偶然乗り合わせた人た
ちの様々な「事情」を、切れ味鋭く描写した“深い”系のヒューマンミステリー。
タッチは若干暗めで、かなり重たいエピソードもあるのだが、全体的な印象
は真逆。一遍を読み終わるたびに、じんわりとした感動が浮かんでくる佳作。
電車の遅延は日常的に起こる現象だが、そこにフォーカスして人間ドラマを
いくつも書き上げるセンスは、単純に凄いと思う。
小さな問題とは、この電車がどうやら終電では無い、ということ(^^;)。
Amazonのレビューによると、「人身事故の神様」からの改題らしい。
改題前のタイトルならすごく納得出来る作品集なのだけど、「終電」という
言葉がわりと強力で、ちょっと内容がブレちゃってる感あり。確かにイメー
ジは悪いけど、元のままの方が良かったんじゃないかなぁ・・・。
しかし、あくまで小さな問題。全体的にはじっくり読ませてくれる作品集な
ので、タイトルに惑わされずに読むことをオススメしておきます!