Kindleのリコメンドに出てきた作品。
まず著者の「町中華探検隊」とは、サブカルの世界では高名なライターである
北尾トロ・下関マグロの両者が結成し、その後薔薇族編集長の龍超などを巻き
込んで巨大化している食べ歩き愛好団体の名称と説明しておく。現在何人の隊
員がいるのか、正確な数は・・・まぁ解らない(^^;)。
日本全国、ほぼどこの町にもだいたい存在する「中華屋」。
昭和以前に開店し、大資本のチェーン店傘下ではない個人営業のお店。中華と
言ってもラーメン専門店ではなく、メニューにラーメン・餃子・炒飯が必ずあ
った上で、セットも充実、さらに中華なのにカツ丼やカレー、オムライスなど
も置いているような、昔ながらの中華食堂のことを「町中華」とカテゴライズ。
後継者不足などで絶滅が叫ばれる町中華を、しっかり記録しておこう、という
わりと崇高な企画らしい。
・・・いやぁ、面白いわ、コレ(^^;)。
僕自身は決して町中華が好きなワケではない。強いて言うのなら、炒飯が時折
強烈に食べたくなる程度で、後は冷やし中華の出される夏期に数度そういうお
店を訪れる程度。そして残念ながら(^^;)、この本を読んでいても、紹介される
料理を食べたい、という気持ちは少しも沸いてこない(^^;)。にも関わらず、読
んでいると何故か強烈にそのお店に行きたくなってくるのが不思議。
北尾トロも下関マグロも、以前は本当に好んで読んでいたアングラの申し子の
ようなライター。高尚でもなく、心を打たれるワケでも無いが、妙な居心地の
良さを感じる文体は円熟の域。特に中華料理に興味の無い僕が、読み終わる頃
には特にいっぱしの町中華愛好家の気分になってるのだから、やっぱり彼らの
実力はホンモノ。ま、胡散臭いことも間違いは無いけど。
こちらはUnlimited扱いなので、会員ならとにかく読んでみるべき。
アングラの実力を堪能出来ると思うので、ぜひ!