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▼ブロードキャスト /  湊かなえ

湊かなえの新作は、なんと驚きの「学園青春小説」
もちろん「告白」「高校教師」など、学校を舞台にした作品は多々あるのだ
が、まさかこのジャンルを攻めてくるとは・・・。

正直、最初は違和感バシバシだった。あの湊かなえが青春モノを書いている、
というのが俄には信じがたく、混乱すら覚えた。しかし、途中からグイグイと
物語に引き込まれて行く。熱いじゃん、コレ!という感じで。

舞台は高校「放送部」
有望な陸上選手だった主人公が交通事故で夢を絶たれ、流されるままに文化系
放送部に入部。そこにも「全国」を目指す世界があって・・・という、青春小説
のステレオタイプとも言える内容。信じて貰えないかもしれないが、実は僕、
文化系の部活動を殆どやったことが無い。故に描かれる世界は非常に新鮮で、
感情移入の度合いは激しくなる一方。しかし・・・。

途中でやたら不安(^^;)になった。
このメチャクチャ熱い小説はぜひハッピーエンドで終わって欲しい、と思って
いたのだが、なんと言っても作者はあの湊かなえ(^^;)。とんでもなくイヤ〜
な結末を持ってくるんでないか?と勘ぐらざるを得ない。そういう意味でも、
まぁ最後までドキドキさせてくれる作品であった。

湊かなえがイヤミス完全封印、というのはちょっと寂しくもあるのだが、こう
いう全く予測も出来なかったジャンルでしっかりと面白い作品を創り出してし
まう湊かなえも非常に魅力的。この作品の続編も含め、湊かなえの描く青春小
をもっともっと読んでみたい。

かなりの傑作。掛け値なしでオススメです!