黒猫の小夜曲

▼黒猫の小夜曲 / 知念実希人

某所からの推薦図書
オススメされた時点では「知らないなぁ、この作家・・・」とか思っていた
のだが、読後に調べてみると半年くらい前に一冊読んでいたことが発覚。
しかしまぁ、それもしょうがないかと。理由は後述。

魂の道案内、いわゆる「死神」が主人公。鷹揚で自分本位だった死神が
左遷(?)され、黒猫の肉体を借りて地上に漂っている「地縛霊」たち
を救わなければならなくなる。数体の霊たちを浄化するうちに、ある
通項が浮かび、死神にして猫なのに、事件の真相を追う探偵までこなす
ことに・・・というお話。

とにかく設定ナイス
最初は不本意な左遷を嘆いていた死神が、黒猫として活動するうちに
人間の「魅力」に気付いていく流れが非常に美しい。ファンタジー要素
を強く押し出しながら、ミステリーとしての構成もかなりしっかりして
おり、双方のファンが満足する仕上がり。最終的に感じた「ほっこり感」
はかなりのモノで、ひさびさに読書で多幸感を味わった。

しかし、やや食い足りない部分も。
↑↑で書いたようにミステリーのレベルは高いのだが、犯人をもうちょ
っとだけ捻って欲しかった(^^;)。あまりに犯人らしい人が犯人だったの
がちょっとだけ残念。

ちなみになぜ読み終わるまで氏の著作を読んだことに気付かなかったか
と言うと、あまりに文体が違ったから(^^;)。それだけ引き出しが豊富な
作家だ、と評価しておきます。

そしてコレは僕のミスでもあるのだが、この作品は「死神シリーズ」
2作目だったらしい。また間違っちゃったよ、順番(^^;)。