#最強猫作家
およそ1年半ぶりとなる有川ひろの新作。
いわゆる短編集で、共通テーマは「猫」。既に各所で発表されていた
6篇に書き下ろしが1篇足され、全7篇の単行本となっている。
さて。
有川作品で表紙が村上勉の猫のイラスト、となると、どうしてもあの
名作「旅猫リポート」を思い出さずにいられない。旅猫は僕に史上最
大量の涙を流させた小説であり、思い入れの深さは尋常ではない。
アレと比べちゃうのは正直どうかと思ったのだけど・・・。
悪い言葉なのを解った上で言うと、構成はかなりの「寄せ集め」。
初出が2012年から2021年とあまりに幅が広い上に、全7篇のうち2篇
は既に読んだことのある話。こういう場合、ちょっと損したなぁ、と
思うことが殆どなのだが・・・。
・・・いやぁ、またやられました(^^;)。
冒頭の旅猫外伝2篇(うち1つは既読の話にも関わらず)で盛大に泣か
され、後半の最近書かれた作品2篇でやたらとほっこり。そしてタイト
ルになっているラストの篇で、今度はさめざめと泣かされた。
前作「イマジン?」の時にも感じたのだが、読後に「有川ひろの本を
読んだ!」という幸せな充実感に包まれた。未だにリリースのペース
はゆっくりなままだけど、こういう気分が味わえるのであれば、多少
のブランクは我慢出来る。次は書き下ろし長編で、存分に有川ワール
ドを魅せつけて欲しい。
・・・ま、1年に1冊くらい新作が読みたい、が本音ではありますが(^^;)。