#Harem Shuffle
Kindleのリコメンドに出て来た本。
山本文緒は直木賞受賞の女流作家で、この作品はその前に吉川英治文学新人
賞を取っている。ストレートなタイトルに、過度な期待をしていたのだが・・・。
基本的には極度の人見知りで孤独に慣れているタイプの女性が主人公。
大学時代から付き合いのある男性と離婚、一人で慎ましく生活していたとこ
ろ、ファンだった作家(兼タレント、既婚)と遭遇。豪放な人柄に惹かれ、
彼の秘書兼愛人に。彼の事務所には、他にも複数の愛人が・・・という内容。
いわゆる恋愛体質とか恋愛依存症というのは、どちらかといえば男性に多い
とされており、主人公の女性はまさにソレをこじらせたパターン。だから、
途中まで女流作家の書いた文章とは思えなかったのだが、中盤から終盤にか
けてのたたみかけで戦慄。越えてはいけない一線を越えてしまう部分は恐怖
でしかなく、オンナって怖ぇ、と心から思った。
さらに終盤には主人公の驚くべき秘密も明らかになり、ますますサイコ感が
増して行く。さすが直木賞作家、いたるところに才能の片鱗が見える快作。
とはいえ、ラストまで読んでも更に感じる薄気味悪さ(^^;)は、読む人をあ
る程度選ぶのかもしれない。
ドロドロ系とはまた違う、サイコヒューマンミステリー、かな。
少なくとも読み応えは充分なので、興味を持った方はぜひ!