許されようとは思いません

#珠玉五篇


▼許されようとは思いません / 芦沢央(Kindle版)

「悪いものが、来ませんように」に衝撃を受け、続けて芹沢央作品。
こちらは全5篇からなる短編集

・・・いや、脱帽
全く関連性の無い5篇だが、どのストーリーからも計算され尽くした
『薄気味悪さ』が漂う。いわゆるイヤミス系とはまた違った感覚で、
読書中にいたたまれなくなり、思わず本を閉じてしまう機会が数度
あった。しかし、ミステリーとしても非常に秀逸で、見事に5回、し
っかりしたどんでん返しを喰らったのだから驚く。

特に印象に残ったのは、1篇目『目撃者はいなかった』と、タイト
ル作・ラスト『許されようとは思いません』の2つ。前者は仕事の
ミスの隠蔽を図った冴えないサラリーマンの顛末を描いたひたすら恐
ろしい物語、後者は身内に殺人犯を持つ男が苦悩しつつ事件の真相に
迫るオカルトテイストのミステリー。最後のタイトル作のみ、ホンの
少しだけ清涼感を含んでいるところが小憎らしい

マジで良い作家に巡り会ったかも。
しばらく読書に困らないくらい著作もあるので、今後バリバリ読む!