#山渓釣り
『鯖』に衝撃を受けたので、まずはUnlimited扱いになっている赤松利市
作品を物色したところ、ソレに該当したのがこの作品。
東日本大震災に被災し、多額の補助金を手に入れ、避難先で贅沢に過ご
す避難民たちを横目で睨みつつ、これまでと全く代わり映えのしない生
活を余儀なくされる受け入れ先に住む中年期に差し掛かった男性。金に
対する欲望が最高潮に高まった時、幼なじみから原発関連の仕事を斡旋
されて・・・という内容。
東日本大震災に絡む、原発避難民とその受け入れ先住民たちの「闇」の
部分にスポットが当てられており、物語は終始暗いトーンで進行する。
しかし、緊迫感が最初から最後まで一貫して保たれている所為で惹きは
強く、読書中に全く飽きることが無いのが凄い。
この作品も「釣り」が重要な場面で描かれる。
今回は山渓・ヤマメの毛針釣り。この作家、本当に釣りが好きなんだろ
うなぁ、と感じた次第。
惜しむらくは、緊迫感を切らさずに続いた物語が、やや尻切れトンボの
ような状態で終わってしまっていること。もう少しだけエンディングに
凝って貰えれば、もっと満足出来たかもしれない。
あと1作Unlimited作品があるので、赤松利市強化月間は続行。
この迫力ある文章、ちょっと病みつきになるかも・・・。