福家警部補の再訪

▼福家警部補の再訪  / 大倉崇裕(Kindle版)

大倉崇裕・福家警部補シリーズ第二弾。
こないだ読んだシリーズ第一作が非常に面白く、続編にすぐ手を出した次第。

この第二弾もテレビドラマで既に観ているエピソードが殆どだったのだが、
相変わらず漂いまくる緊迫感。文章で改めて読むと実に良く出来たミステリー
であり、オチが解っていても興味が全く途切れない。ハッキリ言って凄いです、
コレ。

今作品も収録は4篇。
豪華客船内での警備会社社長との対決を描いた「マックス号事件」、過去に後
ろ暗い事実を持つ売れっ子脚本家の計略「失われた灯」、落ち目になりつつあ
る漫才コンビの悲哀を描いた「相棒」、そしてフィギュア造型家の秘密を暴く
「プロジェクトブルー」。
個人的には犯人の最後の台詞が印象的な「プロジェクトブルー」がお気に入り
だが、全ての作品で極めて”特殊”な世界が描かれており、その手のマニアも充分
に納得出来るハズ。カッチリとしたミステリーが読みたい人は是非!

そして、「Unlimitedでシリーズ第一作が無料」というのは非常に良いかも。
まずは無料(※定額だけど)で世界観を知り、気に入れば以降を有料で購入、
という流れは合理的だし、素直に課金出来る。同じ様なスタイルで読書出来る
作品を望む!

・・・すげぇな、Amazon(^^;)。いや、凄いのは出版社か(^^;)。

手ぶくろを買いに

アチラで「手袋」のことを書いていたら、凄く大好きな童話を思い出した。
YouTubeで探してみたら、結構ステキなムービーを発見したので、紹介がてら
張っておきます。

新美南吉の「手ぶくろを買いに」。
「ごんぎつね」に並ぶ、新美きつね童話シリーズ(?)の傑作。

僕は小学生になる前からかなりたくさんの本を読んでいたのだけど、幼少期で
いちばんのお気に入りはこのお話。母思いの心優しい子狐と、さらに心優しい
帽子屋さんの交流を描いた物語。

昔話では9割の確率でヒールになるキツネが、心から愛すべきキャラとして描か
れているのが、幼心にグッと来た模様。「ごんぎつね」は本当に悲しいお話な
のだが、「手ぶくろ」は本当に良いお話。絵本で持っていたいなぁ・・・。

▼手ぶくろを買いに /  新美南吉 (著)・ 黒井健(イラスト)

福家警部補の挨拶

▼福家警部補の挨拶  / 大倉崇裕(Kindle版)

数年前、檀れい主演にてフジテレビでドラマ化されたミステリー。
視聴率はそれほどでも無かったらしいが、しっかりと芯のあるドラマで、録画
を一気見した覚えが。いつか原作を読もう、と思っていたのだが、Unlimitedに
第一作があるのを発見。これ幸い、とばかりに読み始めてみた。

全4篇から成る連作短編で、全ての章の冒頭で語りを入れるのは必ず“犯人”。
良く言われる“定義”に則って言うのならこれはミステリーでなくサスペンスで、
刑事コロンボ・古畑任三郎に代表される“犯人追い詰め型”の物語。

この手の作品の場合、伏線の張り方如何でかなり先が読めてしまうのだが、
大倉崇裕のテクニックは恐ろしく鋭い。全てのエピソードを先にテレビで観て
いるはずなのに、終盤で「おいおい、どうすんだよ?」と思わなかったモノが
無い(^^;)。それでも最後は説得力抜群の状況でまとめてくるのだから、読後
の満足度はかなり高い。

このシリーズ、近いうちに読破してしまいそうな予感。ただし、Unlimitedで
読めるのは1作のみ。今のところ全5作か・・・。

そして、原作を読んだらもう一度ドラマ版が観たくなった。
思うに、福家警部補を檀れいが演じたのはナイスキャスト。イメージ通りにも
程があると言うか(^^;)。シーズン2、やらないかなぁ・・・。

遺作「男の星座」

Kindle Unlimitedでこれまた興味深い作品を発見。
ほぼ1日で1-8巻を読破してしまうほど凄まじかったのは、原作王・梶原一騎
先生の遺作である「男の星座」。

作画は「プロレススーパースター列伝」でもコンビを組んだ原田久仁信。
この二人のタッグというのは、我々の世代にとってのダイナミック・デュオ
であり、少年サンデーの発売日が待ちきれなかったあの時代を思い出す。

内容は梶原一騎の“自叙伝”に他ならず。
いろんなところでスーパーファンタジーを魅せてくれた梶センセだから、
内容が全て本当かどうかは正直なところ解らない(^^;)。しかし、本当かどう
かを詮索するのは正しく野暮、というもの。少なくとも男子であれば、ほぼ
全員がグッと来るストーリー。原田先生の臨場感溢れる絵がそれに拍車を掛
けているのだから、列伝世代はもう本当にたまらない気がする。

作家の自叙伝の筈なのに、描かれている世界はいわゆる任侠道。
「タイガーマスク」や「あしたのジョー」を生み出した男なのだから、それ
も大きく頷ける。梶センセの八方破れな生き様、とくとご覧あれ!

▼男の星座 1 / 作:梶原一騎、画:原田久仁信

バンクキャット

▼バンクキャット  / 菅原裕一(Kindle版)

個人的に3冊目となる東スポ官能小説大賞グランプリ作家・菅原裕一作品。
表紙の猫が割とカワイイので大きく油断したのだが、この作品、とんでもなく
秀逸なミステリー。かなりのボリュームがあるのだが、本当にあっという間に
読了してしまった。

アイテムはハッキングと医療。双方共にそれなりに専門分野に突っ込んだ風の
内容であり、少なくとも僕のような素人が読むと圧倒的なリアリティが。そし
て、全く相容れない筈の2項目がバランス良く同居し、共に手に汗握る状況を
作っちゃっている。Unlimitedにしとくのは勿体無いわ、本当に。

何よりも凄いのは、若かりしころに恐ろしく非道い目に遭い、その後の人生を
正義感のカケラも無くただただ復讐に没頭するしかなかった主人公の最終的な
立ち位置。その辺りを注意しながら読むと、これまで全く無かったダークヒー
ローの形を理解出来ると思う。

敢えて難を言うのなら、オーラスをもう少しだけ整理して欲しかったかも。
しかし、これはもう非常に些細な問題。説得力抜群の口語体ミステリーを堪能
すべし!