MARTINEZ vs IOKA

#LIFETIME BOXING FIGHTS27


ボクシング・WBA世界スーパーフライ級選手権
王者・アルゼンチンのフェルナンド・マルティネスに挑んだのは、前王者
井岡一翔。いわゆるダイレクトリマッチで、もしかしたらコレが井岡の
最後の試合になるかも、と思い、Abemaの生中継を確認した。

正直、井岡がタイトルを落とした前試合でのマルティネスの印象があまり
強烈だったため、井岡の勝ち目は薄い、と思っていたのは間違い無い。
実際試合の殆どをマルティネスが支配し、井岡が立っているのが不思議だ
ったほど。KOされるのも時間の問題、と思われたのだが・・・。

10ラウンド、ダウンを奪ったのは井岡の方だった。
それまで我慢に我慢を重ねた9ラウンドを立ち続け、見事すぎる左フック
を当てて見せた井岡。強いことは認めるが、あまり好きにはなれなかった
井岡一翔というボクサーを、この一発で完全に認めた。以降の3ラウンド
は紛れもない名勝負。もし井岡がもう一つダウンを奪っていたら、判定は
違うモノになった気がする。

いやぁ、井岡の試合中に大声を出すことになるとは・・・。
井岡のキャリアから考えると、この試合が最後になってもおかしくない。
だけどもし可能なら、寺地拳四朗との勝負が観てみたい。引退なんてし
ないで欲しいなぁ、本当に。

INOUE vs CARDENAS

#Prime Video Boxing 12


ボクシング・スーパーバンタム級四団体統一世界王者井上尚弥の統一
王座四度目防衛戦は、米国ネバダ州ラスベガス・T-Mobileアリーナ
行われた。挑戦者はWBA1位にランクされているラモン・カルデナス
ランキング1位とはいえ、コチラは尚弥が苦戦することなど一切考えず
どちらかと言えば「役不足」くらいに思っていたのだが・・・。

メキシカン・アメリカンラモン・カルデナス、おそらく「井上尚弥を
最も苦しめた選手」として歴史に残ることになる、と思う。2Rタイミ
ングドンピシャ左フックを当て、尚弥から明らかに深刻なダウンを奪
い、前半は完全にペースを握った。何よりも、尚弥の強打に対し、真正
面から勇敢に立ち向かったボクサーは、カルデナスが初めてだと思う。

これまでに尚弥が明確に苦戦した試合として思い当たるのは、新人時代
田口良一戦、1回目のノニト・ドネア戦、そして生涯初のダウンを奪
われたルイス・ネリ戦の3試合くらい。ネリとの試合はタイミングでの
ダウンで、試合全体を通せば「苦戦」ではなかった気もする。しかし、
この試合は明らかに尚弥の「大苦戦」。試合が決するまで、生きた心地
がしなかったのは初めてかもしれない。

最終的には7Rダウンを奪い返した尚弥が、8R連打をまとめて強引
TKO勝ち。結果的に世界戦KO勝利の記録を作ったが、今回ばかりは
素直に喜ぶことが出来なかった。

カルデナス予想以上に強かったのは間違い無い。まがりなりにもラン
キング1位の選手であり、強くて当然ではあるのだが、数年前の尚弥が
このクラスに苦戦したのか?と考えてしまう。尚弥にが今後予定してい
3つ大きな試合・・・MJ戦、ニック・ボール戦、中谷潤人戦・・・を考え
ると、一抹の・・・いや、大きな不安を感じる。

・・・ハッキリ言おう。井上尚弥は、衰えている
いや、衰えた今でも世界トップクラスで強いのだけど、MJあたりに足を
救われる井上尚弥なんて想像もしたくない。願わくば、来年実現するで
あろう、もう一人の“怪物”との試合までは勝ち続けて欲しい。
お願いだから・・・。

3150×LUSHBOMU vol.5 day.2

#相性


昨日に引き続き、ボクシング『3150×LUSHBOMU vol.5』をabemaにて。
今日のメインイベントは前王者重岡優大が、王者メルヴィン・ジェルサエム
に挑んだWBC世界ミニマム級選手権。優大のリベンジが期待されたが・・・。

・・・残念ながら、メルヴィンが強すぎた
優大もかなりメルヴィンを研究し、対策を立てた上で挑んだことは理解出来た。
しかし、全ラウンドでメルヴィンは悉く優大の上を行き、主導権を一切渡さない、
という圧倒的な試合を展開。正直、ダウンしなかった優大を褒めたいくらい。

3-0の判定でメルヴィン防衛。おそらく長期政権を築きそう。
注目度の薄くなったミニマム級にスポットを当てたのは重岡兄弟だが、この王者
には兄弟共に相性が悪すぎる気が。銀次朗はIBFを取り返し、優大はWBO・WBA
のタイトルを狙うのが賢明かと。悔しいけど、ちょっとコレは・・・。

二日目はカードが若干弱い、と思っていたが、セミ前で人気者の中川麦茶が見事
大物食いを達成。惚れぼれするような本格的なボクシングで勝った、というの
インパクト大。やれば出来んじゃん、麦茶(^^;)。

そしてセミ、但馬ミツロヘビー級6回戦。当然ミツロが4回KO勝ちを果たした
が、この相手に4Rかかっているようでは、世界なんて夢のまた夢あのテーマ曲
を使っている以上、ミツロには上に行ってもらわないと困る(^^;)。ガンバレ!!

3150×LUSHBOMU vol.4 day.1

#大流血戦


ボクシング『3150×LUSHBOMU vol.4』abemaにてリアルタイム観戦
IBF世界ライトフライ級王者矢吹正道が、このタイトルを保持したまま一階級上
IBF世界フライ級王者、メキシコのアンヘル・アラヤ挑戦する、という異色の
試合。

1R・2Rでそれぞれダウンを奪った矢吹のワンサイドゲームになるか、と思われた
が、3R偶然のバッティング両者大流血。この流血が本当に尋常では無く、特
矢吹の右目下のカット正視に耐えないほど深い4Rまで試合が行われないと、
王者の引き分け防衛になってしまうのだが・・・。

・・・驚いたのは、レフェリーが一切チェックに行かなかったこと。
試合が不成立にならなかったのは良かったのだが、両者の出血具合が酷いにも関
わらず、思いも寄らぬ長期戦に突入。それでも終始主導権を握っていたのは矢吹
だが、違う意味で心臓に悪い。一線を超えてしまった大日本やフリーダムズの
デスマッチを観ている感じ、といえば解ってもらえるかな?

しかし、なんと最終ラウンドで更にダウンを奪って魅せた矢吹。
このダウンでようやくレフェリーが動き、なんとか立ち上がったモノの防戦一方
となったアラヤの様子を観て試合をストップ。最終的には12R・TKOで、矢吹
勝利を飾った。

矢吹正道、日本人初の2階級同時世界王者に。
おそらくライトフライ級のタイトルは返上、ということになるとは思うが、この
記録は誇って良い。拳四朗との決着戦に期待。後は、力石法正が世界王者に
なってくれれば、これ以上良いストーリーは無いんだけどなぁ・・・。

Prime Video Boxing 11

#BIG BANG


楽しみにしていたボクシングのビッグマッチ『Prime Video Boxing 11』
今回は世界タイトル戦2試合、そして那須川天心世界前哨戦が1試合。
先に結論を書く。ボクシングのおもしろさが全て詰まった、すばらしい興行
あった!

まずはWBA世界バンタム級選手権王者堤聖也に挑んだのは、元WBC世界
フライ
級王者比嘉大吾。そもそもこの二人は親友同士であり、妙な和やかさ
あるまま試合開始となった。

・・・いや、スゲェ
正直、1Rから8Rまでの攻防だけでも神懸かった試合内容。偶然のバッティング
で負傷した王者・堤がかなり不利な状況ではあったが、恐ろしい精神力で対応。
比嘉も傷口狙いを躊躇しない。この段階で、今年のベストバウト!と思ったの
だが・・・。

9Rダウンの応酬
最初にダウンを奪った比嘉がそのまま勝ち切るかと思ったのだが、ラウンド内
で堤がダウンを奪い返す。何が彼らをそうさせたのか、皆目見当が付かない程
削り合い。こんなに泥臭くて熱い試合、本当に久しぶりに観た。

判定の結果、ジャッジ全員がドローを付ける、という驚愕の結果
堤はタイトル防衛を果たしたが、試合後のインタビューでも悔しさを隠さない。
対する比嘉は、判定が出ると潔く退場。最後の最後まですばらしい二人だった。

続いて那須川天心世界前哨戦。対戦相手は武居由樹に敗れた前WBOバンタム
級世界王者で、井上尚弥との対戦経験もあるジェイソン・モロニー。天心が初
めて闘う「世界レベル」の選手である。

結果は10R判定3-0天心勝利
この判定は物議を醸しているが、個人的にはギリギリ天心が勝利していたと思
う。でも、例えばこの試合がオーストラリアで行われていれば、モロニーが勝
っていてもおかしくなかった、とは思う。それだけ接戦であったのは間違い無
いのだけど、あのモロニーと10Rを闘い抜いた6戦目の選手、という存在、よく
考えれば恐ろしいと思う。

メインは“NEXT MONSTER”から“BIG BANG”に異名が変わったWBC世界バンタ
ム級王者中谷潤人が、同級6位、メキシコのダビド・クエジャルの挑戦を受け
た。クエジャルは28戦28勝18KO、これまでダウンの経験は無く、中谷よりも
長身でリーチもやや長い。今のバンタム級では最強の挑戦者、という触れ込み
だったのだが・・・。

・・・呆然とした
初回に二人がコンタクトした瞬間、実力差は明白に。中谷の佇まい「強さ」
はもちろんだが、背筋が凍るような「怖さ」もある。3Rで魅せたコンビネーシ
ョンは正しく恐怖であり、テレビの前で完全に沈黙してしまった。

この段階で言うのは憚られるかもしれないが、敢えて。
・・・もしかしたら、いま日本でいちばん強いボクサー中谷潤人なのでは??
怪物に引導を渡す選手が居るとすれば、もう中谷しか考えられない。一線を超
えたプロボクサーが二人も存在する時代を生きられて、僕は幸せだ。