またやぶけの夕焼け

▼またやぶけの夕焼け / 高野秀行(Kindle版)

クレイジーなトラベラーとして数々の紀行文をリリースしている高野秀行が、
(おそらく)自らの幼少期の体験を延々と綴った私小説的な作品。

キャッチコピーによると、ジャンルは「青春小説」らしいのだが、感覚的に
はそれよりも随分前、男の子が思春期に入るか入らないかくらいの時期を描
いたモノ。まぁ、かんたんに言うと都下(この小説の場合は八王子)に住む
1960年代後半に生まれた小学生が、毎日をどのように過ごしていたか?が、
キッチリ理解出来るホンワカ系。ほぼ同世代の僕としては、非常に共感度が
高く、最後までしっかり楽しめたのだけど・・・。

正直、女性とかの受けは悪いかもしれない(^^;)。
男性なら、「ああ、あったあった、そんなこと!」というエピソードが満載
で、ニヤニヤしながら読めると思うけど、さすがに女の子はなぁ・・・。
ただ、作者はきっとそのあたりを全くターゲットにしていない、というのも
非常によく解る。そのあたりの潔さ、決してキライじゃ無いです、僕は。

そして、この人の文章は単純に面白い。それも、思わずプッと吹き出してし
まうような言い回しを絶妙なタイミングで使っており、読んでいて非常に楽
しい。紀行文もいいけど、こういう作品でもしっかり真価を発揮できている
のだから、この人の懐も結構深い気がする。

・・・なんかクワガタ取りに行きたくなってきた(^^;)。
ノスタルジーに浸りたい同年代男性、ぜひ読むべし!