期せずして強化月間驀進中の葉真中顕作品。はやくも4作目。
こちらは警察小説、全6篇から成る連作短編集。W県という架空の都市の
県警とそれに付随する各地の所轄警察署を舞台に繰り広げられるミステリ
ーで、各篇に細かくリンクが貼られており、長編小説並みの手応え。
この作家のアドバンテージは叙述トリックとどんでん返し。
どんでん返しの部分は、その分野の神様とされる中山七里にはやや及ば
ないが、そこに組み合わされる叙述トリックがこれまでの誰よりも優秀。
今回は「欺されないぞ、暴いてやる!」という気概を以て読書に臨んだ
のだが、1〜4話までは完全にやられた。特に3話「ガサ入れの朝」に関
しては、もう反則だろ、と指摘したくなるくらいの巧妙さで、結局その
テクニックに舌を巻いた次第。
しかし、さすがに見破ったぞ、5話と6話(^^;)。
ただ面白いことに、トリックが思った通りであったとしても、普段他の
作家に感じる「こんなもんかよ?」という悪態をつく気になれない。
そうか、そういうことを考えるのか、というシンパシーまで生まれて来
ちゃってるらしいから、僕は本当にこの作家にハマっている。
いやぁ、この強化月間はまだまだ続くなぁ、きっと。
今月中にリリース分を読み切ってしまいそうなのがちょっと怖いけど、
怯まずに進むつもり。さて次は・・・。