希望の糸

#絆のはなし


▼希望の糸 / 東野圭吾

東野圭吾令和最初の新作は加賀恭一郎シリーズ!
・・・だが、今回はいつも主役であるハズの加賀恭一郎があまり表には出てこず、
中心は従兄弟松宮脩平刑事。もしかしたら、スピンオフ扱いで良いのかも。

著者本人が広告等で語っているとおり、こちらは「絆」の物語。
それもかなり特殊な、しかし確かにしっかりと存在する、いくつかの
「親子の絆」のお話である。

とにかく、よくぞこの設定を思いついた、としか言い様がない。
誤解を恐れずに言えば、ジュラシック・パークの初刊のようなリアリティ
溢れる素材であり、普通なら当然生じる筈の「あり得ない」を読中に全く感
じないところが凄い。そういえば東野圭吾ってそういう作家でもあったな、
と今さらながら思い出した。

もちろん加賀シリーズであるから、ミステリーの要素もふんだんに在るのだ
が、今回は最大と思われた謎が途中で解けてしまう(^^;)系。しかし、そこか
ら生まれる人間模様の描写は相変わらず見事で、細かな部分でグッと来る良作。
ヒューマンミステリーの好きな人は、きっと夢中になれると思う。

問題があるとすれば、この作品がいつもの面子ドラマ映画になった時に、
溝端淳平がしっかり演技出来るか、ということ(^^;)。心配だな、ソコ(^^;)。