もののふの国

#螺旋プロジェクト


▼もののふの国 / 天野純希(Kindle版)

気が付いたら全てが出揃っており、個人的にやや出遅れた感の否めない
「螺旋プロジェクト」第三弾2作同時リリースで、いよいよ時代が
過去に向かう。まずは千年続いた「武士の時代」が描かれる天野純希
「もののふの国」から。

何度か書いているが、時代小説はかなり苦手(^^;)。そんなワケでコレ
は最初パスしようかと思ったのだけど、結果から言えば「飛ばしてい
たら後悔した」
。学校教育で日本史を学んだ者であれば、誰もが楽し
める筈の小説である。

考えてみれば、螺旋プロジェクトのテーマである「海族と山族の争い」
をいちばん端的に表現出来るのが武士の時代。古の源平の闘いに始まり、
本能寺の変戦国時代幕末と、歴史の要所で起こった日本人なら誰も
が知る「争い」海vs山に落とし込んでいるのだから、面白く無いワケ
が無い。

正直これだけ時代小説にのめり込んだのは初めて。天野純希という作家
ももちろん初めてなのだが、「海族vs山族」というファンタジーを当て
込みながら、圧倒的とも言えるリアリティを醸し出している筆力はかな
りのモノ。螺旋プロジェクトを読み終えたら、間違い無く他の作品にも
手を出してしまいそう。

伊坂幸太郎の与えたテーマは才能ある作家陣を更に加速させている感。
このプロジェクト、やっぱり凄い。遅れを取り戻さねば・・・。