#それでも、生きて行く
湊かなえの新作。
今回の主役はいきなり売れた女性映画監督と、鳴かず飛ばずのままここま
で来た女性脚本家。キーワードはおそらく「イジメ」と「トラウマ」。
主役の2人は幼少期に大きなトラウマを抱え、2人で一つの作品を手掛ける
ことでそれらを払拭していく、という話なのだが、そこに女史特有の極め
の細かいミステリー要素が絡み、目の離せない展開となる。見事な仕事で
あることは間違い無いのだが・・・。
やっぱり「重い」作品。しかし、これまでの湊かなえ作品のソレとは若干
テイストが違い、悪意とかそのあたりの明快な重さではなく、もっとジワ
ッとした重さ。物語全体がその感覚に包まれている所為か、読後感はやた
らどんより。こういう感覚、これまでの湊作品では味わった覚えが無い。
もちろん水準以上の満足感はあるのだが、どうも湊かなえを読んだ、とい
う充足感に欠ける感。どうなんだろうなぁ、コレ・・・。