#バトルライガー・両国で壮絶に散る
新日本プロレス「KING OF PRO-WRESTLING」両国国技館。
年明けドームのメインカードが確定する重要な大会であり、IWGP王者
のオカダ・カズチカ、権利証保持者の飯伏幸太がそれぞれ最後の防衛戦
を行う日。しかし、その2つを差し置き、最も事前の注目を集めたのは、
第4試合に組まれたスペシャルシングルマッチだった。
獣神サンダー・ライガーvs鈴木みのる。
上半身裸のバトルライガー仕様で花道に姿を現したライガーに大歓声。
この姿を観ただけで、僕も唸りとも叫びとも言えない変な声が漏れた。
打撃と関節技を主体とした闘いは、二人の「原点」を思い起こさせる攻防。
体格に劣るライガーだが、前半はあの鈴木を相手に五分以上に渡り合った。
この時点で僕はもう号泣していた。
しかし、ペースは徐々に自力に勝る鈴木へ傾く。
スタミナを使い果たしたライガーはそれでも食い下がったが、スリーパー
からゴッチ式パイルドライバーという鈴木の必勝パターンが決まり、敢え
なく試合は終了。ライガーは完膚なきまでに叩きのめされた。
試合後、イスを持ち出した鈴木だが、ダウンするライガーの前でイスを投
げ捨て、その場で土下座。この試合にタイトルマッチを凌ぐ価値観を創っ
てくれたのは間違い無く鈴木みのるである。あまりに見事なプロフェッシ
ョナル振りに感服した。
・・・おそらく今日は、実質的な獣神サンダー・ライガーの引退試合だった
のだと思う。退場時、リングに向かい深々と礼をしたライガーは、最後に
全力を出せた、という達成感に満ちていた気がする。
ある作家はライガーを「正しいプロレスラー」と称した。
30年以上、ずっと変わらずに僕の正しいプロレスラーで在り続けてくれ
た獣神サンダー・ライガーに、心から感謝する。
最終章もやっぱり最高だった。何度言っても言い足りない「ありがとう」
を、僕は東京ドームで直接ライガーに言わなければならない。